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集団的自衛権と日米安全保障条約

 集団的自衛権を現行憲法の解釈を変更するだけで高らかに謳い上げようという安倍総理の解説が記者会見で行われた。これは私的諮問機関の「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の答申を受けてのものである。Cimg8721  元駐米大使の柳井俊二氏という安倍政権へのチアリーダ―のような人物が座長を務めている以上、集団的自衛権行使を認めるべし―という結論ありきの答申であった。

 安倍総理は二枚の図解(武力使用の二つのケース)を用意して説明した。Cimg8718 第一のケース「駆けつけ警護」 。

 日本のNGOが活動しているところや日本人を含む国連PKOに対して武装集団が攻撃した場合、自衛隊が武力で応戦することができないのは普通ではない(から使えるようにしたい)。

  Cimg8725 第二のケース「海外で攻撃を受けた在留邦人等を輸送しているアメリカ艦船が攻撃を受けた場合」。

 この場合日本人を本国へ送るのがなぜアメリカ艦船なのかの説明は無かったので首をかしげるケースだ。日本の商船ではいけないのか。自衛隊艦船でもこういう本国送還のような場合は武力の使用ではないので問題ないはずだが・・・。

 それよりもアメリカ第7艦隊が守っていると自負しているアラビアから南太平洋経由日本までのいわゆる原油運搬ルート(シーレーン)に関して、アメリカ艦隊が攻撃を受けても日本は知らん顔でいいのか―こっちの方が古くから言われている「日本安全タダ乗り」論で、この現状を打破したいのが本音ではないだろうか。

 翻って、日米安全保障条約には前文に「両国が国際連合憲章に定める個別的又は集団的自衛の固有の権利を有していることを確認し、」という部分がある。

 この部分は国連憲章第51条にこう記されている。

「この憲章のいかなる規定も、国連加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。・・・」。

 さらに

「また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持又は回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基づく権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。」

 と書かれている。

 例によって法律の文章は面倒だが、要するに個別的集団的自衛権の発動は 各国固有のものだが、当座はそれで凌ぐにしても最終的には国連の安全保障理事会の指示を仰ぎなさい―というもので、国連安保理の優位性を述べているのである。

 すなわち、いかなる個別的・集団的自衛権による武力的紛争処理が行われても、それは国連安保理の権能が発動されるまでの一時的措置に過ぎない―と謳っているのだ。

(まさに国連中心主義で結構な文章である。いつでもこう行きたいものである。ところがどっこいそうは行かなかったのが戦後のベトナム戦争であり、最近ではイラク戦争であった。)

 日米安保でも第7条に

「この条約は、国際連合憲章に基づく締結国の権利及び義務又は国際の平和及び安全を維持する国際連合の責任に対しては、どのような影響も及ぼすものではなく、また、及ぼすものと解釈してはならない」

とあって、ここでも国連(安保理)の優位性については念を押して強調している。

 国際連合憲章にも、日米安全保障条約にも、どちらにも個別的及び集団的自衛権は固有の権利として明記されている。

 しかるに日本では9条の規定によって、後者は放棄したものと解釈して来たのであった。この方が筋が通っている。9条をどう解釈しても集団的自衛権による対外的な武力行使は容認されない。

 もしどうしても時代の要請・国際社会の要請というのであるのならばここはどうしても9条を改正するしかない。そうしなければ筋が通らない。

 その時は当然、日本も国際社会の一員としてまず、国連憲章上の「敵国条項」の撤廃を訴え、さらには

 「自国は自国で守るのが筋であり、もし守れそうもないときは国連安保理への提訴を最優先にする。日米安全保障条約は廃棄し、米国とは友好国として緊急事態の場合に限り、集団的自衛権に基づいて救援を依頼する。しかし紛争終結後はすみやかに撤兵してもらい、その後は直ちに国連安保理へ提訴して紛争処理を確定する」

 と宣言ればよい。

 すなわち9条を「国民の安全・国土の保全のために国防軍を置く。その防衛範囲は特に定めない」とし、日米安保を廃棄し、日米は通常の友好国(平和条約締結国)の関係とし、万が一に日本人及び日本の国土が侵された場合、国連憲章51条(集団的自衛権)の定めにより、アメリカ軍その他友好国軍の救援を求めるようにする。

 自民党にその覚悟はあるか!

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