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集団的自衛権行使容認閣議決定後の総理会見

 ついに昨日、これまで歴代の内閣では認めてこなかった集団的自衛権行使容認が閣議決定された。

 午後6時から安倍総理の記者会見が行われ、NHKで同時中継された。Cimg9231会見場に現れ登壇後、報道機関の撮影に横を向く安倍総理。(以下の画像はNHKテレビ画面から)

 このあと安倍総理はちょうど10分程度、の閣議決定の根拠等を説明した。Cimg9238Cimg9239Cimg9240
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 これまでの憲法解釈の基本は変わらず、集団的自衛権の発動により海外派兵しても武力は行使せず、むしろそのような積極的な国際貢献(責任ある行動)こそが、平和国家日本の歩みをより力強いものとする―というのが骨子であるが、この説明には矛盾がある。海外派兵するのは紛争があるからで、そこでは必ず戦闘が行われ兵士の血が流されている。この説明の中で「日本の自衛隊員が血を流すことを厭わず」という文言が入って初めて、この説明に筋が通る。

 だが、そんなことを一言でも言おうなら、轟々たる非難が巻き起こり絶対に集団的自衛権の行使容認など没になるのに決まっているので言わないだけである。集団的自衛権というのはそもそもそういうものなのだ。

 ただ、日本は現国際連合の設立経緯から言っても、また国連憲章の条文からも国際連合設立同盟国の「敵国」なのであるから、ドイツと同じように国連主導国家群の集団的自衛権には理論上積極的にかかわれないようになっているので、国連決議による紛争地域の安全保障、すなわち戦闘の矢面に立たされることはないはずである。しかしドイツはかってアメリカ・欧州同盟軍の一員としてアフガニスタンの紛争に派兵した際に「後方支援」に回ったが、ゲリラ的な攻撃を受けたりして55人くらいが命を落としている。

 「ここが紛争地域の安全地帯だ。ここで後方支援をしていれば血を流すことはない」など有り得ないことを現実に示している。日本もいよいよこういう場面に直面するということである。

 開けて今日の朝7時のNHKニュースではアメリカの反応が取り上げられていた。「日本の決断を歓迎する」という内容であったが、これは想定できた。しかし次のような意見があるとして

―日本も、欧州同盟国軍がアメリカに加担して武力行使をしているが、そのレベルにまでなってもらわなければ・・・。

 と紹介していた。

 こんな一歩も二歩も踏み込んだ意見を、日本の集団的自衛権容認が閣議決定されたその翌日にさらっと流されたことに、危惧を覚えた。

 というのは、そもそも国連決議に従わずに勝手に世界の警察官的な行動をとり続けるアメリカの意向が大きく作用しているのだろうと思っていたのが、どうも本物らしいと思える報道の仕方だからだ。

 アメリカは現在、民主党政権で、共和党と違ってあまり世界のあちこちに警察官面をして出て行くのを好まない傾向にあり、そのせいで、「日米安全保障上、尖閣諸島はその範囲に入る」と、オバマ大統領もケネディ駐日大使も言及はしているが、現実に中国が武力をもって尖閣諸島に侵入して来たら、おそらくアメリカは攻撃はしないだろう。「そのくらいなことは日本が自分自身でやってくれ」というのが本音ではないか。

 アメリカが中国に対して及び腰なのには二つの理由がある。 

(1)1972年に国交回復し、条約を結んでいる。つまり共産党の中国でありながら友好国の一つになっている。(それに引き替えて友好関係にあった国民党台湾を切ってしまった。) 

(2)共産党中国は現在、国連安全保障理事会の常任理事国である。(日本は現国連の「敵国」条項国であり、安全保障理事会でも非常任理事国に過ぎない。)

 要するに、日本はアメリカにとって二国間だけの安全保障条約を結んでいるので、上位概念にある国際連合(旧同盟国家群、旧ソ連も中国も抗独・抗日国家として日本の上位国家だ)の集団的自衛権においては、基本的には対象外の国なのである。だから、もし尖閣諸島に対して中国が実力行使をしてもアメリカは積極的にはかかわれないのだ。

 第一に中国がそうまくしたてるであろうし、日本に加担してアメリカが手を出して来れば中国は1972年以来、アメリカへの輸出で貯めて来たアメリカ国債を「売却するぞ」と脅してくるはずである。もし売却されたらドルは一瞬にして大暴落し、アメリカは今日まで築いてきた超大国の地位からたちまち陥落するだろう。(日本は個別的安全保障である日米安保により首根っこを押さえられているので、中国に勝るとも劣らない米債券を保有しているのだが、バッシングが怖くて売ろうにも売れない。)

 世界は経済的には見かけによらずずいぶんがんじがらめに結合しており、そのことが国家間の頸木になってもいるのである。

 そんなこんなで、集団的自衛権行使容認はアメリカの意向そのものと言ってよい。そのうちに(特に共和党政権になったら)アメリカは日本の純粋な自衛のための武力行使から一歩進めて海外の戦闘地域への派兵をもとめてくるだろう。はたしてその時に「日本は憲法上、他国での武力行使はできないことになっている」と突っぱねることができるのか。

 とりあえず今、安倍総理へは「アメ総理」との別称を奉りたい。





















 

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