鹿児島県出身者初のノーベル賞受賞
待ちに待ったというべきか、鹿児島県出身で名古屋大学名誉教授(現・名城大学教授)の赤﨑勇氏(85歳)が今年度のノーベル物理学賞を受賞した。青色発光のダイオード(LED)を発明した基礎研究に対してである。
同時受賞者に名古屋大学時代の教え子で現在同大学教授の天野浩氏(54)、そして地方大学出身で地方の化学工業会社に就職後、青色発光ダイオードを工業化(量産化)に成功した中村修二・カリフォルニア大学教授(60)がいる。
赤﨑教授は鹿児島県南九州市知覧町の出身で、鹿児島市内の旧制二中(現・甲南高校)から京都大学工学部を卒業。その後松下電器などを経て名古屋大学教授になり、研究室に入って来た天野氏とともに青色発光を作る化合物を発見した。
その結果、それまであった緑色と赤色との光の三原色コンビによって「白色」が出せるようになった。 それぞれの色物を近づけていくと、
あら不思議、白色(というか半透明)の光になる。このことは美術の教科書でもおなじみである。(以上の画像はNHKテレビから)
白色が可能になったことで、従来の白熱電球・白色蛍光灯の分野にどんどん取り入れられ、今のところ高価ではあるが耐用年数が飛躍的に伸びたし、さらに大事なのが同じ明るさを維持するための消費電力が何分の一かに激減し、節電・省エネルギー効果が大幅にアップしたことだろう。
太陽光発電パネルとの相性がよく、今後世界の未開発地域への電灯の普及が大いに期待されるともいう。
それにしても近年のノーベル賞受賞者に東大の出身者が見当たらないのはどういうわけだろう。
今日の「関口宏サンデーモーニング」で一覧表を挙げていたが、 全部で22名の日本人ノーベル賞受賞者を見て行くと、日本人初の湯川秀樹博士は京大であるが、そのあとの朝永振一郎以下大江健三郎までの7名はすべて東大出身者。
しかし2000年の白川英樹氏からはほぼゼロに等しく、小柴氏と南部陽一郎氏が物理学賞をもらった以外は、全国いたるところの(といっても旧帝大が中心だが)学者・研究者が獲得している。
中でも多くなったのが、名古屋大学である。「理工学なら名古屋大へ」という具合になりはしないだろうか。
ただ面白いのが、理系以外のノーベル賞は全部(といっても3名だが)東大出身者である。
文学賞の川端康成・大江健三郎、平和賞の佐藤栄作の三人だ。
今年度の文学賞はフランス人作家が受賞したが、このところ常に候補に村上春樹が挙げられている。数年内の受賞は間違いないだろう。もしそうなったら初の私立大学出身者(早稲田大学)の快挙ということになる。
また、平和賞は女性への教育環境の整備を訴え、イスラム教の極端な女性軽視と戦いながら自らも銃撃されたマララ(17歳)に与えられた。ノーベル賞史上最年少である。
虐げられながらも打ち克とうという勇気に与えられたと言ってよい。
佐藤栄作は総理大臣として粘り強く沖縄返還交渉を成功させ、1972年に沖縄祖国復帰を果たした当事者であり、それを評価されて平和賞を受賞した。
ノーベル賞がもし日本と戦った世界の植民地分割闘争の当事者である英米仏などの国が与える賞であったとしたら、決して日本人は受賞できなかったであろう。スェーデンのような欧米列強とは一線を画した国だからこそ、不当に占領したままのアメリカから奪い返した佐藤栄作の力量を評価したのである。
もし次に日本人が平和賞を受賞するとすれば、沖縄をはじめとする米軍基地を撤去、もしくは大幅に縮小したうえで連合国軍による常駐を認め、同時にすみやかに天皇による「永世中立国宣言(ただし武装)」を発すようにすれば、そのお膳立てをした総理は十分に受賞対象になるだろう。
安倍総理がそうなったら、私立大学出身者(慶応大学)初のノーベル賞受賞者になるかもしれないのに、米軍に媚びて「集団的自衛権」にのめり込んで行くようではどうしようもない。
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