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憲法について

 憲法改正論議が起きている。

 日本国憲法は 国民主権 平和主義(戦争放棄) 基本的人権の尊重 象徴天皇制 を柱としている。ただ、一般には象徴天皇制をはずすが、筆者は旧憲法「大日本帝国憲法」との比較から、これこそが大きな意味を持つと考えるので、加えた。

 それはどういうことかというと、周知のように帝国憲法は「欽定憲法」と言って、天皇(国王)が国民(臣民)に一方的に与えるものだった(ただし、少なくとも日本の場合、条文はすべて当時の大臣・学者・官僚たちの造作だ)。

 帝国憲法は日本を当時の西洋列強に伍するために、必要以上に天皇に大権を付与して国家の統一と威信を示そうとした「絶対君主制」の憲法で、全文76か条のうち天皇条項が17条と多く、「男系の万世一系」「神聖不可侵」「統治権の総攬」「陸海軍の統帥」などがその具体的条項である。

 このうち最もそれまでの皇室の伝統になじまないのが「陸海軍の統帥」だった。陸軍大演習などで元帥服を着用し、白馬にまたがった天皇の姿は、軍人を鼓舞する役割はあっただろうが、全く似つかわしくない姿だった。北朝鮮の「偉大なる将軍様」でさえ着用してはいないのだから戦前の軍国主義はたしかに行き過ぎた観がある。

 だがひとつそのことがよい結果を生んだ。それは帝国軍人の規律の正しさだ。武器弾薬も銃もサーベルもすべてが元帥天皇の御下賜の物であり、また身も心も天皇に捧げるべきものという観念が行き渡り、軍人として恥ずかしくない行為をするという倫理観がかなり保たれていたことだ。

 それを保つためにさらに必要だったのが「慰安所」で、当時の日本では通常に営業されていた「公娼」制度を考えれば、けっしてあくどくもなく、悲惨な職業でもないのが「慰安婦」なのであった。もちろん喜び勇んで慰安婦になる女はいなかっただろうが、通常の公娼ではなく各種の性感染症に疎遠な女性が選ばれ、またそれなりに手当は高かった(軍人もそうだった)。

 いま、朝鮮、中国、インドネシアなどで日本軍が強権で以て慰安婦をかり集め、性の奴隷にしたという非難が上がっているが、それは違うだろう。むしろ慰安所なる制度を持たなかった国の軍隊の方がひどいことをしているのだ。勝てば官軍だから彼等はけっして白状しないだろうが・・・・・。

 憲法論議が横道にそれたようだが、帝国憲法と新憲法とで何が一番変わったかというと、私は「天皇制」だと思う。戦前の天皇制は伝統的な天皇には痛ましすぎた。私は象徴天皇制になってよかったと思う。日本の文化伝統の根底にあるものがこれからも守られていくだろう。

 さて、では改正について・・・・・一度、憲法を廃止してあの「五箇条の御誓文」くらいに戻ってみたらとも思うのだが、まず、現実的ではないだろう。なにしろ法治国家なのだから。イギリス流に成文化しないという手もあるが、あれは議論上手のイギリス人だからできることで、日本でやったら議論よりも取っ組み合いがすぐに始まるだろう。非生産的だ。

 戦後の憲法は前文の格調は人類の理想で、誇りにすべき内容である。天皇の地位も変える必要はなく、国民主権、基本的人権の尊重もよい。

 ただやはり、不戦条項だ。不戦はいいが、軍隊を持たないというのは現実的ではないし、国家として自主独立を享受するためには最低限の軍人・兵器は必要だ。だから第二章「戦争の放棄」の第九条②項の中の、戦力は保持しない、という部分は書き換えるべきだろう。

 あと付け加えたいのは「永世中立」条項だ。これは章立てしてもよい。日本は地政学的にも歴史的にも「他国の、あるいは他地域のよいところを収集し、自国風に咀嚼してさらに発展させ、留めておく」という能力をとてつもなく持った国だと思う。これを生かし、ますます文化的全方位外交に磨きをかけるためには「永世中立」が似合う。

 何も「敵国条項」があるからといって、国連を脱退する必要はない。また、もう常任理事国になどならなくてよい。国連中心主義を永世中立の立場から保持しつつ、自国は自国で守るという意志を毅然として唱えればよい。今のままでは他国からの「日本はアメリカの属国なのか、自分の考えがないじゃないか」という疑念・軽蔑を払拭することはできない。

 単なる字句の改正であってはならない。近現代史の動向を踏まえた日本独自の理念を、広く世界に向かって訴えるようなものでなくてはならない。おそらく世界の国々も注目しているだろう。今度、そのためのちょうどよい機会が与えられたのだと考えたい。

 

 

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