米作り(早期米のできるまでー⑦)
天地が二倍に広がった!
代掻きを終えた田んぼは広々としている。風が無ければ、田面が鏡のようになり、そこに空や山があたかも地中にあるかのようにさかさまに映る。
これが私の一番好きな田園風景なのだが、おそらく大方の賛同を得ることはないだろう。ほんのわずかの間(大抵は一日か二日)しか見ることのできないこういう風景にえもいわれぬ伸びやかさを感じるのは田園マニアのせいか・・・・。
この透明の画布に幼苗が植えられ、しだい次第にみどりを濃くしてゆく様にはなんとも言えぬ充実感があるが、それにも増してみなぎった水面の持つ穏やかさ、静けさには独特の味わいがある。
代掻きの翌日の今日行ってみると、早朝から田植えに取り掛かっていた。
小型の乗用田植え機を操作しているのはNさん本人ではない。人を頼んでやってもらっているのだ。これを作業委託という。田植えの場合、一反(300坪)あたり6~7000円だろう。この田んぼは二反ほどなので1万2~3000円というところか。
一昔前までは、何が何でも自前の機械を持たねばならぬ――とばかり借金をしてでも機械類を購入するような風潮だったが、今は写真のように人頼みをすることを別に恥ずかしい、とか遅れている、とか思うこともなくなったようだ。それこそ年に一回だけ使うためだけの田植え機を揃えることなんか「モッタイナイ」という精神が普及したためか。「mottainai」でノーベル賞をもらったアフリカの女性大臣に喜ばれそうな風景だ。
Nさんの右隣の田では既に田植えを終えていて、所有者の夫婦が「補植」をしていた。田植え機の掻き取り爪にかきとられなかったため、苗が植えられていない箇所を見てまわりながら3~4本ずつ植えていく作業だ。
「これが結構ひまが要っで(できればやりたくない)なあ」と顔をしかめる農家の人も多いが、そこは農人のど根性、そうは言いながらもせっせと夫婦仲良く(?)共同作業にかかっていく。農家にきわめて離婚が少ない理由はこれかと納得のワンショット。
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