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権現山に登る(肝付町波見)

 10月14日の大隅歴史ロマン探訪では、すぐ下の「神武天皇発航」伝承のある戸柱神社まで見て回ったが、権現山へは時間的都合というよりアクセスに無理があったのでカットしてしまった。

 権現山の山頂から下に広がる肝属川河口の低湿地帯の様子を眺めてもらい、かってはそこに展開したであろう大隅半島最大の河口港(ラグーン)を想像して欲しかったのだが、40人乗りの中型観光バスが通るには道が狭いので今回はコースから外した。

 今日は午前中に肝付町高山での所用があったので、権現山まで足を伸ばしてみた。(肝付町の東の外れにあるため、写す対象がほとんど逆光に位置しているので写りがはっきりしないが、了解を乞う。)Cimg6814 旧高山町の中心部と肝属川河口の町波見を結ぶ県道を行き、塚崎古墳群を過ぎて1キロ余りの波野小学校を左手に見てさらに1キロほどでガソリンスタンドがあり、そこを右折して行くと真正面に権現山が見える。Cimg6816 そのまま行くと荒瀬川に架かる「波見橋」を渡り、約150mで交差点に差しかかるからそこを右折。道はやや細くなって波見の集落に入って行く。Cimg6817 集落道を3~400m走ると、右手にちょっとした広場があり、その向かいの人家の間にさらに細くなった道が見えるから左折して登って行く。右手の電信柱の下に「権現山」への矢印の標識がある。Cimg6819 最初の人家を抜けるまでの道はかなり狭いが、25人乗りのマイクロバスなら十分に通行可であろう。途中、右手に荒瀬ダムの工事現場を垣間見ながら、約3キロで広い駐車場に着く。大型バスでも十分停められる広さだ。Cimg6820 山頂には「牟礼神社」が鎮座しており、毎年大晦日だったか元旦だったかに地元の小学生が麓から歩いて登り、参拝をするという行事がある、と下のガソリンスタンドで聞いた。鳥居の両脇には傘立てのような中に10本くらいの杖が挿してあったので、一本借りて登ることにした。Cimg6822 木漏れ日の中を歩くこと20分。階段が2ヵ所にあり、合計で約200段ほど登るが、さほどきつい登りではない。遊歩道と言った雰囲気の中、周囲の樹林はほぼ「マテバシイ」である。Cimg6825 最後の登りはやはり階段で、こちらはコンクリート製のしっかりした造りであった。以前に来た時は歩きにくい木造りのでこぼこした感じだったが、これは助かった。Cimg6826 階段を上りきると小さな赤い鳥居の向こうに祠が見える。「牟礼神社」である。

『高山郷土誌』によると、牟礼神社は祭神がニニギ尊・コノハナサクヤヒメ・ヒコホホデミ尊・トヨタマヒメ・ウガヤフキアエズ尊・タマヨリヒメで、いわゆる天孫三代が祀られているとある。

 ところが、祠を参拝しようと前の小さな石段に上がってみて驚いた。Cimg6828 祠の右手前に家々の表札のような大理石が横たわり、そこには「龍神」と刻まれていたのだ。

 天孫三代がいつ龍神に変わったのだろうか。

 石の祠の下段に刻まれた文字からは、この祠が建立されたのは昭和40年で、それまでは木造のお社があったのだが火災に遭って焼けたので、同じ年に有志がこの石造りのお社を奉納したということがわかるが、龍神の名札は真新しいので48年前の石の祠の建立とは全く関係がない。一体誰が、何のためにこれを置いたのだろうか。

 牟礼神社の「牟礼」という意味はおそらく「天降り(あもり)」の「降り(もり)」から来ており、天からここへ神々が降りてきたという由緒(伝承)を語るにふさわしく、また天降る(あもる)のは天孫のいわれでもあるので、まさにふさわしい神社名であると考えていたので、「龍神」はいただけない。Cimg6830 50坪ほどの神社の境内には磐座状の石組がいくつもあって独特の雰囲気を醸し出している。Cimg6834 山頂の見晴らしからの眺望。河口のすぐ北側には「柏原漁港」とその沖合に浮かぶ「志布志湾柏原国家石油備蓄基地」があり、向うに伸びる柏原海岸は弓なりに大崎町の「救仁の松原」につながり、さらに向うには志布志港が横たわっている。Cimg6833 少し西に目を転じると、肝属川の流れと広々とした肝属平野、そして遥か彼方に肝属川の源流地帯である高隈連山が霞んで見える。

 上代にあって、豊かな平野と豊かな海山が周囲を取り巻いていた様子を髣髴とさせる光景である。この豊かさがあふれるほど十分に蓄えられたためか、はたまたこの豊かさを奪う何かが起こったためか、この河口港からいわゆる「神武東征」船団が中央に向かって出航したのは史実とみて差し支えあるまい。

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