首都直下型地震による被害想定
NHKのニュースで「首都直下型地震による被害の想定」が報道されていた。 それによると、想定マグニチュードは7.3で、震度は6弱から7まで幅を持たせて想定しているが、阿部東大名誉教授は、7クラスはどこでも発生する可能性がある―と警鐘を鳴らしている。
さすがに震度7というのはごく限られた範囲で、江東区深川などの河口の沖積平野またはかって「夢の島」と呼ばれたゴミ埋め立て処分場であった箇所に集中している。
木造家屋の密集地帯では揺れによる被害よりも火災の発生による被害の方が大きい。倒壊による死者の数より火災に巻き込まれて死ぬ人たちの方が多い。
ニュースでの予想死者数はかなり控えめのもので、倒壊による死者の数の予測は少な過ぎるし、火災による死者数も関東大震災の五分の一以下にしか見ていない。こんなものではないだろう。全壊する家の数は最大で17万戸、少なくとも10万戸はあると見て、5万人くらいは命を落とすのではないか。
また陸上での直下型であるから津波は起こりえないはずだが、東京湾からの逆流によって海抜0メートル地帯を中心にかなりの高波が押し寄せると思われる。 すさまじきは被害額だ。国の年間予算とほぼ同じというから、金銭的に言えば、国は潰れてもおかしくない。アメリカから買わされている国債を100兆円ばかり売れば数字的には辻褄は合うが、今度は世界の国債市場が大震災に見舞われてしまう。
話は金だけでは済まない。復興への道のりこそが困難を極めるはずだ。国難といっても言い過ぎではない。
一番怖いのが「首都機能のマヒ」で、今は、輝かしい誘致を勝ち取った2020東京オリンピックにどんな影響があるか、ないか―などという点に報道内容が矮小化されているきらいがある。 首都直下型地震の発生を見通した防災対策方針の大綱が来年3月までに出来上がる―というが、ぜひともこの際、「分都」および「還幸」(皇居の京都への帰還)を視野に入れた国家の大計を示して欲しいものである。
※オリンピック誘致に成功した猪瀬都知事がついに辞表を提出した。ここ1ヶ月、徳洲会から提供された5000万という金の性格をめぐって、知事の説明が「揺れに揺れた」あげく、ギブアップしたわけだが、オリンピック選手や関係者もやきもきしただろう。こんな「揺れて危ない」東京で本当に行われるのだろうか―と、わずかながらも頭の片隅をよぎったに違いない。
「安心と安全」は「おもてなし」とともに東京オリンピック誘致のキャッチフレーズだったのだから、すくなくとも上の地図で赤く塗られた地域にはオリンピック施設を設けない。そこでは実施しない、くらいの配慮が必要だろう。
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