安倍首相の戦後70年談話
今日の夕方6時から安倍首相が「戦後70年談話」を発表した。(画像はNHK6時の特別番組から)
有識者の取りまとめた提言を十分に踏まえましたよ―と冒頭に述べた。
その有識者の「戦前への歴史認識」がこれだ。
これも有識者のみならず多くのマスコミ・進歩的文化人の「戦前への歴史認識」である。
日本が国策を誤り、戦争へと突き進んだのが間違いの基だった――というのが戦後のマスコミ・進歩的文化人の歴史認識であった。
このことを踏まえて戦後50年に発表されたのが「村山談話」だ。村山談話では、植民地支配・中国侵略へのお詫びを初めて国内外に発表した。戦後60年の小泉談話もほぼこれを踏襲した。
日本のみならず世界の戦没者に哀悼の意を捧げるのは大変結構なことだが、事変・侵略・戦争そして植民地支配について言えば、日本よりはるかに昔から欧米諸国はアジア・アフリカを侵略し、さまざまな事変を引き起こし、戦争を行なってきた。
このふたコマの画像で安倍首相が述べていることは、そっくりそのまま戦前までの欧米によるアジア・アフリカ植民地主義に対して当てはまる。 先の大戦への悔悟の念とは新しい表現である。反省でも謝罪でもないわけだが、深読みすれば、日本もだが、欧米諸国、特に英米仏蘭の国々もともに戦争に走ったことを「一緒に悔悟しよう」と呼びかけているようにも見える。
今度の談話で、20世紀前半まで世界には植民地主義が蔓延していた。植民地化された国々の民族的自立は無かった――という歴史認識を述べていたことは大いに評価されるべきだろう。
ただその一方で、戦後アメリカが「寛容の精神」で日本の窮状に加勢してくれたことに感謝する――ということを述べていたが、これは撤回すべきだ。
戦後の日本への経済援助はけっして「寛容の精神」からではない。日本の無辜の民へ無差別爆撃・原爆投下を行い、戦時国際法に違反するとの世界の言論を封じるための懐柔策であり、またアメリカの食糧(小麦・脱脂粉乳など)の販売先として願ってもない市場が突然開けたというわけであったのだ。過大評価してはならない。
この談話で踏み込んで欲しかったのは、「日本が戦わなかったら、アジア・アフリカの欧米による強圧的な植民地支配はまだまだ続いていた」という観点である。
残念ながら自民党の歴史認識は「アメリカへの配慮」が強すぎて、公正な歴史観を阻害されている。
安倍首相はまた、「今後80年、90年、100年に子や孫たちが同じ謝罪を繰り返すことのないようにしたい」とも述べたが、これもアメリカとの「強い絆」などと考えている以上、無理だろう。アメリカはいつまでも日本の首根っこを押さえておきたいので、中韓をそそのかしてでも「日本は謝罪せよ」と言わせ続けるだろう。
※つい最近読んだ『反中韓の詐偽を暴いた』(ヘンリー・ストークス著・2015.8刊・悟空出版)には、日本の戦わざるを得なかった真因が詳しく書かれている。次の機会に読後評を書くことにする。
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