ぶっこわす人
今朝の何とかというテレビで、福田内閣で特命(制度改革担当)大臣を務めていた渡辺喜美代議士が、麻生総理にはもうついていけない――というようなことを言っていた。多くの自民党代議士が同じような不満を口にしているらしい。
その理由は「考えに筋がない」「何をやろうとしているのか分からない」「選挙には勝てない」というもののようだ。
もっともその前の福田康夫首相も同じようだった。洞爺湖サミットだけが成果といえば成果ぐらいで、国策として目新しいものは何もなかった。
その前の安倍首相にはまだしも「美しい日本を取り戻す」というキャッチフレーズがあった。あの変人・小泉純一郎首相の後継として、まずまずの滑り出しだったが、農林水産大臣の自殺問題が結局尾を引いた形になり、突然辞任してしまったのは記憶に新しい。
やっと回ってきた総理の座。麻生太郎という人にとっては母方の祖父・吉田茂を強く意識せざるを得まい。終戦後の混乱期に今日の自民党体制(55年体制)の根幹を造った人物で、よくも悪しくも言われ続けている人だ。
福田康夫前総理と総裁選を戦ったときは、国民人気の太郎より康夫のほうが現役議員票では圧倒的に多かったが、それだけ「反太郎」が根強いことを如実に示した。つまり議員の間では、祖父の威光が余りに大きい太郎への嫉妬のような感情が強かったのだろう。
太郎はまた、祖父の吉田茂の妻(祖母)が牧野伸顕の娘であり、牧野は大久保利通の実の息子(次男)であるから、4代前が大久保利通ということになり、母系ではあるが明治維新の元勲と、戦後体制の功労者の両方の血を持つ我が国政界の真のサラブレッドと言ってよい。
このサラブレッドは「沈黙しない」のがモットーのようである。物言えば唇寒し、とは以心伝心の時代の話で、今日はやはり物申さねば分からない時代だ。特に外国との交渉では「腹をくくって話してなんぼ」なのだから、金を出し口も出すべきだろう。
今回の金融危機は明らかにアメリカの失政だ。そのことはちゃんと指摘すべきで、あいまいさは許されない。フランスのサルコジ大統領などは、もうアメリカの金融体制から離れ、新たな枠組みが必要と公言している。おそらく日本が何を言っても彼は「日本なんかアメリカの言うがままで、そんな国の話を聞く必要はない」くらいに思っているはずだ。
昔は「アメリカ(経済)が風邪を引くと、日本(経済)は肺炎になる」と言われたものだが、今やそんな主従関係は過去のものになった。そのことを今回の金融危機は教えてくれた。
日本もいい加減、アメリカに追従するのはやめることだ。ブッシュからオバマに変わるとその点、かなり可能性は出てこよう。一番大事なのは、日本がこれからどのような立場で世界全体の平和に対処していくか、その理念を高らかに謳うことではないだろうか。
太郎にそのことを期待しているのだが、もう無理だろうか。
「自民党をぶっこわす」と言って、結局ぶっこわさなかった小泉純一郎元首相だったが(息子はやはり自民党で出馬するのだろうか。悪い冗談でなければいいが・・・)、太郎は実のところ本当は「ぶっこわし」に掛かっているのかもしれない。
その上で、アメリカとの戦後関係を清算し、新たな国際関係を築いてほしいものだ。私見では「永世中立国」になるのが一番いい。ただしスイスのように国連とは距離を置く、というのはどうかと思うが、といって国連にすべてを預ける必要はない。
ゆめゆめ安保理の常任理事国などになろうと思ってはならない。なにしろ国連安保理は旧戦勝国でがっちり固めてあるのだから・・・。
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