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新発見の象嵌装大刀シンポジウム(鹿屋市吾平町)

 鹿屋市吾平町の中尾遺跡の地下式横穴墓から見つかった鉄刀に、「心葉形」の象嵌が刻み込まれていたが、これは鹿児島県で初めての発見であり、また全国を見渡しても「心葉形」(ハートマークの中に葉脈のような線が刻まれている)の太刀は中尾遺跡を含めて16箇所しか出土していない貴重なものである。

 このことを記念し、鹿屋市吾平町の中心部の吾平振興会館体育館で11月28日(日)にシンポジウムが開かれた。

 会場に入るとすぐ正面にガラスケースに「象嵌装大刀」が展示されていた。221128zougantati_001  中尾地下式横穴古墳群の6号墓から見つかった全長72センチの鉄刀の鍔の両面に、誰見まごうことのないハート型の文様が所狭しと象嵌されていた。

 また,はばき(金偏に祖)にも、持つ手の部分の柄がしらにも象嵌が施されていた。(写真提供は鹿屋市教育委員会=転載を禁ず

s221128zougantati_003  8号墳から出た鉄剣は90センチもある代物だ。

 残念ながら、この剣には象嵌はなかった。(写真提供は鹿屋市教育委員会=転載禁止221128zougantati_002 中尾地下式古墳群から出土した土器類。弥生時代から古墳時代までの土器が検出された。221128zougantati004  開会行事のあと、基調講演2題があり、最初の講師は女性ながら金属器の保存修復を専門とする別府大学の先生だった。

 象嵌の意味から技法、それに今回発見された中尾遺跡出土の象嵌大刀の「心葉形」文様の意義を簡潔に述べていた。それによると「心葉形」は実は鳳凰の羽根を表したものだという。

221128zougantati_005_2  次の講演は九州国立博物館の保存科学の先生で、今回の太刀を九州国立博物館でCTスキャンし、明瞭な象嵌文様があるのを最終的に確認した人であった。CTスキャンとはどういうものかの説明が中心だった。

 今回の大刀は、発掘当初から県の埋蔵文化財センターではまずレントゲン透視が行われた。その時点で何らかの文様が見えたらしい。そこで今度はもっと詳しい画像の撮影できるCTスキャンが使用された。そうすると三次元的な立体画像にするのも容易で、象嵌された部分が分厚い錆びの中に鮮やかに蘇ったのであった。221128zougantati006  最後は5人のシンポジストを迎えて、県埋蔵文化財センターの次長がコーディネーターとなり、シンポジウムが行われた。コーディネーターのツボを得た司会ぶりには好感が持てた。

 象嵌大刀そのものは鹿児島県で初めてなので、市ではこのシンポジウムを皮切りに「県指定文化財」登録への気運の高まりに一石を投じたいようだった。

 鹿児島県ではかなりの量の鉄剣や鉄刀が発見されている。そのことごとくをCTスキャンで透視したらどうか、という意見を述べたが、何か途轍もない遺物が出てこないとも限らない。

 ぜひやって欲しいものだ。

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