手漕ぎ船の競争(熊本県水俣市)
日本各地で手漕ぎ船による競走大会が開かれているが、今朝のNHKニュースでは熊本県水俣市で行われているものを紹介していた。 ここのは「競り船」というそのものずばりの名で行われているが(他県ではハーリーとかペーロンなどが一般的)、初めて参加する高校生を取材していた。
一回戦は首尾よく通過した。
他の参加者の船には女性も参加している。
普通のカメラでは写せない手漕ぎ船内部の様子が新鮮だった。進行方向に向かって左右に分かれたクルーが上に持ち上げたオール(櫂)を目いっぱい海に突っ込んで、うしろに掻いて行く様子がよく分かる。
海中に掻き板部分を突っ込み、思い切って後ろへ掻く。この力はかなりなもので、馴れないとすぐ息が上がる。
二回戦は残念ながら4位で上には進めなかったようだが、
力を出し切った安堵感が見える。また来年頑張ればいいさ。
このような手漕ぎ船こそ帆船(古代)以前の海上交通の姿で、船を推進する者たちを「カコ」といった。「カコ」は「水手」とか「船子」などと漢字を当てるが、本来の倭語は「(水を)掻く子」の意味の「カキコ」だったであろう。
この中の「キ」が脱落して「カコ」になり、応神天皇紀に見えるように「鹿子」が当てられ、「カコ」が多く、また鹿も多かった薩摩・大隅を「鹿児島」と呼んだにちがいない。
「鹿児島」地名は764年に「鹿児島信爾村の海辺に小島が噴出した」と『続日本紀』にあるのが初見で、この「鹿児島」を桜島と解釈する人もいるが、その後の歴史書に桜島のことを「鹿児島」と表現したものは皆無であることからして無理である。
また、朝鮮半島半島方面に渡る手こぎ船を「鴨」とも呼んだということが、万葉集の歌人・山上憶良の歌(10首連作)によって判明しており、皇孫のホホデミがトヨタマヒメと出会った「鴨着く島」が「朝鮮半島とも行き来する船の発着場所としての鹿児島(特に大隅半島)」を表していることがますます確かになって来たようだ。
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