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大崎町郷土資料展示室

Oosakisiryoukanjinryoukofun_015 曽於郡大崎町はどことも合併していない。

単独でやっていこうという総意なのかどうかは知らないが、役場を初め諸施設が立派である。

 最初見つけたのが図書館だったが、町立としてはかなりのものだ。入って、中央公民館の場所を聞くと隣りだという。隣も新しく立派な建物。Oosakisiryoukanjinryoukofun_014

 事務室で来意を告げると、職員が鍵を持って現れた。 埋蔵文化の専門員だったので、ちょうどよかった。

 資料室を入ると、右手奥が民俗資料コーナーで、例によって古道具類の集合体だ。できれば陳列だけでなく、その頃の写真か何かで、使い方が具体的に分かるような展示がしてあればよいのにと思う。これはどこの民俗資料展示でも感じることだが、戦前に成人していた8~90歳以上の老人たちから聞き取り、使い方を絵にでも残したらどうだろうか・・・。Oosakisiryoukanjinryoukofun_013 

 それに比べ、考古資料に関しては係り氏に詳しく聞くことができた。

 大崎町の遺跡のうちつい先月まで発掘調査が行われた「神領(じんりょう)古墳群」、「原田古墳」、「沢目遺跡」、「下堀遺跡」など生々しい話が聞けた。

 神領古墳群の中の60m級の前方後円墳(10号墳)からは昨年「武人埴輪」が見つかっており、今年はそのくびれ部分の祭祀空間から初期須恵器などが出土したという。Oosakisiryoukanjinryoukofun_006 これで鹿児島大学(同大博物館・橋本准教授)が発見した初期須恵器は、串良町岡崎古墳、肝付町塚崎古墳そして今度のと、古墳を掘る度に出てくるという状況になった。

 畿内や西四国との交流が、予想以上に活発だったことが証明されそうである。

 また、沢目遺跡は弥生時代中期から古墳期の住居跡が海岸砂丘といってよい土地に展開しているが、ここでも在地系の土器に負けず劣らず、北部九州系の土器が多量に出土し、海の交流が盛んだったことを示した。

Oosakisiryoukanjinryoukofun_009_2  古墳時代の南九州の副葬品は貧弱と言われるが、鉄製の武器に限って言えばそうでもない。

 小さな地下式横穴墓からは、不釣合いなくらいの鉄刀や鉄剣が出ているし、鉄鏃に至っては相当数が出土している。

 ただ稀なのが青銅製の鏡で、これは南九州の古墳からはまず出ない。ところがここの神領古墳からは小さいが三面の鏡が出土している。Oosakisiryoukanjinryoukofun_003

 右の写真の物は「天子ヶ丘古墳」(第6号墳=消失)から発見されたといわれる「変形獣帯鏡」(左)と「日光鏡」(右)で、考古学研究者の諏訪昭千代によると、左の獣帯鏡は「倣製鏡」であり、右の日光鏡は宋代の踏み返しだという。

 どちらにしても、鏡が副葬されるという南九州では稀な現象がどうして起きたのか、大いに興味のあるところだ。また神領古墳群の南約1・5キロにある単独の大前方後円墳「横瀬古墳」(墳丘140m)との関連も考える必要がある。

Oosakisiryoukanjinryoukofun_022 資料室を出て神領古墳の10号墳に向かった。

 大崎上町交差点を右手に入ると大崎中学校があり、そこを過ぎてから左へ道をとり(旧国鉄線路跡)、小さな十字路を今度は右折する。と、100メートルほどで左に人家があり、さらに30メートル行ったら左へ入って行く。軽自動車ほどの幅しかない未舗装の小道だ。

 途中に二基ほどの墓があるが、そこからさらに2~30メートルで道なりに行き当たる。

 駐車場になりそうな広場には、ミツバチの巣箱がぎっしり並んでいた。何とOosakisiryoukanjinryoukofun_019 養蜂家がネットを被って仕事の最中なのだ。蜂たちを刺激しないようにさっさと古墳のところに行く。

 こんなにやせ細った前方後円墳は、見たことがない。特に前方部などはスカスカという感じだ(下の写真の手前側)。

 後円部(上の写真)はそれなりに丸く残っているが、それでも相当に削られて縮小しているらしい。このような状態の古墳から「武人埴輪」などが出土したのは奇跡に近いかもしれない、と思うことだった。

 後円部の埋葬石棺の調査が待たれる。

 マップ(赤い十字は神領10号墳。矢印が中央公民館=1階に資料展示室がある)

Mapoosaki

 

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