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横瀬古墳で二重環濠を発見(曽於郡大崎町)

 曽於郡大崎町にある国指定史跡「横瀬古墳」が二重環濠を備えていることが最近確認され、現地でその説明会があった。

 横瀬古墳は低地の沖積地に築かれており、周囲の現況は水田地帯なのでよく目立つ。009  近くの保育園入り口で受付を済ませたあと、係の大崎町教育委員会の文化財担当者による古墳の概要の説明があった。

 それが終わると、3つの班に分かれていよいよ外側の環濠を確認した地点へと向かう。010  水田の一部を掘り込んだところ、微細な土質の層序が現れ、その中でも開聞岳の貞観16年(874)の大噴火の際に降り積もった「紫ゴラ」という名の層が断ち切られず、さらにその下に深い流水路のようなえぐれが確認されたため、その部分が二重環濠の外側の濠に当たると断定された。

 そもそも横瀬古墳の外側の環濠の発見は、横瀬古墳を撮影した航空写真を眺めていた文化財課の担当者の鋭い勘によるものである。

 平成年度に撮影されたと思われる航空写真が役場内から見つかり、それを見た担当者が、古墳の周囲に以前から確認されていた「内濠」の外側にも部分的に周回する帯状の土質の違いを確認し、今回の調査(試掘)につなげた。017_2

 その結果が上の写真であり、表土の下1メートル数十センチの深さの「外濠」部分が明瞭に現れた。幅は3~4メートルとのことである(見物する人々のすぐ後ろに立つ2本の竹の棒が外濠の幅を示している。また掘り込んだ溝の最上部に張られた赤い道糸は海抜6㍍ラインを示している)。

001  これは当日に配られた現地説明会資料から転写したものだが、等高線が刻み込まれた古墳の周囲をまず「内濠」が周回し(やや色の濃くなった部分で、幅は12mから23mあり、深さは1.5m=資料より)、そのすぐ外側には周庭帯(しゅうていたい=内濠と外濠の間を区切る土塁のようなもの)が取り巻き、さらにその外側の溝が「外濠」である。

 内濠(ないごう)は幅も広く、水を湛えていたことは間違いないが、外濠(がいごう)は水を溜めるというより、内庭帯を築き上げるための土を掘った結果としてできた溝なのかもしれない。外濠の横断面を見ると、内庭帯側の側面(のり面)の傾斜が大きいのに対して、外側は緩やかであるという。

 古墳本体の全長は140㍍ほどだが、外濠までを含めると実に200㍍。水田の中にぽつんと単独で無造作に横たわっているが、何ともトンデモナイ古墳である。

 いずれにしても、鹿児島県の古墳で二重環濠は初の登場で、南に4キロほど離れた東串良町の唐仁大塚古墳(180㍍級で一重の環濠の一部が明瞭に残り、周辺には140基位の古墳が群集する)までをセットとみなすと、西都原古墳群の中の男狭穂・女狭穂両巨大古墳を残した勢力に匹敵するような勢力があったことは確実に言えよう。018  外濠の説明のあと、後円部に上る。ちょっとしたハイキング気分。019  後円部の頂上。写真の真ん中が説明を受けた外濠の試堀の場所。また右手の林は前方部で、その延長線上に巨大古墳・唐仁大塚古墳群がある。後背の山並みは肝属山地でその手前の麓を肝属川が流れている。023  石棺らしきものが埋まっていた場所。昔は蓋が開けられた状態で子供が入って遊んだりしていたそうだ。刀剣類や鎧などが出たらしいが無くなってしまっている。

 ただ、周辺から埴輪片や「伽耶式土器」などが見つかっており、畿内政権との関わりが言われているが、被葬者は謎のままである。

(自分としては被葬者の朝鮮半島との直接的な関わりを想定している。)024  今回の外濠調査に活躍した「エスパー」君。電磁波を投射して地下2メートルくらいまでの埋設物のありかを探し当てるという優れもの。

 地元の建設会社の所有で、道路工事などの際に地下に埋められた水道管やガス管などの有無を探査して工事がスムースに行われるよう仕事をしてくれるそうだ。「非破壊検査」と言われるものの一種だろう。

 説明書に、鹿児島特有の地下式横穴墓の探査実験データが載っていたが、地下にぽっかり空いた穴の形が明瞭に浮き出ていた。これからの埋蔵物探査に無くてはならないアイテムになるに違いない。

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コメント

夢のあるお話しですわね。
環濠遺構でも出ると、がぜん、賑やかに。
この春、お伺いして、保存のご苦労を
思い馳せていました。

今後が楽しみですわね。

投稿: より | 2011年11月 4日 (金) 15時25分

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