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バラク・オバマと神武東征

アメリカ議会では与党の民主党、野党の共和党を問わず、政府の救援資金を受け取ってようやく息をついたAIGが、役員へ多額のボーナスを支給したことに対し、各党の議員が非常な剣幕で譴責してやまないが、どういう解決策をオバマ大統領が下すか見ものである。

 早い者勝ちのバクチ・いかさま金融が破綻して「百年に一度」と言われる経済危機が生じたわけだが、オバマ大統領はアメリカ経済の建て直しに、80年前のフーバー大統領の後継者ルーズベルトに学んで今回「グリーン・ニューディール」なるものを掲げてきた。

 国が環境に優しいクリーンエネルギー生産に大量投資をして、新規雇用を生み出し、もって国家の経済成長につなげよう――というわけだが、環境対策といえば同じアフリカに出自を持つワンガリ・マータイ女史を思い出す。

 不思議な符合だが、マータイ女史もバラク・オバマの父バラク・オバマ・シニアも同じケニアの出身だ。

 マータイさんはケニアの中央部、シニアはケニアの最西部出身の違いはあるが、アフリカのケニア出身者が、一方はノーベル平和賞(2004年度)という世界平和に資する最高の栄誉をかちえ、他方は息子ではあるがアメリカ大統領という世界の超大国の最高指導者に就任した。

 ケニアには国連環境計画という国際機関があり、環境には格別考慮を払っているからなのかもしれないが、マータイさんが緑化事業で平和賞を得た一方で、「ケニアの息子」はグリーンニューディールを標榜したのである。

 余りに出来過ぎていないか、と思うのは私だけか。

 ところで、オバマ大統領就任以後、今回で3度目のコメントを書くわけだが、アメリカにおける奴隷解放以来、140年にしてようやく黒人系の大統領が誕生したと同時に「百年に一度の経済危機」が生じたという、余りにも劇的な時代背景が重なった。われわれはまさに「百年、140年に一度」という時代の大転換に遭遇している――ということが、私をしてコメントを3度も繰り返させているゆえんだろう。

 好むと好まざるとに関わらず、われわれは大転換期にあるということを肝に銘じ、これからの地球規模の動きに注目していかなければならないのだ。

 閑話休題――つらつら思うに、このオバマ新大統領の就任はわが「神武東征」になぞらえられるのではないだろうか?

 え!何を言ってるんだ!と言い返されようが、「あの何もない素寒貧の南九州から大和へやって来て、列島の最高権力たる大和王朝など築けるわけがない。神武東征説話は南九州のクマソ・隼人という遅れた蛮族が大和王権に従わないで反抗するので、太古にさかのぼり、その昔は兄弟だったのだから、仲良くしようじゃないか――というコンセプトで創作し、書き上げたのが記紀であり、大和王朝は太古から大和にあって列島を統治していたのだ」と主張している「大和中心主義者」へのレクイエム(鎮魂歌)たり得るかもしれない。

 と言うのも、オバマ大統領の父親バラク・オバマ・シニアは先に述べたように、アフリカはケニアの出身である。しかもマータイさんと違ってケニア最西部のニャンザ州シアヤ県のニャンゴマ・コゲロ村という、いまだにテレビ放送もないような小さな農村の生まれだ。

 そのバラク・オバマ・シニアが、まあ成績は抜群だったのだろう、アメリカはハワイ州のハワイ大学へ留学した。そこで知り合ったのが白人の大学生アンであった。恋に落ちた二人は結婚し、バラク・オバマ・ジュニアすなわちオバマ大統領が生まれた。

 わずか3年で両親は離婚し、ジュニアは母方のアンの両親に育てられる。

 アンの再婚相手のインドネシア人と同居するため、ジュニアはインドネシアで5,6年を過ごすが、中学・高校生活はハワイで送り、その後はアメリカ本土に渡り、大学からロースクール大学院を出て弁護士という職業を経て、今日の大統領まで上り詰めたのである。

 アフリカの寒村に生まれた人物が、ハワイに行き、そこで知り合った現地白人と結ばれて生まれた子が、世界でもっとも文明の進んだアメリカの最高権力者になった――これはおとぎ話ではない、リアルタイムの現実の話だ。

 父のバラク・オバマ・シニアをニニギノミコトになぞらえると、ジュニアはホホデミノミコトだろう。そして母アンはカムアタツヒメになる。このあと記紀の日向神話ではウガヤフキアエズ、ワカミケヌ(のちの神武天皇)と二代続くが、いずれにしてもこのあとオバマはアメリカの最高指導者になり、南九州の日向から発った神武は大和の最高指導者になっている。

 わが日本では「何にもない素寒貧の南九州からの東征、そして大和王朝の創始などあり得ぬ」と言われる一方だが、現実の世界では「アフリカの何もない素寒貧のケニアのニャンゴマ・コゲロ村から東征した人物の子が、アメリカの最高指導者、つまりは世界の最高指導者になった」ことは認めざるを得ないではないか!

 素寒貧の南九州からの東征など有り得ない、おとぎ話だ――と主張する「大和中心主義的歴史観」に囚われた研究者は、この現実を見てどう考えるのか知りたいものだ。

 

 

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