十三夜の綱引き(鹿屋市吾平町下名)
去年は遅れていって綱引きを見ることができず、残念な思いをしたが、今年は綱引きどころか、その綱を練るところから見ることができた。
吾平町の下名小学校の近くの「下名ふれあいセンター」の広い庭で、19日の朝8時頃から綱練りが始まった。行ったのは9時を過ぎていたので綱は半分近く、ない込まれていた。
片方は電柱、もう一方は専門業者が使うような本格的な足場に丸太が二本架けられ、下の方の太い丸太に人が乗り、向こうから練りながらこちらへ少しずつ引き降ろしていく。
練り上げる方は男衆が三人、体重を掛けながら順番を間違えずにぐるぐる回って縄を編んでいく。まるでメリーゴーラウンドだ。
持つ縄が短くなっていくとストップをかけ、女衆が藁を補給に走り、
再び練って回る。かなり体力を使っているようだ。
見ている高齢者に聞くと、昔は道路で沢山の人で練ったもの。今は広場があるのに若い者がおらず苦労している――という。
しかし戦後途絶えていたのを復活した以上、絶やさぬように何とかやって行きたい、とも言う。
綱引きが始まるという夕方6時、ふれあいセンターに行くと、練られた綱は広場の桜の木のそばに、とぐろを巻いた形で置かれていた。
綱の前のバケツにはすすき、焼酎ビンには栗の枝が入れられていた。多分、お月様へのお供えだろう。
時間が来たー、との声で綱が伸ばし始められる。
聞けば、なるべく白い装束で参加し、その上に白い手ぬぐいを独特の形にして頭に被る、という。
そう言われれば、なるほどみんなが被っている。
建物近くのマイクでは、三人の男衆が立って、相撲甚句のような唄を歌い出す。
歌に合わせるように、皆は綱を上下に揺らしながら広場を2~3回ぞろぞろと回る。
ちょうど蛇(竜)がのたうつ様子を再現していたのかもしれない。
いよいよ綱引きの開始だ。
今度は集落の上班と下班の対決。
近頃はどっちが勝っても「五穀豊穣」「集落安全」だから、必死というよりみんなニコニコしている。
綱引きが終わると、綱はすぐに相撲の土俵に仕立てられる。
まずは小学生の相撲。
集落に10人もいないようだが、子供たちが本来主役の十五夜、十三夜行事だから、これは本日のハイライトなのだが、ちと寂しい。
それでも屈託のない無邪気な取り口に、大人衆はやんやの喝采をおくる。
中学生に至っては写真の奥に座っている二人だけらしい(女子中学生は参加していない?)。
圧巻は夫婦相撲だ。
行事の呼び出し、解説がまず笑わせるが、取り口がとんちんかんで面白い。相撲漫才といったところ。
件の夫婦は父ちゃんの酔いどれ負け。母ちゃんに投げ捨てられた。
だが審判の物言いがあり、スローモーションでやれ、高速度でやれ、と三回もやらされたので観衆は大笑いだった。
そげん早く抱きつかんでよかが!呼吸が合わんどなあ。まあ、いっと深呼吸しやい。
こんな相撲が三番あって、お開きとなった。
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コメント
お疲れ様でした!
同じ日に2箇所を掛け持ち撮影、大変だったことと思います。
「流鏑馬祭り」の方も、肝心なところが撮れてよかったですね。
私も初めて見た次第です。
次回もまた期待しています。
投稿: 税理士窪田 | 2008年10月20日 (月) 13時28分
いや、何のこれしき!
実は、流鏑馬では、あと、騎射の練習と東串良の柏原海岸でのミソギの様子を撮りたいと思っています。
また、下名の十三夜綱引きでは、相撲甚句に譬えたあの唄をきちんと採録したいので、また一年、楽しみに待とうと思います。
投稿: kamodoku | 2008年10月20日 (月) 20時08分