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山宮神社の春祭り(鹿屋市串良町)

2月17日(第三日曜日・午前11時から)、鹿屋市串良町細山田に鎮座する山宮神社(祭神・スサノオノミコト)の春祭りが行われ2008217maturimeguri_031た。

 ちょうどこの日、鹿屋市ではここの他に午前9時前から事代主神社(串良町岡崎)、10時から七狩長田貫神社(田崎町)、午後1時からは中津神社(高隈町)と主要な神社で春祭りが集中して行われる。

 今年は午前中、串良川沿いの2社を訪ねることにした。9時から下流に近い岡崎の事代主神社の祭りを見、そのあと中流にあるこちらの山宮神社に移動、15分ほどかかって到着した。2008217maturimeguri_019

 お宮は串良川のすぐそばの高台にあり、向かい側の橋を渡れば堂園集落だ。写真は堂園橋から見た串良川で、ここまでは両岸沿いに田が広がるが、向こうの森の辺りからは渓谷となり、それは上流の高隅地区まで続く。

 (その高隅町でも、今日の午後から中津神社で同じような(もっと勇壮な)「かぎ引き」行事がある。しかしこちらの方が由緒が古いのか県指定の民俗文化財になっている。)2008217maturimeguri_020

 橋を渡ったところにある堂園集落の公民館に行ってみると、祭りの準備に追われていた。

 かんな屑の、のばせば1.5メートルは優にありそうなのを何十本も束ね、それを2メートル余りの竹の先端近くに取り付けている。紙の「幣(しで)」の代わりなのだろうか、アイヌにも「イナウ」という、やはり削り屑で作る幣があると本にあったのを思い出した。2008217maturimeguri_037

 再び橋を渡って神社の境内に上がってみると、すでにかぎ引きに使う二本の木が左右に分かれて置かれていた。

 社殿に向かって右が「雌カギ(めかぎ)」で、左が「雄カギ(おかぎ)」ということだった(写真上が雌木、下が雄木)。

2008217maturimeguri_038  上の雌カギは何の細工もない、ただ枝分かれしたあたりから伐っただけの物で、聞いてみると樹種はコナラで、伐りだす担当集落が決まっており、雌木は堂園、馬掛、生栗須(いぐるす)の三集落から伐りだすそうだ。

 雄木は下の写真のように引っ掛ける部分を短く切ってあり、男根を象徴している。この木はクヌギのようで、雄木は立小野、高松、平瀬の三集落から出すと決まっているとい2008217maturimeguri_033 う。都合、6集落の参加行事ということになるわけだ。

 11時、社殿の中では神事が始まった。

 お払い、供献、祝詞奏上のあと、祭りに参加する棒踊りの代表も神妙に玉ぐしを捧げていた。2008217maturimeguri_045

神事が終わると棒踊りが奉納される。正確には「正月踊り」というそうで、本来、古くは棒踊りではなかったようである。そういえば、先週(2月9日、10日)の志布志山宮神社・安楽神社の正月踊りには棒は使われていなかった。

 棒踊りの起源は、秀吉の朝鮮出兵の時、参加した薩摩軍が士気を高めるために踊ったというのが定説であるから、当然それ以前の奉納踊りは違ったものだったはず。志布2008217maturimeguri_048 志のほうが、より古式を伝えていると言えよう。

 棒踊りは正月だけでなく、他の祭りでも踊られることも、そのことを裏付けていると思われる。この棒踊りは、上で触れた雌木を伐り出す三集落(堂園、馬掛、生栗須)から奉納されている。

 三尺棒を使う踊り連と、六尺棒を使いしかも顔を布で覆って踊る組とがあり(下の写真)、こちらは志布志の正月踊りの出で立ちに近い。六尺棒がなければそっくりだ・・・。2008217maturimeguri_059

勇壮な棒踊りの後はいよいよカギ引き

 両方の木を真ん中に持って行き、引っ掛ける前にまず焼酎でお清めをする。

 それから五、六人ずつで持ち上げて両方を引っ掛ける。2008217maturimeguri_060

さあ、準備オーケー。ハジムッドー! で、各集落の老若男女が木の元あたりから先端まで、多数が取り付く。

 近くでカメラを構える者たちにも「引かんか、引かんか!」の声。で、こちらも雄カギの方の先端にまわって手ごろな枝を握り締める。2008217maturimeguri_062_2

勝負は2回。一回目はそれ!の合図で引き始めたもののあっけなくずるずると引かれて惨敗。2回目は少し加勢が増えたか、両者譲らず、それでも徐々に引っ張り込み勝利。

 結局、1対1で文字通りの引き分け。今年は6集落平等に平安・豊作ということになった。横たわった木から小枝を折り取って家に持って帰るという人が多かった。縁起物だという。2008217maturimeguri_065

雄木、雌木が境内の隅っこに片付けられると、白装束の神官が現れ、何やら叫んでまわる。田打ち神事の始まりだ。

 「おーい、次郎よお、ドケー行ったかよ」「まっこて、ホガネもんじゃ」「はよ、田を打たんな、日がくるっどー」

 神官は太郎だった。2008217maturimeguri_068 田打ちの相方が姿を見せないのだ。

 相方の次郎はやはり白装束。観衆の中をあちこち寄り道をして話し込んだりしている。

 そのうち、ようやく田んぼに到着。「おお、ソケー、おったか。ようよう」と両者対面。

2008217maturimeguri_069 「ないな?ゆうべ、夜中ん2時まで、鹿屋で飲んじょったとや」

「ええ、そいで、びんた(頭)がいてとや。んだも、まこて、やっせんぼじゃ!」

 てげてげな次郎を、太郎がたしなめる。

2008217maturimeguri_074 「さあ、始むいが!日が暮るっど」

 太郎は鋤の方を持つが、次郎はなかなか牛を曳こうとしない。とうとう近くで見ていた棒踊りの子供を連れ出して加勢を頼む。

 「子どんはなあ、親ん手伝いはするもんやっどお。はら、引かんか」

 「あんた、僕の親じゃないでしょ」と言ったかどうか聞こえなかったが、とにかく三人で無事に田打ちは終了した。

 ここの田打ち神事(正確には、代かき神事)は、まるで漫才のようなやりとりに面白さがある。観衆の笑いは、絶えることがなかった。

  マップ(赤い十字が細山田の山宮神社)

Hosoyamadayamamiyajinja

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