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器量が落ちた横綱

 大相撲九州場所10日目の横綱白鳳―栃煌山戦で、白鵬が立ち上がりざま「猫だまし」を使い、栃煌山を翻弄して結果は寄り切りで勝利したが、まったく情けない手を使ったものである。

 それに関して今朝のテレビ朝日「モーニング」で<猫だましは問題あり、なし?>とのテーマで論議していたが、Cimg6880 ニュースキャスターを含めて5人の出演者のうち3人が「問題なし」、2人が「問題あり」だった。Cimg6881 面白いのは「問題なし」としたのは男性、「問題あり」としたのは女性―とはっきり分かれたことだ。Cimg6882 テレビ朝日では今月27日まで、これに関してのアンケートを集計中らしいが、今のところ「問題あり」が「問題なし」を上回っているが、かなり拮抗している。Cimg6884 「問題あり」とした理由としては、大相撲協会的な見解に近い理由で ①相撲の神事性 ②横綱相撲 の二点が挙げられていた。Cimg6885 「問題なし」とした理由としては ①競技なんだから問題ない ②猫だましはルールにあり、戦術的に問題はない―― の二点。

 自分の見解は「問題あり」とほぼ同じだ。

 相撲の起源は、『日本書紀』垂仁天皇紀に見える当麻蹴速(タイマノケハヤ)と出雲の野見宿祢(ノミノスクネ)の格闘(一騎打ち)が起源だとする説と、天武天皇紀11年(682年)に大隅隼人と阿多隼人が天皇の前で相撲を取ったのが最初とする説と二説あるが、多人数による「天覧相撲」を大相撲の起源とすれば後者だろう。

 その後貴族の時代になって「相撲の節会」が恒常的に行われるようになり、今日の「国技館大相撲」へとつながるのだが、いずれにしても相撲は重要な「神事」の側面を持つ。…これが理由の一つ。

 もう一つの理由、「横綱らしい品位のある相撲」も避けて通れない。決まり手にあるのだから何でもして構わないのなら、肩透かし、バンバン張り手を繰り出して怯んだところを首根っこを押さえて転がす、そして猫だまし――これらをみんながやるようになったら大相撲は崩壊する。単なる「喧嘩に近い格闘技」になってしまい、誰も見に来ないだろう。(正確には、こういうのこそ見たい、溜飲が下がる――と思う下卑た観客は集まるだろう、少しは)

 思うに、昔(自分ら団塊世代が少年時代にテレビで観戦できるようになった頃)の大相撲は立ち合いに派手な突っ張り合いはあっても必ず組み手になり、くんずほぐれつの技の掛け合いが多く、実に見応えがあった。

 それが次第に「体力勝負」「重量勝負」のように変化して行った。嚆矢は高見山や小錦、曙などの巨体力士の登場で、大した技もなく面白くなくなって行った。そうでなくても、野球やサッカーなどの人気によって陰りが見えて来た大相撲人気が一層つまらなくなった(ただし、若貴が出て盛り返しかけたが…)。

 総じて体力に劣る日本人力士が委縮して来た頃に相撲界に登場したのが、モンゴル相撲の後継者たちだった。彼らの活躍で大相撲人気は若貴時代以上に盛り上がって来たのが現在の大相撲の状況である。

 三人の横綱すべてがモンゴル出身というのは大相撲の歴史始まって以来の珍事で、日本人ファンとして興醒めではあるが、彼らは彼らなりに相撲の稽古に励み努力の結果今があるのだから、その状況には文句のつけようがない。

 特に白鵬は一人横綱を数年も張って来た功労者であり、人柄もそれなりの人物である。しかしだからと言ってあの「猫だまし」はいけない。魔が差したとしか思えない。「日本人力士が余りに弱いのでおちょくりたくなった」というのでは尚いけない。

 やはり横綱は正々堂々、相手をまともに受けて立つ――という相撲をとらないといけないのだ。もうそんな「器量」も衰えた――というのであれば、横綱を返上すべきだろう。ここまで最高位をほしいままにしてきたのだから未練はあるまい。(むしろここでやめたら後世に残る大横綱になるに違いない。引き際も肝心だ。)

 父親はモンゴル相撲の最高位を何度も獲得している人らしいが、モンゴル相撲は組み手から(四つから)始められるので、「猫だまし」も「立ち合いの引き技」もない。これでは父親からも文句が出るだろう。

 今の大相撲を見ていて感じるのは「引き技」「力技」(頭を押さえて強引に倒す技)が多すぎるということだ。

 これからますます異国人力士が多くなり、力に物言わせる取り口が増えるだろうし、それに対抗して引き技も増え、ますます「勝ち負けこそすべて」という大相撲になって行くだろう。

 ここらで、組織替えを断行し、伝統的神事相撲を重んじる「日本大相撲協会」と、新しくスポーツ的な「国際大相撲協会」に二分し、後者は「まわしは無し」「体重別」とすればよい。

 さらに後者は今の「国際柔道」のように各大陸で競技を持ち回り、最終的なグランプリ大会は日本で開き、総合優勝者には天皇賜盃に準ずる優勝カップを授けるようにすれば、大相撲発祥の地日本の栄誉にもなるだろう。

 格闘技出身の馳文部科学大臣ならやってくれるかもしれない。

 (追記  2015.11.20)

 日本相撲協会理事長 元横綱 北の湖 が今日の夕方急逝した。死因は直腸がんによる多臓器不全だったという。享年62歳。

 「憎たらしいほど強い横綱」として輪島などと大相撲人気を支えた。今の白鵬は別にして、大鵬と並ぶ偉大な横綱だった。

 奇しくも、北の湖理事長はこのブログのテーマである「白鵬の猫だまし」について、「前代未聞。横綱が取る相撲じゃない」と強く批判していた。

 まったく同感である。大相撲への遺言とも取れるこの一言。白鵬は如何に聞いたかや。大いに反省すべし。反省しないなら辞めるべし。

 北の湖理事長のご冥福を祈る。











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