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土用の丑の日(鹿屋市祓川町)

 今日7月27日は夏の土用の丑の日だ。この日、世間ではウナギを食べるのが通例だが、我が家では滅多に回って来ない。

 養殖ウナギの稚魚のシラスが大不漁ということで値上がりしているらしいが、そのことより、30年ほど前の昔、家内の実家の指宿で「天然ウナギ」をよく採る人がいて、その人から直買いのウナギの歯ごたえに感じ入って以来、養殖物のあの過度の柔らかさに堪えられなくなったことが大きい。

 たれの風味は格別だが、肝心のウナギが今のようでは大枚を叩いてまで食べようとは思わない。大隅は全国でトップクラスの養殖ウナギの産地なので残念なことだが、誰か養殖業者で天然ものに近い風味のウナギを生産してくれないだろうか。

 ウナギと言えば『万葉集』に載る大伴家持の歌が有名で、知り合いの「何を食べても飲んでも痩せてガリガリな吉田連老(よしだのむらじ・おゆ=通称が石麻呂)」をからかう2首を贈っている。

  石麻呂に 吾(われ)物申す 夏痩せに良しといふ物ぞ 鰻漁(と)り食(め)せ

                         ――『万葉集』巻16・3853番

  痩す痩すも 生けらばあらむを はたやはた 鰻を漁(と)ると 川に流るな

                         ――同上・3854番

 大伴家持は歌人として著名だが、その父旅人(たびと)はほぼ1300年前の720年(養老4年)、南九州の隼人が大隅国守として赴任した陽侯史麻呂(やこのふひとまろ)を殺害して反乱を起こした時に、大和王朝から「征隼人持節大将軍」として遠征して来ている。

 この歌人・家持の贈った2首の歌が、なぜ吉田連老(石麻呂)をからかっていることになるのか?

 それは二首目の歌である。一首目の歌は「いつも痩せていて、夏になるともっと痩せてしまうお気の毒な石麻呂よ。栄養のある鰻をとりに行って召上がれ」と同情しているのだが、次の歌では「痩せていても生きておれば上々。もし鰻をとりに行って万が一川に流されたんでは目も当てられないからね」と皮肉っている。

 もらった石麻呂も「そうよなあ。ガリガリも個性なんだよなあ。鰻、やめとこ」と言ったとか言わなかったとか・・・。

 さて、土用は鰻ばかりではない。今日の午後、めずらしい立て看板に出くわした。鹿屋市を流れる肝属川の上流・祓川田んぼを通った時のこと。Cimg3742「瀬戸井出水利組合」というグループが道路端に立てたもので、<お知らせ>とあり、<土用干し 平成24年7月28日から平成24年8月5日まで>と分かり易い字で印刷してある。

 自分も7年ほど田んぼで米(早期米)を作ったことがあるので分かるのだが、この普通作の「土用干し」に当たる言葉は「中干し(なかぼし)」と言った。

 田植え後、稲が成長していく途中までは湛水(水を溜めたまま)なのだが、中干しとはその後一時的に水を田んぼから落として地面(じづら)を空気や太陽に晒すことである。

 地面はひび割れし、稲株の元まで光が届く。これが根の張りを良くし、また稲の茎(稲幹)を硬くする。そのことにより、その後の生殖成長(籾種の結実)に耐える丈夫な稲が育っていく、結果として稲が倒伏せず、収量も多いということにつながって行く。Cimg3743 普通このように立て看板などで広報することは無く、たいてい集落内の放送か座談で周知されるものであるが、田の別の側に回ってみて、なるほどと合点がいった。

「体験学習圃場」と書いた小さな看板が見える。この田んぼの向うの木立の中にある祓川小学校の学習農園だったのである。しかも「祓川村里づくり会」との共同農園らしい。

 左手の高い方の立て看板には、『テーマ』として「景観保全・生活環境保全」が取り上げられている。なるほど学校と地域がこのような目に見える形で協力し合い、児童にもふるさとの大切さを心に刻ませようという狙いがあるようだ。素晴らしい取り組みである。Cimg3744 「うるち米」と「もち米」とちゃんと区別できるように名標が立ててあるところが学習農園らしい。

 今はまだ苗の間が空いており、水が見えるが、明日から水を落とし8月5日までの9日間の「土用干し」となるようだ。人間で言えば、この2か月弱の苗は中学校に入ったばかりくらいの生徒。これが中干しにより根張りと体幹がぐんとたくましくなる。思春期から青年になって行くその通過点に差しかかっているところだ。Cimg3740 鹿屋の母なる川「肝属川」と祓川地区の田んぼ地帯。馬渡橋から上流を眺めたところ。左奥の山並みは高隅連山。





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