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神ノ川流域散策(錦江町)

Kaminokawa_001  神ノ川は肝付山地の独立峰・八山岳(ややまだけ=941m)の西斜面に源流を持ち、錦江町の錦江湾にそそぐ全長15キロほどの小さな川だが水量は多い。

 河口の海岸は遊泳禁止だが、夏にはキャンプ場になり、ビーチバレーの大会も開かれる。

 砂浜をよく見ると砂跌が多いらしく、黒ずんだ層が模様になって見える。Kaminokawa_009

神ノ川集落を通る旧道の神ノ川橋から、現在の国道269号線に架かる神ノ川大橋(河口)を見ると、左手にこんもりした丘が目に入るが、あの頂上には「諏訪神社」が鎮座している。

 その反対には神ノ川中学校があるが、少子化のせいだろうか今年度で閉校となるらしい。ちょっとさびしいが、中学校はある程度の規模が必要だろう。

Kaminokawa_010 旧道をそのまま行き、小学校の通りから神ノ川大滝方面への道をとる。約300mほど行くと、右手に小高い丘が見える。そこは「渕ノ上神社」だ。祭神はイザナギ・イザナギノミコトで天地の万物を造った神様だ。

 石段の下には青面金剛という庚申様や宝塔、仁王像などが所狭しと立っている。

 あたりは川沿いの平坦地なのに、お宮は7~8メートルの高さに建つ。ちょっと離れて眺めるとKaminokawa_012、川に面した岩山なのかと思われるが、登ってみるとお宮は岩の上に建てられたという風ではない。

 岩盤のため川に削り残された地形ではないとすると、考えられるのは古墳ではないかということだ。このあたりは水田を拓くには持って来いで、水の苦労はほとんど無い所だ。むしろ水がありすぎて困る、つまり洪水の危険性に見舞われる地域に見える。

 それを回避するような治水に秀でた人物を祭ったのではないだろうか。Kaminokawa_013

 渕ノ上神社から500メートルも行くと周りから急に崖が迫ってくる。神ノ川が削り残した5万年ほど前の「阿多熔結(ようけつ)凝灰岩」の壁だ。

 さらに500メートルで道が二手に分かれる。右手に登っていくのは南隅台地(宿利原地区)への高原道路。左手が神ノ川大滝への道。もちろん左を行く。

 大滝公園まで約1.2キロの道は細い切り立った崖の間を行くが、さっきのKaminokawa_021 広々とした海岸からわずか3~4分でこうも景色が変わるものかと驚かされる。

 駐車場から橋を渡って少し行くと渓谷の中に「大滝茶屋」が見え、そのはるか上に赤い吊り橋が空をよぎっている。

 左手につり橋へ登るらせん階段があるのだが、落石のためあいにく通行止めになっていた。

Kaminokawa_016 大滝茶屋を過ぎ、100メートルも行かないうちに大滝が見えてきた。周りには水しぶきが上がっている。マイナスイオンの塊りだ。

 高さ25メートル、幅20メートルの堂々たる滝。

 阿多熔結凝灰岩の岩盤を、少しずつ少しずつ削ってここまで退行し、高くなって生まれた、見映えは大隅半島随一と言われる大滝。

Kaminokawa_023 どうしても吊り橋から見下ろしてみたかったので、いったん海岸まで3キロ余りを引き返し、国道269号線に出て根占方面への道をとる。

 鳥浜を過ぎ、大根占港を右手に見てから最初の信号を通過してすぐの小さな交差点を左折する。そこには「神ノ川大滝公園へ」と「青山荘へ」という看板が立つ。

 道は急傾斜の登りで、1キロ余り行くとやはり同じ看板の立つ交差点があるから左折し、200㍍ほどで今度は右折する。ここには「青山荘へ」の看板だけ。

 そこからしばらく行くと、右手に老人施設「青山荘」の立派な建物が現れる。

Kaminokawa_026_2  道は急に細くなるが、なおもそのまま行けば、1キロほどで吊り橋のたもとに出る。そこは十台くらいはとめられる駐車場になっていた。

 平成二年に竣工したこのつり橋は「虹の大吊り橋」だそうだ。たしかに高い。滝の高さの三倍から四倍はあろうから、川面から100メートル近い。

 滝の上流側はいたって平坦に見える。あの部分もあと何千年かすると削られて、滝はさらに退行して何メートルかは高くなるはずだ。5万年でここまで約2キロを削ってきたわけだから、あと10キロ削るには25万年。その時の滝の高さは実に900メートル。華厳の滝も真っ青だ(ただし理論値)。Kaminokawa_031

吊り橋の架かる台地まで来たわけだが、川は台地をえぐっているのでしばらくはお目にかかれない。かなり上流の池田地区から、この川はやっと人に親しくなる。

 いま台地の上は干し大根の真っ盛りだ。あちこちに白とグリーンのカーテンが出現している。車から降りて近づいてみると、杉の丸太と孟宗竹の組み合わせでやぐらに組んであるのだが、その太いことには驚く。高さもかなりのもので、写真のは、大根が11段も掛かっていた。Kaminokawa_037

 池田地区は宿利原地区と並んで、南隅台地の中心地だが、その信仰の中心は何といっても「旗山神社」だ。ここで正月の2日から行われる祭事「柴祭り」は民俗学では有名で、南九州の狩猟儀礼の古俗と言われている。

 境内を見て唖然とした。何という美しさ!イチョウの落ち葉の分厚い絨毯ができていた。

Kaminokawa_062

 池田からは南大隅中央線を田代(佐多)方面へ走る。わずかで下り道になり、その先にようやく神ノ川の姿がとらえられる。

 そこは壱崎という地区で、上流の水を利用した水田が広がっている。ここからさらに上流の半ヶ石地区まで、川の右岸に水田が細長く広がっている。

Kaminokawa_061 田んぼが途切れたところに12~3年前に開業した「小平温泉」がある。山の方に湧いている冷泉をここまで引っ張ってきて、沸かして営業していると言う。皮膚病や切り傷などに良いらしい。

  小平温泉   営業時間 13:00~21:00  料金 330円

           休業日  毎週月曜日

Kaminokawa_040 小平温泉から200メートル、道が右手にカーブした先に「さき(木へんに奇)山ノ滝」がある。道路の右端に寄らなければ見えないが、滝というよりも岩畳を流れ落ちる緩やかなもの。でも印象的な眺めではある。

 それより、ここに来れば美味い水が汲めると評判の自然水がある。滝を眺めるのとは反対側の崖の下だ。

 二本の6~7センチの塩ビパイプが崖の下に突っ込まれており、口からかなりKaminokawa_057 の勢いで出続けている。

 日曜とあって、三組もの人たちが、いったい幾つのポリタンクに汲むんだというくらい、相当な数のタンクを手にやって来ていた。おそらく人に頼まれた分もあるのだろう。

 小さな女の子の後ろに見える石のオブジェのような水神碑の前には、米と塩と何がしかの小銭が置かれていた。Kaminokawa_046

 半ヶ石は神ノ川の最上流部に位置する集落だが、川が深い谷を作っていないせいか、それほど山奥に来たという感じはしない。それよりここへくる途中でここよりはるかに海に近い、たとえば「厚ヶ瀬集落」などのほうがよほど山奥に感じられる。

 この集落をほぼ抜けようかという所に「半ヶ石橋」が架かり、それを田代方面へ渡ってすぐ、道を左へとる。いよいよ源流域への山道だ。道はしっかりと舗装されていて、走ること2キロでとある公園に着く。Kaminokawa_049

その公園のすぐ下には何とプールがある?まさか!それでも、ちょうど50メートルプールの大きさだ。これこそが「半ヶ石頭首工」という、南部大隅灌漑事業の目玉、要するに溜め池。

 左側を流れる神ノ川を仕切ってここへいったん貯め、必要に応じて南隅台地に水を供給するという仕組みだ。

Kaminokawa_051  源流に近い沢のおいしそうな水が、農業用水に使われるとは贅沢だ。これを売りにしてもいい。

 畑で飲んでも美味いかもしれない。ただし消毒はしていないだろうから、腹に自信があればの話。 

  マップ(スクロール型)はこちら        

 

 

 

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コメント

こんばんは・・・初めて伺います。
旗山神社のイチョウの樹とっても綺麗ですよね
しかし、神主さんは掃除をするタイミングを視るのがとっても大変そうですよ…
沢山の方にこの綺麗な景色を見て頂きたいのでしょうね…

投稿: まーちゃんママ | 2008年1月 7日 (月) 00時31分

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