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河野覚兵衛家墓塔群と鰻温泉(指宿市山川町)

 土曜日(10月27日)は足を延ばして金峰山と野間岳に登り、日曜日(10月28日)は疲れを癒すべく鰻温泉に入ることにした。

 温泉に直行する前、同じ山川町にある「河野覚兵衛家の墓塔群」を見ておきたかったので、まずは山川港へ行った。

 山川港カルデラの縁を回り、山川フェリー乗り場のある港町に向かう。あと100㍍ほどでフェリー乗り場というところで道を右手に取る。ここは若干の上り坂ですぐに右折をし、次の交差点を左折すると、石垣の間にちょっとした階段があり、小さな案内標柱「河野覚兵衛家墓石群」が立つ。Cimg4334 階段を上がった右手には最近建てられた「琉球人鎮魂墓碑」が見える。

 江戸時代初期の慶長14(1609)年に島津氏が侵攻して以来、薩摩への朝貢国となった琉球からは役人の往来や船頭・船子の往き来も半端ではなく、中には道中や薩摩本土で命を落とした者も多く、山川港に代々琉球人の墓が多数あったという。Cimg4331 これは墓地の改変などで次第に失われつつあった琉球人の墓群を、2009年の交流400年記念式典を機に、ひとまとめにし、メモリアルとして建立したものである。大変清々しい出来栄えではないだろうか。Cimg4329 墓地に入って沢山の墓を縫うように進んでいくと、かなり大きな五輪塔群に行き当たる。これが「河野覚兵衛家墓塔群」である。

 河野覚兵衛家は藩政期の山川港の豪商で、ここには12代にわたって当主の墓塔があるという。Cimg4323 時代的には指宿の豪商・第8代浜崎太平次家よりも若干古い家筋のようで、もしかしたらあのカライモオンジョこと「前田利衛門」が琉球を往来し、ひそかにサツマイモの苗をもたらしたのはこの河野家の船だったのかもしれない。Cimg4327 河野家の墓塔群のさらに奥、山が迫る下に「正龍寺墓地跡」があり、数々の墓塔が並んでいる。Cimg4324 昭和53年に制定の「文化財保護条例」により、9年を掛けてここまで原状回復をしたそうである。

 昭和53、4年ごろ、どこの市町村でも文化財保護への気運が高まり、このような保護回復がなされるようになったようである。

 正龍寺といえば江戸時代初期の儒学者・藤原惺窩が朱子学を学ぼうと明へ渡るために、大隅内之浦からここ山川港に到来して船待ちをしている間、正龍寺を訪れた際に、学僧たちが「文之点(戦国時代末期に島津義弘が重用した学僧・南浦文之が発明した)」を使って漢文を読誦しているのを見て驚愕し、早速採り入れて自学の指針としたということで有名な禅寺である。Cimg4335 正龍寺は今も町中に残るが、かってはさっきの墓のある山際までを境内地とする広壮な寺院であった。

 山川港で近世の初めから藩政期にわたる遺跡を見たあと、鰻温泉に向かった。指宿近辺では珍しい「硫化泉」の泉質を持つ鰻温泉。嗅覚はあまり利かないが、鰻の集落に入ると硫黄の臭いがしてくる。

 今日は「鰻地蔵」という古来の信仰の拠り所を見ることにした。あと50メートルで鰻地区銭湯に着くという所に右手に上がる道があるから、そこを上がって30メートル位先を右折すると右手に鬱蒼と茂った林がある。

 そこが鰻地蔵堂のある場所だ。車を停めて行ってみる。道路からの入り口は狭いが、お堂の建つ辺り(境内)は5,60坪ほどの広さはある。Cimg4340 十坪ほどの小さな地蔵堂の中には、真ん中に木造の鰻地蔵が金襴緞子に包まれて鎮座し、両脇には別の陶器製の地蔵さんが三体もある。Cimg4338 お堂に向かい合った崖下には鰻地蔵の起源を記す古い板碑がある。そばには説明板が立つ。Cimg4337 南北朝時代の元徳4(1332)年の造立というからずいぶん古いものである。木造の地蔵がその頃の製作かどうかは書いてないが、その時代の物としておかしくはないように見えた。Cimg4342 境内から見下ろす鰻の集落。後ろの山々はうなぎ湖カルデラの外輪山で、鰻集落自体がカルデラの内部にあることが分かる。Cimg4344 鰻池を取り巻く外輪山で最も高い鷲尾岳。高さは411m。

 鰻地区銭湯の料金所の女性によると「鰻地区は寒くて、下とは衣類が一枚違う。去年の冬などは37センチも雪が積もり、地熱があるのになかなか消えなかった」そうで、「あの山に雲がかかるのが見えたら、浜の人たちは急いで干していたカツオ節を中に取り込む」という。

 その山こそ鷲尾岳である。山川港の海に突き出た砂嘴状の場所からはよく見えるのだろう。山は海浜の人々にとって「天の気」を教えてくれる存在でもあるようだ。




 









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コメント

とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。

投稿: 株の購入 | 2012年12月15日 (土) 18時41分

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