照葉樹の森ビジターセンターへ
錦江町の海岸部の中心から国道448号線に入り、約8キロで旧田代町の川原地区に入る。
そこから佐多方面に2キロ足らずで、早瀬の信号を左折。右手に花瀬川(雄川)が見えてくるといよいよ自然が溢れ出す(地図をクリックすると拡大)。
やがて花瀬大橋が目前に迫った所で、道を左手にとる。すると右手には「花瀬千畳敷」と詠われる石畳が現れる。
寄り道したのにはわけがあった。200メートルほど上流に旧花瀬橋が架かるがそのたもとに史跡「茶亭跡」があるのだ。
嘉永6年(1853)に島津家当主・斉彬(なりあきら)一行が大隅半島一円を巡見した際に、茶を立てて一服したという場所で、花瀬の名水と近隣で採れる味のいい茶のコラボレーションを所望したようだ。今にその時のかまどの跡が残っている。
このあと、一行は雄川上流の大原地区に行くが、大原地区は平家の落人の里で、大原、大浦地、中野の三つの姓が、落人の後裔だという。この中の一軒、中野家には紀州の根来(ねごろ)椀という漆器が伝わっており、それで賓客をもてなしたそうだ。
茶亭跡のすぐそばから千畳敷の河原に下りることができる。土手の木が千畳敷の上に太い枝を伸ばしてしなだれている様はここならではの風景だろう。
向こうに見える花瀬大橋の代わりに旧花瀬橋を渡って支流の大藤川沿いの道をとり、高度をどんどん稼ぐ。途中、大藤川に注ぐ沢をまたぐが、このまたいだ所からその沢が滝になるという珍しい箇所がある(大橋から3キロ)。
つまり滝の頂上の部分に橋が架かっているのだが、当然、滝の全容は見えない。
写真の手前から滝が始まり、真ん中の少し上のあたりから急降下しているのだが、写真ではよく分からない。実際に橋の上から覗いてみて、ようやく高低差が分かる程度である。
ここから道を300メートルほど上がった所で、ちょうど谷を隔てた正面に望める所があるが、生い茂った照葉樹林のためその全貌を現してくれない。照葉樹は冬でも葉を落とさないゆえ、結局、残念ながら一年中望むことは不可能というわけだ。
左の写真のど真ん中の陰になった部分に「大藤の滝」が巨大な花崗岩の壁を伝わって真っ白いそうめん状にいくつかに分かれて流れ落ちている(のが、かすかに見える。写真をくりっくしてみてください)。比高およそ30メートル、隠れた名瀑だろう。
「ったくもう」などと、いつ来ても繰り返す「繰り言」を口にしつつ、さらに1.5キロほど行った所で左の道に入る。まっすぐ行けば佐多の秘境・辺塚地区である。その分岐から約4キロ、快適な林道を走るといよいよ山の上の「照葉樹の森ビジターセンター」だ。
高原の瀟洒なホテルといった雰囲気だが、中に入ると木の香漂う研修ルームといった感じだ。中心に稲尾岳と隣の木場岳一帯のジオラマを据え、周りには照葉樹、昆虫、小動物の学習のできる数々の仕掛けがしてあり、子供でも容易に森の仕組みが分かるようになっている。
標高は700メートルを超えるから、夏でも涼しい。夏休みには稲尾岳ハイキングを兼ねてぜひ子供連れでやって来て欲しい所だ。
照葉樹の森(稲尾岳ビジターセンター)
開園(開館)時間 8:30~17:00
年中無休(ただし12月29日~31日は休み)
無料
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