城山の桜(鹿屋市北田町)
冴えない天気だが、桜もそろそろ終わりだろうかと街中に食事に出たついでに、北田町の一角、大手町の並びにそびえる「鹿屋城址公園」に行ってみた。
町の中心から歩いて5分の所に、かって城山の麓から滾々と湧き出していた泉を溜めた「北田池」があったが、今は湧き水も少なくなりその面影はない。ただし、今でも澄明な水は出ていて、庭園としては見事な滝にしつらえてある。 北田公園。向こうの岡の上が鹿屋城跡。桜が散り始めるのと入れ替わりのツツジが美しい。
北田公園を抜け、公園駐車場の間を行くと右手に谷状の坂道があるので上がって行く。すると坂の中ほど右側に城址公園の入口がある。
二の丸跡に出る。桜は満開からやや散ったところだ。こんな言葉があろうとは思えないが「2分散り」である。
本丸には上がらず、右手の眺望の良い隘路を進む。そこからは鹿屋市街地が見下ろせる。 左手のクリーム色した建物が3年前にオープンした「リナシティかのや」。中心部の商店街を整理して建てられた「情報・芸術・福祉・商業」の複合施設だ。郊外大型店舗群から客を取り戻そうというコンセプトをもつ。経営の試行錯誤が続いている。
展望コースの隘路をそのままいくと本丸の東のちょっとした桜公園があった。中でも柵の外の1本はかなりの大木で,
見栄えがする。 その「桜公園」から振り返る本丸跡。クスの若葉がもくもくと萌え立って来ている。
鹿屋城は別名「亀鶴城」。中世の串良院地頭・津野四郎兵衛が築城したという。津野が串良で居所としたのは「鶴亀城」であった。「鶴」と「亀」を入れ替えたネーミングがユーモラスだ。津野四郎兵衛の命名なら面白いが、後世の脚色だろう。
平地に近い台地に築かれた中世の城としては出色の出来栄えだが、残念ながら明治以降あまりにも改変され、文化財としての価値が激減してしまった。
城跡を後にして、再び街中に戻る。さっき城跡から眺めたリナシティの中の映画館「リナシアター」で、山田洋次監督作品、吉永小百合主演の『おとうと』を観る。
13時開演の館内には高齢者が自分を含めて6人と30代とおぼしき夫婦が一組、の8人だけ。なんとも贅沢な小百合様との再会。
館内に撮影禁止などの表示が無かったので、忍ばせてきたデジカメで名場面を写そうと思ったのだが、始まると同時に「撮影するのは犯罪です」という内容のテロップが流れ、あえなく諦めた。 山田洋次監督の十年ぶりの現代物、それも「家族」の姿をとらえた作品で、案の定「寅さん」をほうふつとさせた。
吉永小百合の演技はやはりただものではない。弟(鶴瓶)の死の場面より、弟の死の近いことを知った時の小百合の表情と仕種に、目が潤んでしまった。
寅さんの帝釈天での弟分役だった佐藤蛾次郎がチョイ役で出ていたのも懐かしかったが、傑作なのは、弟が息を引き取るホスピス「みどりの家」の入所者が集まる団欒の部屋のテレビ画面に、寅さん映画が流れていたことだ。よく見なければ気が付くまい。
映画では、弟は桜の散る頃の4月7日に死ぬことを予期して、その通りになった。
まさにちょうど今の時期のことだ。
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