「海運大国」日本の再確認
今日の夕方、毎週土曜日の6時ごろから放映されるNHK「週間こどもニュース」はよく見るテレビ番組のひとつだ。純真な小学生の、社会に向ける眼がどんなものかが感じられて面白くて見ている。
今日は特集として「海運」があった。
「海外から日本へたくさんの物資が輸入されるけれど、その時に海運が占める割合はどのくらいか分かる?」
お父さん(最近キャスターが変わって若い人になった)がこう言っても、子供たちは予想さえできない。
「99.7%なんだよ」
お父さんがそう言うと、子供たちは「ええ!まじで?」とか何とか言いながらどよめく。小学校の高学年だったら日本の貿易の輸出・輸入の特徴や、例の「加工貿易」という言葉は学んでいるはずだ。
ところが、輸出入にせよ「加工貿易」にせよ、それを成り立たせている「海運」については詳しく学んできていない。そしてその間の事情は海運会社や貿易商社にでも勤務しない限り、大人でも同じようなものなのである。
(写真はNHK「週間子供ニュース」5月9日)のテレビ画面から撮影)
小学生キャスターの女の子が実際に港へ行き、コンテナヤードとコンテナ船を取材しているところ。
海上保安間の活躍を描いた映画「海猿」やソマリア沖の海賊船対策として海上自衛隊の駆逐艦が出動したことで、海への関心は高まりつつあるが、陸上生活中心のわれわれ一般国民は海の情報には極めて疎いのが現実である。
クレーンによって荷積みされるコンテナ。
記憶に間違いが無ければ、日本は年間10億トン近くの物資を輸入している。
コンビニやスーパーマーケットに並ぶ商品の6、70パーセントは輸入物でそのほとんどが船で運ばれて来たのだが、消費者は「○○国産」には気を配るが、はるかな航路を経てそこに陳列されているのだ、なんてことは全く意識のほかだろう。
それほど「海運」は日常から遠ざけられている。
そのことは「白村江の戦い」(663年)で九州島を中心とする航海系倭人が敗れて壊滅状態になった7世紀末の時代と、はるかに飛んでアメリカとの戦い(太平洋戦争)で「海軍大国・日本」が敗れて壊滅状態になった戦後に特にひどくなった。
白村江戦役以後は、陸上の「米」を機軸とする「律令国家」構想が大和王権のコンセプトとなって中央集権国家を実現し、太平洋戦争後は、陸上の「工業生産」を機軸とする「加工貿易国家」構想が戦後のコンセプトになり、高度経済成長国家が実現されたのだが、どちらにしても「海運」は土台の部門として日の当たらない状態が続いてきた。
その中で原油のタンカーだけは、生命線であるエネルギー資源の運搬ということで若干の注目は浴びたことがあったが、総体的に見て陸上部門の話題性にははるかに及ばなかったし、今でも、実情はこの番組が示した通りである。
「海の日」(7月20日)が制定されてだいぶ経つが、海水浴をはじめとする海のレジャーを楽しむ日という風に矮小化されてしまっているのが現状だ。もう少し世界大の交易に眼を振り向けないといけないだろう。歴史のなぞも、海運を理解しないと解けないものが多いのである。
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コメント
ソマリアの海賊対策のための自衛隊派遣については、自民党が非常にわかりやすいアニメーションムービーをホームページにアップしていました。
http://www.jimin.jp/index.html
子どもたちにもわかりやすいムービーでの解説になっていて、いい教材だと思います。自民党も変わってきたなぁと感心しました(笑)
投稿: ねね | 2009年5月12日 (火) 20時58分