指宿行き
家内の曽祖母の50年忌と祖母の祥月命日の年忌とを兼ねて、年忌法要が行われるというので指宿に出掛けた。
家内は昨日から泊りがけで行っているので、日帰りの自分は大根占港まで単車で行き、そこに駐車させて単身フェリーに乗り込んだ。
「なんきゅうフェリー」と言い、5,6年前から指宿間を運行している会社だ。今回で3回目か4回目だが、自分はこの19トン(総重量60トン)フェリーが気に入っている。でも、家内は何時だったか、とても波の高い日に乗り合わせてひどい目にあって以来、もう乗らないと意地を張っている。現に昨日は根占フェリーで指 宿に行った。
大根占港の風景の良さは、錦江湾内でも指折りだと思うし、ここから出航してすぐ、甲板から右手に桜島、左手に開聞岳を海風と共に眺められるのも、小型フェリーの特典だ。
出航して20分余り、ちょうど中間点を過ぎたあたりだったか、前方に指宿の展望台「魚見岳」、陸繋島で有名な「地林が島」それに豆粒のようにかわいらしい「地林が小島」が並んではっきり見えてきたので、写真を撮った。
ほんのわずかの後、「あれ、やけにカモメが海面すれすれに飛んでいるな」と思う間もなく、一条の大群へと変わった。すると同じ海面に黒っぽい物がジャンプしたではないか。
イルカだった。イルカが三頭か四頭ほど、まるでカモメに追われるかのように時おりジャンプしながら、かなりのスピードで泳いでいく。
最初あっけに取られていたが、デジカメ目一杯の望遠で撮ったら、やっと一枚のそれも左上の隅っこに写っていた。
それもたったの一頭だけ、しかし背びれがくっきりと分かる。
以前、根占フェリーで一度、高い甲板からお目にかかったことがあったが、間近に見るのは初めてだ。
イルカたちが追っかけているのは、キビナゴか何かの小魚の大群のようだ。
よく見ると、カモメの中には、海面にピチピチはねるその小魚をキャッチしているのもいる。
何のことはないうららかな大海原で「食物連鎖の弱肉強食」が行われている――のだが、それを言っちゃあおしめえよ、で、ここでは「イルカウォッチングを楽しんだ」ことにしておこう。
こういう特典つきで、船賃600円は、安いものだろう。
すでに5,6台の車が待っていた。15分後には再び大根占港に向けて出航するのだが、一日4往復のダイヤを組んでいる。
(なんきゅうフェリーのホームページはこちら)
家内の実家は同じ指宿でも、ここ指宿駅のある温泉地帯よりひとつ鹿児島よりの二月田駅の近くで、車で20分ほどかかる。
法要は二月田の薩摩藩公がよく利用したという「殿様の湯」の近くの寺で行われた。 浄土宗の寺で法然上人の銅像などがあったりする、静かな環境のところである。
法要後の昼食兼「厄落とし?」の飲ん方で、しこたま腹に落とし込んでいたら、あっという間に帰る時間になった。帰りのフェリーは家内運転の車のため、なんきゅうフェリーはパスされ、山川(根占)フェリーのご利用と相成った。
なんきゅうフェリーに乗るとき、夕方帰る時も利用するから単車を置かしておいてくれと頼んでおいたのだが、没。約束違反、ごめん。また利用するからさ、と心の中で言い訳をつぶやく。
夏時間ではないので、根占行きの最終便は16:10と早い。
「ぶーげんびりあ号」と名付けられた中型フェリーは、鳥羽商船の中古だというが、昔の根占フェリーより客船としての使い勝手はいいような気がする。
何より、靴を脱いであがる畳(実際はカーペット敷き)の部屋があるのが良い。横になれる。
山川港は火山の火口に海水が入り込んでできた「噴火湾」であるゆえに水深が深く、地場産業としての造船が盛んだ。
写真の造船所の陸側は急峻な崖になっており、海沿いの道路と崖の間から「崖葬の女性人骨」(弥生後期~古墳初期)が発見された。副葬品から女性シャーマンではないかと言われている。
南九州のみならず九州は女性の首領が多かったのが特徴だ(景行紀など)。
出航して間もなく、寝そべっていた隣りに若い(いや中年かな)男性が荷を降ろし、しきりに地図を眺めている。
「どこから来たの?」から始まった会話は、篤姫から特攻隊まで切れることが無かった。聞けば北海道は小樽から来たそうだ。
南九州を自転車で西から回り、今日(2日)は神川浜キャンプ場に泊まり、明日は鹿屋海上自衛隊航空基地史料館を見学し、志布志から日南あたりまで行くという。根占港に着いたところでワンショット。先々の無事を願って別れた。
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コメント
行きが「なんきゅうフェリー」で、帰りが「ぶーげんびりあ号」なんて、なんとも贅沢で羨ましいですね。私も、「ぶーげんびりあ号」には、乗ったことはありますが、鰹船のような「なんきゅうフェリー」にはまだ乗ったことは有りません。少し小さめの船だけに、楽しそうですね。
投稿: わん | 2008年5月 6日 (火) 09時06分