シュワちゃんの財政非常事態宣言
カリフォルニア州のアーノルド・シュワルツェネッガー知事が、7月1日ついに非常事態を発令した。「非常事態」といっても財政に限られているが、州政府が公権力を発動して財政の危機に対処するというものだ。
何のことはない「金庫が底をつくので、払えるものが払えません。つきましては借用証書だけはお渡ししておきます。資金に余裕が出たら優先的にお支払いしますから、ちょっと待っててよ」ということらしい。
その期限は7月末のようで、果たしてそんな短期間のうちに200億ドルとかいう債務をどうやって完済するかだが、筋から言えば「州債」のようなものを発行すれば資金は集められるのではないか。それさえ難しいのだろうか。
確か春先にも、「金庫が空っぽになりそうだ」とか言っていたが、あれはどうやり繰りしたのか。オバマ政権が手当てをしてやったという話も聞いていない。合衆国政府ももうそんなこと構っていられないのだろう。
なにせアメリカは名立たる「地方分権」国家だ。自分のことは自分でやれ―ということなのだろう。それはそれで筋が通っている。州の財政が破綻してもそれは自己責任であり、州民はそんな州政府がいやならハワイ州でもケンタッキー州でもどこでも好きな所に住めばよい。「自由」なのだから・・・。
思えば確かにアメリカは「自由」だし、「自由に描いた夢」が実現する所でもある。
単身移民であるシュワちゃんが、映画界で大スターになり、1代でアメリカでも最大規模のカリフォルニア州の知事になった。
現バラク・オバマ大統領に至ってはケニア人留学生だった父と白人の母の子で、しかも4歳の時に父母は離婚し、父バラク・オバマ・シニアはケニアに帰ってしまった。
前者は成功者がさらなる頂点を目指して実現した事例。後者はむしろ苦労人が刻苦勉励し、頂点に上り詰めた事例。
経歴に大きな違いがあり、人さまざまな理解の仕方があろうが、共通しているのは、よそ者が来て頂点に立ったという点だ。オバマの母親は白人の在住アメリカンでシュワちゃんとは違うようだが、両親はスウェーデン系だそうだから、やはり、よそ者に近い。
戦後、アメリカに負けたということもあって、何もかもアメリカがお手本とされて来た経緯がある上、今また「規制緩和だ」「小さな政府だ」「地方分権だ」とアメリカをさらなるモデルにした政治概念が叫ばれているが、「中国人でも朝鮮人でもアメリカ人でもケニア人でも、誰でも知事や首相になれる」というところまで踏み込めるのだろうか?
日本では、まずそれは無理だろう。またカリフォルニア州のような地方が破産状態になっても、たとえば宮崎県が破産しても「財源委譲した上で破産するのは、その地方の責任だから、国は関与しない」と言い切れるだろうか。これもまた日本ではありえない話だ。
地方において国が関与すべき点はやはり少なくない。財源委譲するから地方で勝手にやれ、では納税者が多くまたその額も大きい都市部はいいが、地方はたまったものではない。格差はますます広がってしまうだろう。
「金をもっとよこせ、もっと地方に自由な金を使わせろ。国の余分な事業の負担を押し付けるな」と橋下大阪府知事などは言っているが、すべては資金の問題であるかのような考えでは逆に足元をすくわれるのではないか。
話を「財政非常事態宣言」に戻すが、もしこのままオバマ政権が何もしない、となると、どうなるのだろうか?財政は破綻しても「州」は存在するだろうから、考えられるのは「債務帳消し」つまりは州財政のリセットだ。
アメリカ版「徳政令」ということになろう。無事に済むだろうか?
すべての債権者が余裕もあり忍耐もあればそれは可能だが、果たしてどうなることやら。
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