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ヨウ素剤と予防注射

 薩摩川内市の九州電力川内原子力発電所の2号機が1号機に続いていよいよ営業運転に入り、これで川内原発はフル稼働態勢になった。Cimg6873 時を合わせて、県が原発周辺3キロ以内に住む住民に対し「ヨウ素剤配布会」を開いた。Cimg6876_2Cimg6874_2190人が受け取り、この人数は5月の配布会の時の3倍だったそうである。Cimg6875 ところがここへ来てまだ原発から半径3キロ以内に住む住民の1000人余りが受け取りに来ていないらしい。

 原発推進派からすれば「万が一放射能汚染があっても、甲状腺に蓄積するのを(甲状腺腫瘍・癌を)防ぐヨウ素剤を無料でくれるというのに」と思うかもしれないが、反対派は「そんなの貰っても、いざ原発事故があったら焼け石に水」と考えているのか、もしくは、そもそも国が原発を推進するのに反対の立場だから無視する―ということだろう。

 後者の場合「敵に塩を送られてもそんなの受け取るか」という気持ちかもしれない。(国から見れば、「敵(反対派)にも塩だけは送ってやらねばならぬ」ということになる。)

 2011年の東北大震災により、事故を起こした福島はじめ全国のすべての原発は停止した。

 ところがその夏になると企業側は、「原発を動かさなければ夏の電力需要に間に合わず、大変なことになる」と大合唱し、マスコミも「電力供給ひっ迫をどうするか、安全な原発から稼働して行くべきだ」というような論調だったが、いざふたを開けてみると、猛暑にもかかわらず電力供給に支障はなかった。

 その後も何とこの4年半もの間、どの夏も冬も供給が需要を下回ったことはないのだ。

 このことで私は原発の不要性をはっきり認識した。

 そして原発の危険性だが、今度のヨウ素剤配布は、考えてみれば原発の危険性を国も明確に認識しているということの表明に他ならない。

 いまインフルエンザの予防注射のシーズンだが、この注射による予防はインフルエンザウィルスという目に見える(顕微鏡で確認できる)悪役に対する防御なので、誰もが納得できる対策である。しかも大都市だろうが過疎地だろうが全国どこに住む人間に対しても平等に罹患し、共通の治癒方法が存在する。

 ところが原発は、たしかに「電力を生み人間の役に立つ」のだが、ヨウ素剤を配布しなければならないように危険性を備えており、しかもその危険性への晒され方が大都市と原発立地の過疎地では雲泥の差だ。

 昔、(今も斯界の書を出版しているが)広瀬隆という人が、「電力需要のもっとも大きい東京にこそ原発を作れ。それが最も効率的だ」という本を書いたが、今もなおそのセオリーは有効だと思う。

 危険性があるからこそ大都市を離れた過疎地に金をばらまいて建設し、廃炉になればなったで廃炉作業に多額の金を落とす。その廃炉作業も何十年もかかり、しかも作業中の危険性にも翻弄される。

 それ以上に厄介なのが、放射性廃棄物だ。地中数千メートルに埋めてしまうというのだが、地震と活火山の巣である日本列島、そこで地震や溶岩流が発生したら終わりである。

 日本の原発はアメリカの原発会社をモデルに発展してきたが、アメリカのような日本に比べればはるかに地層の安定した広い国土を持つ国ならばいざ知らず、馬鹿な真似をしたものだと思う。全廃炉を決意したドイツに学ぶべきだ。

 昨日のニュースで、東芝が子会社化したアメリカの原発会社ウェスティングハウス社が巨大な損失を出していたのに計上しなかった―とあったが、このウェスティングハウス社などが日本の原発の推進役だったはずだが、本家本元では原発は「今や流行らなくなっている」証拠で、そんな会社を引き受けてしまった東芝も愚かな選択をしたものだ。

 もっともこれには裏取引があったのかも知れない。いわば体裁の良い「オンボロ原発会社の損失押しつけ」だったのかも知れない・・・。

 いずれにしても川内原発の3キロ圏の住民でも、原発推進の国策に不満と不信と不安を持つ人たちが多いということを如実に示した「ヨウ素剤配布会」であった。

 (追記)

 おそらくこの3キロ圏内で、子産み・子育てをしようなんて家族は一軒もあるまい。原発は危険性が大きいため過疎地域に反対派を封じ込めるためにも金が落ちるように建設されてきたわけだが、もう多少の金より子育てへのストレスのない場所に移住した方がよい――そう考える適齢期若者が多いはずだ。過疎地が一層過疎になって行くだろう。

 








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