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串良川流域散策(その4)

Kushiragawa3_019 生栗須橋を渡って振り返ると、北原氏の拠った「北原城跡」が 屹立して見える。難攻不落の山城だったろう。

 しかしここも肝付氏が島津氏の軍門に下ると、廃城となる。

 この橋の向こうも手前もどっちも急な長い坂道(国道269号線)で、シラス台地を削り込んだ串良川の働きが思われる。Kushiragawa4_001

  国道から串良川の左岸沿いの細い道に入る。

 杉の植林帯を抜けると、川は遥か向こうに流れるようになり、道路との間に広い田んぼ地帯が広がる。草を刈った農婦がせっせとその草を軽トラックに積み込んでいた。牛にやるのだろう。

Kushiragawa4_003 約800㍍で山宮神社のすぐ下に架かる「堂園橋」だ。

 神社に行こうと橋を渡ると、橋のたもとに石柱が立っていた。新しい御影石の小さな石柱だ。Kushiragawa4_005 見ると、映画「望郷」のロケ地だったことを記念する碑だった。1992年とある。

Kushiragawa4_006 山宮神社は祭神スサノオノミコト、毎年2月の例祭に「カギヒキ」「田起こし」の神事があるお宮で、これは県の指定文化財(無形民俗)に登録されている。

お宮の建物自体はお世辞にも文化財にふさわしいとはいえないが、川沿いの田んぼ地帯が開かれた頃からの存在とすれば、少なくとも千年以上の歴史はあるだろう。

 Kushiragawa4_007 ここから山宮神社側の道、つまり串良川右岸を上って行く。

 堂園集落の最後の田んぼを向こう岸に見ると、道は川を離れて左手の台地に向かう。

 川はここから長い「深山幽谷」に入る。その3で紹介した、ピンク色凝灰岩の石切り場から下中地区までの峡谷と同じ成因だ。そことこことを併せると約5キロがこんな人跡未踏の峡谷というこKushiragawa4_009_2 とになる。大学の探検部なんかには持って来いの場所だろう。水も澄んでいる。

さて、台地方面へ1キロ余り行くと馬掛(まかけ)集落に入る。ここは川からの比高30㍍、上のシラス台地からは80㍍下がった所にある楕円形の段丘だ。かなり広く、バスも巡回している。昔、狩猟の神様が馬で駆け巡ったから「馬駆け」→「馬掛け」と名付けられたそうだ。「ウマ」く説明したもんだ。Kushiragawa4_010_2

馬掛地区から登ること1キロでシラス台地の上に出る。すると正面に高隈山が見えた。写真を撮りに脇道に入ると、輝くものが目に入った。パンパスグラスだ。菜園の一角がやけに明るいのはそのせいだった。

 県道<串良・高隈線>を北西に走ると、2キロ足らずで信号がある。Kushiragawa4_012_3 その角に建つのが「笠野原土地改良区事務所」だ。笠野原の開発の拠点がこれで、見過ごすわけにはいくまい。

 大正の終わりに、水道敷設事業で始まった共同開発は、やがて土地改良事業に引き継がれた。戦後の昭和35年にこの事務所が設立されると事業は国営化され、高隈ダムの完成が核となって土地整理、水利事業は飛躍的に進んで今日がある。現在でも年に2億程度の事業が行われているという。

 Kushiragawa4_014_2 さて、信号を右折し、台地から1.6キロほど下ると谷田橋に差し掛かる。

 もし川筋を遡ってくれば、きつい峡谷から解放されて、広々とした田園に歓声を上げるに違いない。そんな風景が待っていた。

 橋を渡ってすぐ右折すると300㍍で道が二手に分かれる。そのまま下っていく道と、大きく左へ曲がる道とだ。そのまま行くと谷田発電所に降りる。Kushiragawa4_019

白壁の新しい・・・と思ったら、よく見ると凝灰岩製のブロック積みで、白い塗料を吹きかけてあるらしい。物の本によると大正11年に送電開始した、とあるから古い歴史がある。建物が当時のものかどうかは判らないが、もしそうなら遺産ものだろう。

 水は谷田橋の下200㍍に堰を設けて取っている。発電所の下の串良川には、仕事を終えた水が轟々流れ込んで行く。リサイクルだ。Kushiragawa4_020

道を戻り、さっきの二又から、今度は大きく左へ曲がる道の方を行く。600㍍で「ふれあいの森」がある。夏の暑い盛りとあって誰も来ていない。入口の説明板によると、樹齢250年からのスダジイの大木があるらしいが、マムシはごめんだ。

 道端にちょっとした湧水の池があったので手を入れてみた。冷たい。口に含んでもみたが、うまい。近くで草を刈っている人に聞いたら、一般人はあまり来ないが、よく学校の生徒たちが来るという。なるほど例の総合学習か。Kushiragawa4_033_2

  再び谷田橋を渡って、串良川右岸を上る。谷田地区の穂を垂れつつある田んぼを右に左に見ながら1キロ余りで、左手から丘がせり出してくる。

 そこが「観音渕」だ。名だたる水の名所で、観音様を祭るという大きな洞穴(ガマ)の奥から、とうとうと水が湧いてくる。 Kushiragawa4_031_2

 道路からすぐそこに滝が見える。その下には水神が祭られ、さあ汲んで行きなさいとばかり、何本もの竹やパイプから水が流れ落ちている。

 水を大きなペットボトルに汲んでいた女性がいたので聞いてみると、近くなのでよく汲みにくるが、注意して見れば細かい砂粒のようなものが混じっているという。

 また、昔、自分の同級生に、このガマの入口付近に住んでいて、そこから学校に通っていた子がいたという。「法者(ほっしゃ)どん」という修験者がいて、ここで修行をしていたなどという話は聴くが、本当かよそれ、と耳を疑ってしまった。Kushiragawa4_030

洞穴は入口の幅20㍍、奥行は30㍍はあろうかという大きなもので、左右には五輪塔、宝塔類が数十基並び、奥の壁の前には、光背を負った仏像(観音その他)が左右に5,6体こちらを向いて壇の上に立っている。Kushiragawa4_026

壇の前には人のすわれるような座が設えてある。ここでお経でも唱えるのだろう。霊験あらたかとは聞いていないが、さっきの女性の話では、某町からわざわざ夜中に水を汲みに来ていた人は、この水で目を洗って白内障を治したという。

 観音渕の前の道路には駐車帯も設けられ、カラー舗装もされてずいぶん優遇されるようになった。Kushiragawa4_032_2

 駐車帯のすぐ向こうには串良川が流れる。以前来た時は竹やぶで下りられそうもなかったが、今見るとその一部に抜け道が出来ていた。下りてみると、川が手前に蛇行して迫り、心地よい田園が広がっていた。

 マップ(赤い十字は谷田発電所。右下の鳥居は山宮神社。発電所の左上の橋が谷田橋で、そこからさらに左上の川が大きくL字に曲がった所が観音渕)

  鹿屋市のスクロール地図はこちら

Mapkushiragawa4

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