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だっきしょ(落花生)

落花生を鹿児島では「だっきしょ」と言うのだが、他県人が聞いたら何のことか分かるまい。

 鹿児島弁では「ラ」言葉が、「タ(ダ)」と発音されることが多い。「知らん(知らない)」が「シタン」と発音されたりする。したがって「らっかせい」が「だっきしょ」となる(「しょ」は「生」を「しょう」と呼んでいて、「う」が脱落したのである)。

 しかしそもそも「落花生」とは不思議な命名だが、実はこれは落花生というマメ科植物の風変わりな生態に基づく名前なのである。そこで、知人の畑で落花生を引き抜いてもらってその生態を観察してみた。912kakashikumoimo_008

一株の落花生。これを引き抜くと912kakashikumoimo_009

土の中から、見えてきた。912kakashikumoimo_011

鈴生りのピーナツ。

このピーナツはいかにも土の中から現れるので、実の成り始めから土の中にあったものと勘違いされる。

 実は・・・・・912kakashikumoimo_013

この写真の真ん中にぶら下がっているピーナツをよく見ると、へその緒のような管にぶら下がっていることが分かる。

 この管が出ている茎のところに、写真左上に見えているような黄色の花がまず咲く。

 それが受粉すると、受精卵を持った花から、するすると管が10センチも下の方に伸び、ついに土に中に入って行く。そこで光合成による養分を溜め込んで、一人前のピーナツになるという仕組みだ。

 その時、花が土まで落ちるように見えるので「落花生」と名付けられたのである。

 この落花生にまつわる面白い話がある。先日、花岡学習センターで頂いた『花岡郷土史』を読んでいて、ある箇所でふと思い出したのだ。むかし、まだ指宿に住んでいた時に、ある歴史に詳しい人から聞いていたことである。あの時は何のことやら分からなかったが、今は理解できる。

 『花岡郷土史』の中の「主な農産物とその由来」のところで、<花岡落花生>について書かれた中で、明治の終り頃と思うが、当時の村長の上村精之助が農産物の販売促進をしに東京に行った時、とある会合で、こう演説をぶったそうだ。

あたいげんむらん だっきその 生産は あばてんねもんごわす

と・・・。

 おそらく多くの人は「生産は」という部分だけは分かるだろうが、あとは「チンプンカンプン」に違いない。その会合には鹿児島県出身者が多数来ていたと思うが、鹿児島1世なら容易に理解できた演説も、東京生まれの2世たちには全く聞きなれない言葉だったろう。そのため後々まで、この演説は語り草になったそうだ。

 標準語に訳すと 「私の村の 落花生の 生産は 相当なものでございます」 だが、たしかに当時の花岡は「多い農家では5、6反(5~6000㎡)は耕作していた」とあるように、栽培は非j常に盛んであった。

 「だっきしょ」は掘り上げたあと、しばらく天日干しをしてから食膳にのぼり、「焼酎のシオケ」になる。「シオケ」とは「塩気」で、「酒の肴(つまみ)」のことである。秋の夜長の酒肴に、鹿児島独特の「煮ピーナツ」もいいもんだ。

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