したたかなり、英国
中国の習主席がロンドンを訪れ、英国元首エリザベス女王直々の厚遇を受けたそうだ。(画像はNHKニュース9より。以下同じ) バッキンガム宮殿までの道のりを女王と同じ馬車に乗って行くというのはまさに国賓待遇だろう。
エリザベス女王と並んでのツーショットは、英国と相容れない議員選挙も政党も無い一党独裁の共産主義国家元首に対しては異例中の異例である。
番組では中国の狙いは何か―というスタンスだが、当然ながら中国側は札束戦略で味方につけようとし、英国側は、 巨額の投資を呼び込みたいようである。
どちらが持ちかけた交渉かは不明だが、政治制度が違い人権問題もある中国を持ち上げるのは結局経済しかない。共産党一党独裁化で生まれた金も、資本主義化で生じた金も「金に変わりはない」のだ。 英国はヨーロッパ連合国ではいの一番に中国の提唱するAIIB(アジアインフラ投資銀行)に参加してくれたので、もしかしたらその答礼の意味もあるのかもしれない。
実はイギリスは中国共産党政府が1949年10月に成立したその翌年に、欧米自由国家群の中では最も早く共産党政府を承認している。
ということは当時の蒋介石率いる国民党政府を裏切ったことになるのだ。
というのは英国はアメリカとともに太平洋戦争中は反日政府である国民党政府を支持していた。あまつさえ当時の英首相チャーチルは蒋介石と会談しカイロ宣言まで出して強固な支援を約束しながら、日本が敗れるたあと、中国大陸で国民党軍と共産党軍が熾烈な戦いを始めると、蒋介石による介入援助要請には応じなかった。
その結果として共産党軍が天下を取るわけだが、取ったらその翌年(1950年)には早々と承認してしまう。英国にとって日本が敗れさえすればどっちの政府でもいいのである。
こういうところは実にしたたかだ。
英国とともに戦ったアメリカなどは共産党中国を敵視し、ずっと国民党政府(中華民国)を支持していたのだが、こちらも1972年に共同宣言を出して承認をしてしまった。
アメリカが民主主義国でもなく、チベットや新疆ウィグル自治区を侵略・抑圧する国である中国共産党政府と国交を結んだのは、一つには対ソ連、もう一つには対日本政策、つまりどちらの国も中国と手を結ぶことのないように楔を入れることだった。
それには見事に成功し、大量の資金(資本)がアメリカから中国に流れて経済発展につながった。それはアメリカにとっても中国にとってもウィンウィンの良好な関係だったが、何しろ一党独裁の政府であるから、自由社会の常識では考えられない行動をしがちで、南沙諸島の軍事要塞化などその典型である。
ところが経済的(金の)つながりが大きくなり過ぎたため迂闊に中国を叩けなくなってしまった―というのがアメリカの現状だ。
そこへ行くとイギリスはもともと太平洋国家ではないのでそんなことはどうでもよいのだろう。南沙諸島問題で国連安保理の緊急議題になぜしないのか、つねづね思っていたが、やはりこういうことだったのだ。イギリスよ、お前もか!
( 国連安全保障理事会常任理事国から中国共産党政府など追放してしまえばいいのに。国連憲章では常任理事国は「イギリス、アメリカ、フランス、ソ連、中華民国」とあるではないか。)
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