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イスラム国人質問題(続)

 シリアでイスラム国に拘束されていた日本人でフリージャーナリストの後藤健二氏が、ついに殺害された。昨日の午前中のテレビ番組『関口宏サンデーモーニング』、『新報道2001』などで相次いで冒頭にそう報道されていた。Cimg2112 Cimg2118 上はサンデーモーニング、下が新報道2001で、どのキャスターの面持ちも沈痛である。Cimg2111 これが2月1日日本時間の5時頃にユーチューブに載ったビデオ映像(ただしこれ自体は静止画)で、遺体らしきものも映ったというから残念ながら真実らしい。上の『新報道2001』では、この静止画像の左隅を拡大して、Cimg2120 記号のようなのを赤い丸で囲み、画面下で「アラビア語でフルカーンとかかれたテロップ」であるとし、解説で「フルカーンはイスラム国の公式報道機関のマークであり、これがある以上はこのビデオ映像は本物といえる」との認識を示した。

 つまり、後藤健二氏の殺害は事実であるということで、この報道番組の前7時過ぎに安倍首相が「残虐極まりないイスラム国の行為を糾弾し、テロに対して日本は一貫して人道支援から対応をして行く」というような声明を出したのは、やはり後藤氏の殺害を認めてのことだったのだ。

 もう一人のすでに殺害された日本人湯川氏を救出しに行ったとされる後藤氏だが、本来の「戦場における弱者を報道し、救出につなげたい」という高い理念を持っておられた方なのに、今回の「自分で勝手に軍事会社をきどって危険地帯に死地をもとめて行ったような人物の救出活動」によって無駄死になってしまった。残念であろう。御冥福をお祈りしたい。

 これを受けて、後藤健二氏の母・石堂順子さんが報道陣によるインタビューの中で次のように語ったのは前にもまして心にせまる。

「悲しみで涙が止まらないがこの悲しみが憎悪の連鎖につながってはいけません。戦争は絶対にやめて欲しい

 この前、健二氏が拘束された映像を見てこの母堂は「イスラムのみなさん、恨みつらみの気持ちをどうか持たないで下さい」と述べたが、息子の死を受けて今度は自分のこととして、自分に言い聞かせるようにこう語ったのである。崇高としか言いようがない。

 イスラムには「目には目を、歯には歯を」という復讐・報復の教えがあるそうだが、イスラムに限らずどの国どの連合・連盟でもその名の下で行われるほとんどの戦争はつまるところ復讐・報復である。どこかで「武器よさらば」をしない限り、報復合戦は永久に続く。

 その点、日本は太平洋戦争の末期に「まだまだ戦争続行!やられっ放しでなるものか!」と叫ぶ一部の軍人・将校を尻目に昭和天皇の「終戦の詔(みことのり)」が出され、武装解除がほとんど反抗もなく行われた。連合国の進駐軍(連合国軍とは名ばかりでほぼ米軍)もこれには驚いたのである。

 唯々諾々「はい、もう戦いはやめます」-これが降伏後の日本人の大方の反応で、ずいぶん男らしくなく、それまでの「鬼畜米英、徹底抗戦!」はいったい何だったのか、首をかしげるほどだが、それまで陸海空軍の総指揮官(元帥)に祭り上げられて本来の天皇の姿とは似ても似つかない昭和天皇ではあったが、肉声による「終戦の詔」の効果は絶大であった。

 あの、「堪えがたきを堪え、忍びがたきを忍び、もって万世に泰平を開かんと欲す」の部分は、今なお、光輝を放っている。この内容こそが日本の天皇の御使命であろう。安倍首相も軽々しく集団的自衛権を設定せず、天皇のこの御使命に沿うよう「武器は使わずに人道支援に徹し、万世に泰平をもたらすことが日本の役割である」と常に国際社会に訴えるべきである。

 それはまた、武器を持たずして殺害された後藤健二氏への瞑助、そして残された母堂への悦びにつながるだろう。
 

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