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節替え(セッガイ・錦江町田代)

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 錦江町田代川原に着いたのは午後5時半ごろで、柴立地区の田んぼ地帯の道沿いに二つ、川(雄川上流)向こうの鶴園地区にひとつ、竹のやぐらが冬枯れの田んぼの中に高々と設えられているのが見える。「セッガイ(節替え)」の準備が整っていた。

 高さは下の塊の部分で6メートルほどだろうか、一本だけ葉っぱをつけたままの孟宗竹が中心に立てられており、その高さは優に15メートルはある。

Seggaitasiro_005  よその地区では主に正月6日の夕方か、小正月の前日の14日あたりに行う「鬼火焚き」「とんど焼き」が、ここではいつも節分の夜に行われる。

 「セッガイ」とは「季節を替える」ということで、大寒の最終日である今日の節分の日から、明日の立春へと季節が変わることを画しようという節目の行事だ。Seggaitasiro_008 

とっぷり日の暮れた午後6時半、いよいよ点火。以前参加した田代町の大原地区の場合は、火をつけるのは「年男」ならぬ「厄年の男女」と決まっていたが、ここでは集落の役員らしき高齢者が火をつけていた。

 いや、点火の真似事だけは厄年の人がやって、あとは危ないから係りがつけて回ったのかもしれない。うっかり見落としてしまった。Seggaitasiro_007

点火棒を持った係りの高齢者が一周すると、あっという間に火が燃え盛り始める。

 西風が強く、写真を撮っている東側に炎が吹き出されてくるので、田んぼから道路に移動する。Seggaitasiro_011

 炎がやぐらの高さを越えるのに一分かニ分かしかかからなかったろう。周りに衝立のようにびっしりめぐらしてある小竹(ニガタケという種類)は、いったい何把くらいあるのかと訊いても、「さあ、分からん。数えちょらん」と言う。おそらく100把(千本くらい)は越えるだろう。それでもこの炎と西風の強さでは、たちまち燃え尽きるのでは、と思えた。

Seggaitasiro_013 集落の参加者は、その小竹の束の中に前年のお札やお守りなども投げ込んでおくらしい。

 炎を見上げながら、今日の大寒までの冬篭りを終えて、明日の立春が、生き生きとすがすがしく迎えられるように祈っているのだろうか。Seggaitasiro_022

十分ほどで、風の当たる西側の小竹だけを残してすっかり焼け落ち、芯になっている孟宗竹の骨組みがむき出しになった。

 係りの人たちが、その骨組みが崩れ落ちるのを見守ろうと、そばに集まってきた。

 そのとき後からぱちぱちと音が聞こえてきた。振り向くと、200メートルくらい離れた田んぼの中で鬼火が点火されSeggaitasiro_024_2 ていた。

 聞けば「平石集落」の鬼火焚きだという。ここのは「上柴立集落」で、川向こうのは「鶴園集落」、さらに上流側に「郷ノ原集落」のものと、川原地区では都合4ヶ所で行われているという。

 Seggaitasiro_028 ふと見ると、道路の向こう側、発電機の明かりに照らされて、老人が二人小竹(ニガタケ)を手に手に、一心に先のほうを削っている。

 いったい何にするのかと聞くと「モチを先に付けて焼くんだよ」。

 よく見れば削っているのではなく、先を割っているのであった。その割れたところに切り餅を挟むというわけ。なるほど、まるでつり竿のような長さだ。

Seggaitasiro_032  モチ竿を手にした男の子たちが、鎮火しつつある火の周りに、早くも陣取って待っている。炎が収まらないと上手く焼けないと言われているのだろう、今か今かと気がせくのか、立ったりしゃがんだり落ち着かない。

 子供たちを撮っていると、係りの老人に焼酎を勧められたが「車で来ているので」と断ると、「それじゃ、モチでん焼かんか」とモチと竿を手渡された。Seggaitasiro_034_3

「そろそろ、よかど」の声で、周りに人が集まってきた。みな手にはモチの付いた竿。それを火の中に差し出すが、「直接火につけたらいかんよ。煤けて美味くなくなるから」とおばさんに言われ、なるほどと地面にたまったオキ炭の上にかざすようにした。

Seggaitasiro_035 ニガタケは細い竹だ。モチが焼ける前に竹が焼けては話にならない――と心配したが、2分もかからぬうちにモチのほうがしんなりしたので、火から出してみる。

 いい具合に焼けている。早速、凍える手で掴み、口の中へ。本当は焼酎の方が・・・と思いつつも、やはり温もりは十分だった。

    マップ(錦江町スクロール図・田代川原地区は錦江町中心部から東南へ8キロ)

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