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65年目の広島

 今年は広島・長崎に原爆が投下され、大惨劇が起きて65年目。

 8月6日は昨年4月にアメリカ大統領オバマがプラハで「核廃絶」を訴えた成果が形となり、記念すべき戦没者慰霊の平和祈念式典となった。

 アメリカの政府代表・ルース駐日大使ほか、旧連合国の重鎮であるイギリスとフランスも参列者を送ってきた。式典ではアメリカ代表の挨拶も、もちろん「謝罪」もなかったが、実質上はオバマ大統領の言う「核使用の道義的責任」、ひいては広島・長崎への謝罪を内外に表明したといっていい。

 アメリカなどでは「広島・長崎への原爆投下は、戦争終結を早め、犠牲者を極力減らすための止むを得ない使用」という論法で正当化しているのだが、それが誤りであることは明らかだ。

 原爆搭載機エノラ・ゲイの乗員や家族、それに保守系の政治家は政府代表を参列させたことを非難しているようだが、彼らは日本の一般国民(非戦闘員)が住民のほとんどを占めている都市に対して原爆を落とすという非道かつ戦時国際法違反をあえて敢行した罪の大きさを感じないよう、国を挙げてそういった非道隠しのキャンペーンを行ってきたその援護に乗っかっているだけの話である。

 原爆を落として日本の抗戦能力をそぐというのであれば、広島だったら呉海軍基地、長崎だったら佐世保海軍基地などの軍事基地に落とせばよかったのだ。それをせず、あえて商業や文教・病院など一般住民密集地域を狙って落としたのは、戦史上、まれに見る残虐行為にほかならない。

 日本人は戦後、日本が勝手に、しないでもいい戦争をおっぱじめ、その結果、負けると分かっている超大国アメリカへ挑戦し、惨憺たる敗戦を喫した。その流れの中で最終的に原爆をお見舞いされることになってしまったが、もともと悪いのは日本の方だから仕方がない、という太平洋戦争観を教育されてきた(自分もほぼそのように習ってきた)。

 しかしイギリスの歴史学者トインビーの言葉を借りれば、あの戦争は「文明と文明との衝突」であって、ある意味で避けて通れないものだったのだ。

 アフリカを分割支配してローマ文明時代の「奴隷制度」を復活させ、大量のアフリカ人を商品としてアメリカに送り込み、中国へはアヘンを売り、インドからは綿花を仕入れ・・・・・という悪名高き交易をほしいがままにしてきたのは、イギリスを中心とする「西欧列強」であった。

 そのような戦前、西洋に属さない有色人種で、独立し、かつ西欧と肩を並べるところまで到達したのは日本だけである。日本は欧米によって分割され植民地化された多くのアジア・アフリカ人種の希望の星であった。

 そのような戦前の歴史を学ぶと、日本は決して悪いのではない、ただ戦争に負けただけだ。戦後、アジア・アフリカ諸国が次々に欧米からの独立を果たしたが、それは日本が身を賭して欧米列強に挑戦したことが大きな後押しとなっている。

 今回、アジアのノーベル平和賞と言われる「マグサイサイ賞」(フィリピン国が主催)が広島市長に贈られたが、そのことはアジア・アフリカ諸国が日本をどう見ているか、ひとつの証拠になろう。日本は決して悪かったわけではない。

 マグサイサイ賞を発行したフィリピンには、アジア最大の米軍基地「スービック海軍基地」と「クラーク空軍基地」があったが、2046年までアメリカ軍が使用する契約があったにもかかわらず、契約を打ち切り、アメリカに返還させている。沖縄を始めとする多数の米軍基地を置かれている日本も他山の石とすべきだろう。

 日本から米軍基地が無くなったら、すぐに中国や北朝鮮、ロシアなどの挑戦を受け、日本はやがて極東の火種になるだろう、というような論法で、日米同盟とそれに基く地位協定の死守を訴える向きもあるが、もしそんなことになったら今の世界においてどちらが非道かはすぐに明らかになり、国際社会が許さないであろうから、心配する必要は無い。

 それより、自分の国はあくまで自分たちの手で守る、という強烈な信念を国際社会に向けてアピールしておくことこそ、情報化社会の現代においては重要である。

 

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コメント

管理人さんへ  ご参考までに。

>日本人は戦後、日本が勝手に、しないでもいい戦争をおっぱじめ、その結果、負けると分かっている超大国アメリカへ挑戦し、惨憺たる敗戦を喫した。その流れの中で最終的に原爆をお見舞いされることになってしまったが、もともと悪いのは日本の方だから仕方がない、という太平洋戦争観を教育されてきた(自分もほぼそのように習ってきた)。<

全く同感です。
然し戦後日本人は何故こうも180度価値観が転換してしまったのでしょうか。
それを敗戦直後から吹き荒れたマルクス左翼歴史史観の所為にするのは安易。
「明治開国以来無批判に受容してきたフランス革命伝来の『近代主義』思想潮流を遠因とし、戦後は米国由来の『自由民主主義』という第2の原爆被爆症が今日では保守論壇にまでその病巣が蔓延していいる」として、真性保守主義という論争が展開されている掲示板があります。
「櫻粋會/近代保守思想の学術的省察」http://6131.teacup.com/dartford/bbs

管理人「実存主義者」氏は、西部邁・三島由紀夫教徒としてチャンネル櫻掲示板http://nf.ch-sakura.jp/modules/newbb/の「地獄の戦場」にて「SAKAMOTO」なるHNで論陣を張っていたのですが短気が祟り退出、同じく同板で稀有有能なな論客「山桜」氏も同道退出し上記掲示板ではHN-「しかばね」、及び「もがりぶえ」として再登場しています。
特にHN「山櫻」「しかばね」「もがりぶえ」氏は当代一の論客、是非その論考文をお読みなされる様推奨いたします。

小生もチャンネル櫻掲示板ではかって種々の変名で投稿したことはありますが今ではチャンネル櫻に姿勢自体に愛想が尽き、僅かに「歴史の観察者」氏や知人「覚醒せし者」氏の投稿をROMするのみで退出しています。
(「歴史の観察者」の投稿は面白く、25年間の中国滞在体験に基く保守論壇への警告は傾聴に値する異論)

櫻粋會も傾聴しているだけでめったに投稿はしていませんが、「ROM」なるHNで6月28日(http://6131.teacup.com/dartford/bbs?OF=190&)より小林秀雄論で投稿仕掛かりましたが・・・ご笑覧下さい。
ただ今では小林秀雄論よりも失われた縄文人の豊かな感性力をしる手掛かりとして本居宣長の「古事記伝」の方に興味が移ってしまっていますので今後あまり投稿することは無いと思いますが・・・

 


投稿: | 2010年8月10日 (火) 20時20分

上記推奨者の投稿スレッドは沢山ありますが主な分のみ追加します。

「歴史の観察者」氏・・・(現在モンゴル秘境歴史探訪旅行中)
http://nf.ch-sakura.jp/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=4492&forum=1&viewmode=flat&order=ASC&start=310

「覚醒せし者」氏・・・・(知人の大分の医師、「拉致被害者を救う会大分代表」
本格議論欄「陸軍中野学校中野校友会編」(小生HN「枯草」が貸与した本を紹介)
http://nf.ch-sakura.jp/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=1464&forum=9

「SAKAMOTO」氏
「民主主義に観る戦後日本の観念的断層」
http://nf.ch-sakura.jp/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=2736&forum=1

「山桜」氏・・・現代最も重厚沈着な論客でチャンネル桜では旧掲示板「本格議論」欄に投稿していましたが、現在当板は開けなくなってしまっています。
御希望なら後日他の投稿論を探してご紹介します。

投稿: 隅南風人 | 2010年8月10日 (火) 21時20分

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