甘利大臣の辞任
NHKの「しぶ5時」で甘利経済再生相の記者会見が生中継されていた。
週刊誌にスクープされた建設会社からの金銭授受についての釈明会見で、40分にわたって話をしたあと辞任を表明した。 辞任の理由は本人自身が大臣室と後援会事務所で受け取った二度の50万円ではなく、秘書が建設会社から総額で500万円を受け取りながら、寄付金として計上した以外の300万を勝手に使っていたことと、それ以外にも数多くの接待を受けていたことに対する「監督不行き届き責任」であるという。
二回にわたっての50万円については政治資金収支報告書に記載があるので大臣自身の嫌疑は晴れたが、公設秘書2名の金まみれが足を引っ張った。
安倍内閣発足以来アベノミクスの推進を基軸とする経済運営に没頭して秘書の私生活などを顧みるいとまがなかった――というのは認めていい。
しかしその秘書(公設秘書であればなおさら)の監督責任は確かに重い。三昔前まで、政治家がこのような嫌疑を受けるとたいてい「秘書が勝手にやったことでわしはあずかり知らぬこと」と知らぬ半兵衛を決め込む手合いが多かったが、さすがに時代は下って情報公開が進んだ。つまり国民本位になって来た。
第一線で活躍中の大臣が公式の会見で堂々と真実を語り、「辞任に値するかどうか微妙な責任」を取って辞めると言ったのは潔いことだった。
この会見を見聞きしていて、――おそらく中国でも放映されるだろうが、かの国の政治家(というより共産党幹部)たちがこれを見てどう思っただろうか――と思いを馳せてみた。
たぶん「何であの程度のことで辞任しなければならないのか!?」と驚いたことだろう。他山の石として戦々恐々になるような「純情な」政治家(共産党幹部)はいないに違いない。
彼らの金銭授受的腐敗は二桁も三桁も違うのだ。今の習近平主席になってから腐敗粛清運動とやらが始まり、多くの共産党幹部が摘発されているらしいが、中には一兆円もの不正蓄財をした者もいたというから呆れて物が言えない。
共産党とは名ばかりで、国民の数パーセントの幹部が資本家まがいのことをして儲け、さらに許認可権限を握って人民の生み出す富をピンハネ(要するにワイロを要求)して私腹を肥やしているのが現状である。
「人民共和国」とは似て非なる「人民による選挙の無い一党独裁体制」を続けているのが実情であり、それが腐敗を助長しているのが分からないのだろうか。
例の日本のテレビでもおなじみの中国共産党スポークスマンが今度の辞任劇に対して何とコメントするか聞いてみたいものだ。
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