旗山神社の柴祭り(肝属郡錦江町池田)-②1月3日
1月3日、旗山神社「柴祭り」の2日目「シシ狩り神事」に出かける。今朝は我が家の玄関口で-2.5度、この冬一番の寒さだった。
鼻をズルズル言わせながら、18キロの山道を単車で行くのは辛いが、一年待った祭礼行事だから―と気合を入れながら神社に向かう。幸い、路面の凍っていることもなく9時に到着した。
拝殿の横ではもう「弓矢」や「イノシシ」の形代が作られつつあった。
竹はコサンダケという自生している青竹、弦はごく普通のシュロ縄で、子供が喜びそうな出来栄えだ。
イノシシは藁苞にシュロの皮を着せていた。小ぶりだがなかなかの物。
最後に作られるのが「イノシシの肉」に模した「シトギ」(うるち米の粉を水で練った物=団子の原料)を藁苞に詰め込む。
見た目は苞納豆(ツトナットウ)だ。
これにあと8種類の常緑樹の枝葉でつくった「山ノ神シバ」(やまんかんしば)をこしらえて、午前中の準備は終わる。
午後一時に神事が始まった。
午前中に作っておいたシシ狩りの道具と「山ノ神シバ」が、納められていた本殿から取り出される。
今日の行事の無事と、シシ狩りに代表される諸事万端の恙が無きを祈る祝詞奏上のあと、神社を後にしてシシ狩り神事のおこなわれる場所まで行列で歩いて行く。
神社から約500㍍、一行は山中の「この坂」に向かう。
「この坂」はシシ狩り神事をおこなう場所だが、「この坂」の意味はよく分かっていないようだ。
私見では「この境」で、おそらく池田地区を見守る「山ノ神」の守備範囲の境目のことだろう。
シシ狩りの「この坂」に到着すると、すぐ近くの大木に持参した「山ノ神シバ」(榊の束と同じ)と鈴、神面などを立て掛け、宮司が祝詞をあげる。
そのあとが面白い。餅盗人(もちぬすと)」という神事があるのだ。
山ノ神の前で「餅泥棒」の絵を広げて、なんやかやぶつぶつ言いながら、絵に竹串を刺していく。
「こら、こら、お前は、ないごて盗んとか!」などと言いながら、十数本も餅泥棒の体に刺すのだが、ユーモアたっぷりの口上には思わず笑ってしまう。
そのあと、あらかじめ作っておいた「シシ小屋(ねぐら)」に向かって、神職が弓矢で射かける。
木の枝で設えられたシシ小屋をぐるぐる回りながら、ようやく4頭を仕留めて終了した。
焼けたシシは、神社で作っておいた藁苞入りのシトギがそれだとし、別の場所に行って祝詞を上げたあと、宮司が切り分けて参加者全員に食べさせる。
神事はそれで終り、神社に戻って行く。
この行事は昨日が「田の豊穣を願う予祝」だったのに対し、狩猟(山の幸)の豊かならんことを願うもので、当然ながら、米作りより一段と古い予祝神事であることは間違いない。
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コメント
謹賀新年、明けましておめでとうございます。
今年は忙しく、田舎に帰れませんでしたが、この写真を見て、木の香りや煙が目にしみるようで、すっかり田舎に帰って正月を過ごしたような気になりました。
どういう訳か、鹿屋は神奈川より寒いようですね。
投稿: わん | 2009年1月 6日 (火) 20時28分