南沙諸島に「航行の自由作戦」
南沙諸島をめぐる問題でアメリカがついに示威行動に出た。その名も「航行の自由作戦」。(画像はNHKニュースから。以下同じ) ただし、ラッセンという名のイージス艦一隻だけだから示威行動というより様子見だろう。
アメリカは「国際法に則って」航行させた、と言う。つまり、中国が勝手に岩礁を埋め立てて軍事施設などを造成しても中国の領土とは認められないから、通常の公海を航行したに過ぎない―との考えだ。
これに対して中国も「自国の領海に無許可で侵入したので、国際法により警告し、追尾した」と言っている。
アメリカがああ言えばこう言う中国。やったらやり返すのが中国だ。自己中国家、中国のいつものパターンである。 先月は訪米した習近平主席を冷遇したと専ら言われている。たしかに同じ時に訪米していたローマ法王フランシスコの人気が圧倒して習近平は霞んでしまったが、その後でこうして直接対話している姿は、そうギスギスしたものではないように見える。
もともとオバマ大統領は親中派であったし好戦的な人間ではない。加えて(こっちの方が大きいが)経済的な密着度の圧倒的に大きい対中国政策が根底にあって、なかなか強くは出られなかった。
南沙諸島で勝手な振る舞いをするのが分かっていながら、中国を国連安保理の理事会に提訴することも無かったし、国防省などから批判的コメントを出させるくらいだった。
それがここに来てようやく軍艦を岩礁に接近させて示威行動を始めたのだが、とっくの昔にやっておくべきだったのだ。とにかく後手後手で何とも煮え切らないやり方である。
もしかしたら日本が「安保関連法案」を参議院まで通過させるのを待っていたのではないか―と勘繰りたくなる。
万が一、中国が攻撃をして来たら、当然アメリカは即座に一応の反撃は加えるだろうが、「はい、あとは安保関連法案通りに日本がやって下さい」と日本へ丸投げする算段ではないか?
以前にも書いたように、アメリカは日本以上に相当な資産を中国に持っており、もし戦争状態になったら資産凍結は免れないし、中国が保有しているドルや米国債の巨大さから言ってどっちも暴落するはずである。
もちろん元も中国株式も大暴落するが、アメリカの痛手は相当なものになるだろう。
このとき日本はかっての政府見解のように「憲法9条の制約で海外での戦闘は出来ない」として戦闘に加わらなければ、円は元・ドルの暴落を尻目に相対的に高値安定する。
ところが今回の安保関連法案によれば、南シナ海域のこととはいえシーレーンの安全確保と、親しい国(同盟国、つまりアメリカ)に対する「集団的自衛権」を行使せざるを得なくなる。
事が南沙諸島海域の戦闘だけで済めばよいが、中国のことだからたちまち中国内の日本人および企業への締め付けが始まるだろうから、帰国子女・ビジネスマンの安全確保こそが巨大な問題になろう。
6月頃の国会中継で安倍首相が図解で説明していたあの通りのことが起こることになるかもしれない。
やはり総合的に見て安保関連法案は「アメリカ様のご意向だった」と考えていいようだ。クワバラ!クワバラ!
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