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EMDRの驚くべき力

 11日のNHKクローズアップ現代で取り上げられたEMDR。眼球の動きを利用してトラウマやPTSDを軽減させる画期的な方法として注目されているという。

 寡聞にして知らなかったが、患者の目の前で手を左右に動かしてそれを眼で追わせる一種の催眠療法と思われたが、患者は催眠にまで至らずに治療は終わるらしい。020 子どもがリラックスした姿勢で見つめているのが眼球を左右に動かさせる装置。カメラの三脚そっくりの支柱の上に乗った左右に長い板状の物にLSDの電球が並んでいて、その電球が点滅しながら光が左右に走り、それを子どもが無心に眼で追いかけて行く。

 そこにはトラウマ治療に必須とされる「事細かに過去の心的外傷をもたらした事実を思い出し、表現する」というプロセスはない。その分だけ患者の負担が少なくなるという。特に性的虐待やレイプなどを受けて傷付いた患者には朗報といえる。004 キャスターの前にいるのは浜松医科大学の教授だが、治療前の脳に負荷が掛かった状態と、治療後の負荷の少なくなった脳とを比較している。006 どのくらいの期間、治療を受けたのかは聞き漏らしたが、治療前には小脳にかなりの負荷が見られるのに対して、治療後はほとんどなくなったに等しいくらい劇的に負荷が減っているのが一目瞭然だ。

 この―眼球運動によるトラウマの大幅な軽減がなぜ起こるのか―についての決定的な理由付けはまだ無いようだが、眼球の動きといえば思い出されるのがレム睡眠である。

 レム睡眠とは、身体は完全に寝ているのに意識はまだ眠っておらず、盛んに眼球を動かしている状態のことで、なぜ眼球が動くのかについては、「夢の一種で、今日体験したことを臨場感を持って思い起こしている最中であり、意識的に覚えておくべき事柄か、捨て去った方がよい事柄かを仕分けしている」―ことらしい。

 経験が日常的なレベルのものであれば、レム睡眠は少なくて済み、意識も早々に眠りにつくのだが、トラウマ的な体験があったりすると、処理時間が長くなったり処理しきれなくなるので意識の奥底に沈殿してしまい、あとあとまで尾を引くようになる。

 それがトラウマの正体なのだが、この治療法により強制的に眼球運動を行わせることで沈殿していたトラウマ(心の傷)が再び浮上し、曖昧に処理していたトラウマ(古傷)を仕分け直す(可能な限り捨て去る)のではないだろうか。

 今日、クローズアップ現代の番組を見ていてそう感じたが、ふと、あの徳洲会の徳田虎雄の文字盤を追う眼球の動きを連想してギョッとなったりした。しかし、治療の方の眼球運動は催眠術の時の振り子の等時性(同じ間隔で左右に規則正しく動く)の原理に基くのだろうから、似て非なるものに違いない。自分も受けてみたいものだ。

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