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ユタと沖縄のこころ

夜のテレビ番組「大人のソナタ」(KKB=鹿児島放送)を見ていたら、ありふれた「予知能力」の話であったが、途中から沖縄に今も存在する「ユタ」という「神の声を聴く心理カウンセラー」が取り上げられていた。

 ユタはすでに聞いたことがあるし、古い映像が別の番組でも放映されたことがあったから、よく知っている。628okinawanonoro_003

沖縄本島の西にある「久高島」では、「イザイホー」と呼ばれるユタになるための儀式があり、何年かにいっぺん写真のようなユタ候補たちが4日間にわたって一同に会して行われる。628okinawanonoro_006

琉球大の赤嶺教授によると、「聞得大君(きこえおおきみ)を頂点とするユタたちの組織が公然と設立されたのは、世界でも類例がない」とのことである。

 要するに古代以前にあった「祭政一致」の統治体制のうち「祭」を司るのが「聞得大君」であり、ユタたちはその配下にはべり、国家の枢要事について「神がかりになって」答申していたのだ。

 番組ではこの組織は外部からもたらされたように説明していたが、むしろ逆で、古代以前の祭政一致体制が沖縄には残された――というべきだろう。628okinawanonoro_007

番組では宮古島在住の本物のユタに密着取材していた。

 65歳という彼女は23歳の時に、「カンダーり(神がかり)」に遭い、狂ったように島中を歩き回り、3ヶ月もの間、ほとんど寝られなかったそうである。

 歩き回った末、ある昔ながらの井戸が工事で埋もれそうになった事実に行き当たり、それを守って工事による消滅から救ったことで、「カンダーリ」が収まった。そこは実は古代からある「御嶽(うたき)=聖地」だったという。

(思うに「カンダーリ」とは神がかりではなく「神垂れ(カンダレ)」であろう)。

 このような人は実は古代以前の日本列島にはたくさんいた。

 日本書紀の「景行天皇紀」では、天皇自ら九州のクマソを征伐にやってくるのだが、九州には次のような女首長がいた。

 ・神夏磯媛(かむかしひめ)=豊前国の首長

 ・速津媛(はやつひめ)=豊後の速見邑の首長

 ・市乾鹿文・市鹿文(いちひかや・いちかや)=クマソ国の首長の娘姉妹。おそらく「祭」を司っていた。

 ・御刀媛(みはかしひめ)=日向国の首長

 ・泉媛(いずみひめ)=諸県君(もろかたのきみ=諸県の首長)

 ・八女津媛(やめつひめ)=八女県(やめのあがた)の首長

 この最後の八女津媛こそが邪馬台国女王ヒミコとするのが私見だが、いずれにせよ九州では女首長があまたいて、沖縄の「聞得大君」のような役割を果たしていたに違いない。それが律令制以降、中国大陸の官制が導入されるに及んで、このような女性の「祭祀権」が奪われ、ついにはたんなるシャーマンという地位に落ちてしまった。

 明治維新は「王政復古」であり、要するに「中国(唐)の官僚組織にならった天皇を頂点とする律令体制への復帰」だったわけだが、もう一度維新があるとすれば、そこをさらに遡り「女性の祭祀権をも戴く統治体制への回帰」に行き着くであろう。

 美智子皇后が垣間見せる「母性的安心感を国民に分かち与える」ことが、これからますます必要になってくるに違いない。

 そこでは「地位も名誉も金も物も、一切が相対化され、真実のココロが自他共に尊重される」はずである。

 番組の最後に沖縄出身の元チャンプルーズ・現国会議員「嘉納昌吉(かのうしょうきち)」が「花」を歌っていたが、その主題は「心の中に花を咲かそうよ」であった。そう、決して外部に対してひけらかす花(地位・名誉・金)ではなく、ココロが本当に求めている花なのである。628okinawanonoro_008

628okinawanonoro_009 「金・地位・名誉という花」なぞいらぬ。

 「心の奥にある真実の自分(花)を探そうよ」

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日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

 錦江町にもおられましたね~。人が行き方不明になると、奉仕者(ほしゃどん) に、お願いして、捜してもらうのです。元々は、神楽を奉納する舞人のことですが、田代から大根占に行くとき、急激な坂が終わるところに、今もいらしゃるようです。あのへんで、神楽舞など聞いたことはありませんので、シャーマンとしての意味合いしかないのかも知れません。

投稿: わん | 2009年7月 7日 (火) 07時28分

僕も幼き頃から霊感があり現在もオーブをみたり、はっきりと霊体をみます。
沖縄県宮古島出身です。
もって生まれし定めだとユタに言われました。

投稿: だい | 2013年11月 8日 (金) 15時12分

沖縄には有名な男性のユタがいるそうですね。
 「医者半分、ユタ半分」ということわざも、神憑りする人たちが日常的に人々の心の部分の調整役を担っている沖縄の風土をよく表していると思いますよ。
 沖縄だけでなく、遠い昔は本土でも普遍的にあった現象だったのが、文明の発達とやらで影が薄くなって行ったのでしょう。もう一度別の形でよみがえって来るのではないかとも思いますが・・・。

投稿: kamodoku | 2013年11月13日 (水) 10時58分

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