吾平山陵の桜
北九州から帰省中の息子と彼女を吾平山陵に案内した。
桜がどうかと気になっていたのだが、思いがけずほぼ満開だった。 山の中腹の山桜がまだ白く咲いているのが見えるのだが、ここは盆地状で冷え込みが強いのだろうか、4分5分咲きを通り越して早くも満開を迎えている。時おり吹く風に、もうちらほらと花びらを舞わせている桜もある。
川に泳ぐ錦鯉がまるで桜の花びらを餌と勘違いしているかのように、岸近くに寄って来ていた(本当は石段から人が餌を投げ入れているのだ)。
久しぶりの青空に淡いピンクが映える。
連休最後の休日とあって、人の出が多い。しかし、吾平山陵の洞窟陵まで足をのばす人は少ない。 われわれ三人のほかには参拝者は見えない。川向こうの石の鳥居の奥が「吾平山陵」で、宮内庁書陵部が管理している。
吾平山陵は正式には「吾平山上陵」だが、崖下の洞窟なので山上陵はおかしい。実際、こちらでは「サンリョウ」と呼び習わし、誰ひとり「サンジョウリョウ」とは言わない。
『三国名勝図会』では地元の伝承を紹介していて、洞窟の中には二つの土まんじゅうがあるという。それがウガヤ尊とタマヨリヒメ夫婦の墓、との見立てである。祠も設けているそうだ。
田代町(現・錦江町)の鵜戸野という所にも、これとそっくりの洞窟が、同じように清流の向こう側にあって、10年余り前に田代にいた頃、土地の人と秋祭りの一環でその洞窟に2回ほどお供え物をしに入ったことがある。
やはり中には小さな祠が祀ってあった。その上、小さな土まんじゅうもあったが、それは洞窟内に住んでいるコウモリの糞が積もって出来たのだと言われたのを思い出した。
洞窟が墓所とは一体どういうことだろうか。墓の主であるウガヤフキアエズノミコトは、天孫降臨神話(日向神話)の中でも異彩を放つ説話の持ち主である。おおすみ上代史謎解きのキーマンであるような気がする。
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