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カダフィ大佐の死

 リビアの最高指導者だったカダフィ大佐が死んだ。NATO軍に属しているフランス空軍による爆撃が原因だった。

 反カダフィ派の国民評議会とそれを支持する民衆は大喜びだろう。これから構築される新リビアはより自由により民主主義になって行くだろう。

 しかし単純には喜べない。なぜならカダフィ大佐はもともと欧米植民地からの開放を目指しながら欧米の手先ともなっていたリビア国王から、欧米の息のかからない本来のリビアを目指したのであって、地域主権の一つの帰結でもあったからだ。

 あのアルカイーダのウサマビン・ラディンもアフガニスタンに侵攻したソ連への対抗勢力として初めはアメリカ(CIA)の援助を受けて勢力を拡大しながら、1989年にソ連が敗退した後は、お役目御免とばかりアメリカの援助は途絶えた。これに怒りを感じない方がどうかしている。その挙句のアメリカ主導の「湾岸戦争」である。イスラムの怒りは心頭に到達することになった。ウサマビン・ラディンは以後、完全な反米主義者となっていったのである。

 アメリカにとっては「反共」で一致していたからこそイスラム教徒であってもビンラディン勢力を支持したのであって、ソ連がアフガニスタンから撤退すれば異教徒で反イスラエルのアルカイーダなど用無しなのであった。

 ここに「欧米列強」の横暴(自己中)が透けて見える。

 カダフィ大佐は2009年の9月23日に国連総会で演説を滔々とぶったが、その要旨はこのような「欧米列強」のやり方への不満であった。

 カダフィ大佐の国連演説については、このブログでも取り上げている。

 カダフィ大佐は――国連憲章ではすべての加盟国の権利は平等である、としながら安全保障理事会は第二次世界大戦の戦勝国で占められ、大き過ぎる権限が与えられているではないか――として国連憲章を投げ捨てたのであった。

 カダフィ大佐のいうことはもっともである。

 しかしながら「国連憲章」は米英の「大西洋憲章」を下敷きに、対ドイツ、対日本を念頭に置いて作成され、特に日本を取り巻くソ連・中華民国を常任理事国としており(国連憲章第5章「安全保障理事会」第一項)、その証拠にいまだにドイツも日本も<敵国条項>から外されていない(…したがって、日本が常任理事国に入るなんてことは絶対あり得ないのだ)。

 だが、不可解なのは安全保障理事会の常任理事国は戦勝した連合国側の英・米・仏と中華民国およびソ連なのであるが、中華民国が「中華人民民主主義共和国(中共)」に変わり、ソ連が「ロシア」に変わっても、国連憲章を変えることなくそのまま「中共」と「ロシア」が常任理事国として居座ったことである。

 繰り返すが、安全保障理事会の常任理事国は国連憲章の規定では「英・米・仏・中華民国・ソ連」なのであり、「中共」にも「ロシア」にもその資格はない。にもかかわらずそのまま常任理事国に横滑りしている。

 実はそこに対日(反日)という概念を置いてみると、整合性が浮かび上がる。

 つまりは「日本封じ込め」なのである。

 にっくき異教徒でありながら英米に戦いを挑んだ日本を監視し二度と刃向わせないためなら、共産主義(中共)であろうが社会主義(ソ連)であろうが構わないのだ。ウサマビン・ラディンがイスラム教という異教徒でありながらアフガンに侵攻した社会主義国・ソ連をやっつけるために、アメリカの援助を受けたのと構造的によく似ているではないか。

 国連憲章の第一章「目的及び原則』の3項にはこう書かれている。

<経済的・社会的・文化的または人道的性質を有する国際問題を解決することについて、並びに人種・性・言語または宗教による差別なく全ての者のために人権及び基本的自由権を尊重するように助長・奨励することについて国際協力を達成すること。

 国連憲章は1945年の6月に制定されたが、そのころアメリカの黒人には基本的自由権どころか基本的人権さえ保障されていなかったのである。

 よく言うよな、アメリカさん。欧米の特有の「二枚舌外交」がここにも表れている。「国内問題」は別なんだ、と白を切ったつもりかも知らないが、残念ながら化けの皮は剥がれている。

 カダフィ大佐がそのあたりまで深く歴史認識を考察していたかどうか、今となっては分からないが、あの国連演説の主旨は間違っていない。支持する。

 

 

 

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