指宿のこらん湯(2)
4月8日に法事があり、指宿に出かけた。いつもながら法事の前日に家内の実家に到着すると、挨拶もそこそこに近くの温泉に行く。
家内の実家からも、二月田駅からも歩いて5分ほどで有名な「殿様湯」がある。殿様湯は歴史的に貴重な温泉(銭湯)ではあるが、女湯・男湯にそれぞれ一つの湯船(というより湯壺)があるだけで、地元の人が入っていると、湯壺の温度はかなり高く、血圧の高い自分などはいつものんびり浸かっていられない。
もちろん水道の蛇口は付いていて水を足すことはできるのだが、他の人たちが入っていれば、そうやたらに水を足してぬるくするわけには行かないのである。(エチケットと言ってもよい。)
そこで「こらん湯」に足が向くようになった。「こらん湯」とは「河原の湯」のことで、鹿児島弁では「かわら」は「こら」になり、それに「の」を付けると「こらん」となる。だから「河原の湯」は「こらん湯」になる。 この建物の「こらん湯」は誰でも250円也を払えば入れる銭湯だが、もう一軒ある隣りのは会員制の温泉で年間6000円也を払えば毎日でも入ることのできる温泉である。
江戸の昔から河原に湯が湧くことは知られており、湯治場として利用されていたようで、明治以降になって近隣の農家などが共同で銭湯を開設した。家々に内湯など無い時代、これは大変ありがたい入浴施設だったはず。 内部は10畳ほどの広さしかないが、手前には2メートル四方くらいの「湯壺」があり、向うの窓沿いにはひょろ長い「歩行湯」がある。この歩行湯は深さがヘソの上くらいまであり、立ったままで十分温まることができる。おまけに湯の温度は低く設定してあるので血圧に障りがないのがうれしい。
温泉成分を見ると基本的には塩化泉で、やや塩辛い。しかし鉄分が少ないのでタオルが赤味を帯びることはない。飲用ができないのは残念だが、効能としてはオーソドックスな温泉である。
温泉を出て指宿神社に向かって帰るのだが、神社の手前左手に聳える御神木(神の依りしろ)のムクノ木が晴れた空に美しく枝を清々しく広げていた。
昨年の「こらん湯入湯記」はこちら。
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