« 山宮神社祈年祭(志布志市安楽) | トップページ | 梅と日の出 »

安楽神社打植祭(志布志市安楽)

Anrakujinja_001  志布志市の安楽神社(祭神・玉依姫)で、昨日9日の山宮神社祈年祭に引き続く春祭りの一環としての「打植(うちうえ)祭」があった。

 安楽神社は「やすらじんじゃ」と読み、安楽川や大字としての安楽地区は一般に「あんらく川」「あんらく地区」と呼び習わしているが、地元の人に聞くと、正しくは「安良」と書いて「ヤスラ」だそうだ。現にこの神社の鎮座する集落名は「安良集落」である。

Anrakujinja_002   由緒は山宮神社と同じく和銅年間で、明治39年に関わりのある他の五社が合祀された。旧安楽村の村社である。だが拝殿に掲げられた説明では「無格社」としてあり、首を傾げるところだが、大同年間(807年ごろ)に昨日祭りのあった山宮神社に合祀されているので、神社として戸籍上は存在しないということなのだろうか。

しかし紛れもなく神社はここにあり、実質上は「安良集落」の鎮守様として崇敬され続けている。より儀式性のある祈年祭は山宮神社で行われるが、土俗的・民俗的な打植祭(お田植え祭り)はこちらで行われているところに存続の秘密があるのかもしれない(県指定の無形民俗文化財)。Anrakujinja_005

 開始の午後2時まで時間があったので、神社の西側を流れる安楽川の沖積平野に下りてみた。一面の田んぼ地帯で、上流に行けば山宮神社のある台地のすぐ下まで続いているはずで、例によってシラス台地をえぐってできたウツ(宇都)状の地形が独特の凹んだ空間を示している。

 対岸から撮れば分かりやすいのだが、あいにく渡る橋がないので同じ側から撮ったのが右の写真で、左岸土手の左手のこんもりとした台地の上に安楽神社はある。流れがすぐその下までやってきていることが分かるだろう。要するに神社は流れにせり出した台地の上に設けられているわけで、これは安良集落側から神社を眺めるだけでは見えない視点である。Anrakujinja_008

神社に戻ると拝殿では祭礼が始まっていた。ここでは巫女舞があるらしく、二人の若い巫女がかしこまっているのが見えた(小学6年生だそうだ)。

 本殿に捧げ物をし、祝詞奏上、玉ぐし奉奠と型どおりに進みいよいよ巫女舞かと思っていると、巫女舞は外で行うという。

Anrakujinja_017 氏子の人たちがあわただしく境内に20枚ほどのゴザを敷き、その上で巫女舞が始まった。曲目は「浦安の舞」だ。

 この頃になると初春のやわらかな陽が差しはじめ、風も無く、まことにうららかな舞が、境内全体を舞台にして舞われた。周囲を埋め尽くした観衆も、しばし神妙に、春の気配を感じながら眺めている風だった。

Anrakujinja_024

 

 風雅な浦安の舞が終わると、今度は再びあの田の神夫婦のお出ましだ。

 今日は昨日ほどではなく、振る舞い酒もほどほどに切り上げて早々に境内に降りていった。それもそのはず、昨日とは違った役目があった。

Anrakujinja_055 田の神に抱っこされた赤ちゃんは丈夫に育つ」といういわれがあって、引っ張りだこなのだ。これではそう酔っ払ってはいられないだろう。抱かれるとすぐに泣き出す子もいるが、おおむねおとなしくしているように見えた。赤ん坊も馴れている(?)のか、まだ人見知りしない時期なのか、まさか本当に田の神に見えているのではあるまいに・・・。

Anrakujinja_030

田の神に赤ん坊を預ける人が続く間に、舞台では翁が現れ、田を打ち始めた。なかなか素早い手つきで田を打って回る。時々腰を伸ばして辛そうにするしぐさはご愛嬌ものだ。

 代掻き前の田の荒起こしを表現しているという。そう言えば、田の隅々まで丁寧に回り、水が漏れぬようモグラ穴までふさぐようなしぐさは念が入っている。

 やがて真っ赤な牛が舞台に下りてくる。今年は子牛までやって来た。はじめ翁が手なずけようとしても暴れまAnrakujinja_041 わって言うことを聞かない。そのうちに神官が手に木の鋤を持って来て牛に取り付け、どうやら無事に代掻きが終わる。

 このあと、宮司が代掻きした田んぼ(苗代)にモミをまき、それから田植えはどうするかと待っていると、拝殿で神主が田植え舞を行います、というアナウンス。

 拝殿を見ると、神官が二人で「田植え舞」を舞っていた。Anrakujinja_058

 打植祭とは「田を打つ」ことと「田植え」とを合わせたネーミングだろうから、当然「田打ち」と「田植え」は同格に扱われ、同じような行事があってしかるべきだが、これでは田植えが目立たない。

 鹿屋の中津神社では代掻き、田植え後に、苗に見立てた榊のような小枝を観衆に配る。それを田んぼの入り口に立てておくと虫が寄らない、などと言っている。Anrakujinja_050

  次は田の豊作を予祝するという「かぎ引き」だ。

 上半身裸の男たちが6人、三人ずつに分かれて向かい合う。2メートル余りの「かぎ」と呼ばれる先が二股になった木の棒で、相手を威嚇しながら股を引っ掛けあう。

 誰かの木の股が相手の股に引っ掛かったところで、両者は一気に力いっぱい引Anrakujinja_053 きながら、相手を自分の方へ引きずり込もうとする。

 今年は、向かって左のチームが引っ張り込んで勝ちを収めた。

 このあと、昨日と同じ「正月踊り」(安楽正月踊り保存会)が太鼓・三味線もにぎやかに奉納されて一連の祭礼は終了した。ちょうど2時間の行事であった。

  マップは前日(2月9日)の山宮神社祈年祭ブログを参照。ただし安楽神社(鳥居マーク)の位置はもう少し南で、安楽川寄りにあるので注意。

|

« 山宮神社祈年祭(志布志市安楽) | トップページ | 梅と日の出 »

おおすみ祭礼と行事」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 山宮神社祈年祭(志布志市安楽) | トップページ | 梅と日の出 »