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続・トランプ大統領待望論

 先日のニュースで、共和党大統領候補のドナルド・トランプ氏が民主党候補のヒラリー・クリントン氏をアンケート調査で僅差ながら支持率で上回ったとあった。Cimg0535 民主党の予備選で3月頃までは対立するサンダース候補に苦戦を強いられていたクリントン候補だったが、4月に入って過半数に手が届くのは確実とみられてからは国民の間にヒラリー待望論が沸き上がり、もともとは共和党内部で泡沫候補と見られていたせいもあってトランプ候補は著しく人気を下げた。

 だが同じ4月にヒラリーより早く党の選挙人数で過半数を獲得すると、逆にトランプの支持率が上向き、5月22,3日頃には初めてヒラリーを上回った。

 おそらく共和党の選挙人の過半数獲得が確実になってから、「毒舌・暴言」の類を極力抑える演説に変わったからだろう。Cimg0541 もっともそれは二人の相対的な支持率での話であって、この二人はこれまでの大統領選における人気世論調査の中で最も人気度の低い組み合わせということである。Cimg0540 相対的な支持率ではトランプが上回ったが、大統領としての好感度調査ではどちらも「好ましくない」が上回っているそうだ。

 7月に共和・民主両党でそれぞれ党員集会が開かれ、二人がそれぞれの党で大統領候補に選ばれるのは確実だが、11月の代議員による本選挙までにどれくらい好感度を上げるのかが見ものである。

 好感度を上げきれず「好ましくない」が上回ったまま大統領に選ばれる可能性は大いにあるが、それはアメリカ国民サイドのことでわれわれ外国人には関係ない。

 それよりとにかく今の情勢だけで考えると、以前にNHKの討論番組で「トランプ候補が大統領になることは、日本でいえばあの自民党の暴れん坊ハマコー(浜田幸一)が首相になるようなものだ」と言われていたトランプが大統領になる事態が現実になりそうだ。

 トランプの「暴言」の中で、「対日駐留米軍経費の全額負担だ。さもないと、米軍を引き上げるぞ!」は、日米安保堅持論者の心魂を寒からしめるに十分だが、自分などは米軍の引き上げ大いに結構、いつまでも自国の防衛をアメリカにやってもらっている必要はない――と考えているから、どうぞどうぞ、である。

 もう安保堅持論者の「米軍にやってもらっている方が強いし、安上がりだ」というふにゃけた思考は停止すべきだ。よくぞ言ってくれた。トランプさんありがとう。

 米軍が引き上げればすぐに中国が進出して、そのうちに尖閣諸島はもとより、下手をすれば沖縄まで奪われる――こんな考えの安保堅持論者が多いが、いったい中国が何を理由に尖閣に侵攻し、沖縄まで奪うというのだろうか? 根拠は何だろうか?

 仮にもし自己中な理由をつけて尖閣を占領したら、堂々と自衛隊が追い払い、同時に国連へ提訴すればよいのだ。恐れる必要はない。

 「憲法9条があるから自衛のための武力行使も駄目だ」という馬鹿者はもういないだろう。

 個別的自衛権はおよそ独立国家であればどの国にもある固有の権利で、憲法9条も第一項が主たる条文で、第二項は第一項を受けての文言、つまり「国際紛争を解決するために国外で武力を使用することは放棄した」ので、そのための武力は持たないが、自衛のための武力まで否定してはいないのであり、個別的自衛権に基づく武力の行使(専守防衛的武力の行使)は認められる。(そのための「自衛」隊なのだ。)

 要するに攻めて来たら追い払う――というごく常識的なレベルの戦力は否定されていないのである。

 このレベルの戦力は今の自衛隊でも十分に持っているから、それで対処すればよい。

 いや、それでも中国は米軍が駐留をやめたら何をするか分からない――こう考える人は外交交渉を知らない人だ。また歴史を知らない人でもある。

 そもそも日米安保は「日本の安全を守ってくれる」同盟だ――と思うのが間違いなのである。

 日米安保締結に至る歴史を簡単に振り返れば、

  1945年8月15日…終戦

       同28日… GHQ設置(占領開始)

 

    同年9月2日…降伏文書調印

    (以降はGHQによる占領政策が続く。日本国憲法制定もその意向に沿う)

  1950年6月~1951年11月…朝鮮動乱。板門店で休戦協定妥結。

  1951年4月…連合国総司令官マッカーサー罷免(朝鮮で原爆使用を求めたため)

  1951年年9月8日…サンフランシスコ講和(連合国との戦争状態終わる)

          同日…日米安全保障条約締結(旧安保条約)…米軍のみ駐留(吉田首相が調印)

  1956年10月…日ソ共同宣言

  同年12月18日…国連総会で日本の加盟を正式に承認(ただし、国連憲章第53条により「旧敵国」扱いのままである。これが日本がいかほど分担金等で国連に貢献しても「安全保障常任理事国になれない理由)

  1959年12月…最高裁で東京地裁の伊達判決(米軍駐留は違憲)を破棄

  1960年6月19日…改定安保条約(新安保条約)が成立(岸首相が調印)…期間は10年。その後、一方が廃棄を言わない限り一年ごとに自動延長。現在自動延長は45年を経過。

 ということで現在に至っている。

 アメリカはソ連・中国の共産主義勢力を敵国視しているので、その監視と防波堤の役割を日本列島に負わせており、同時にまた「国連憲章」上でいまだに「旧敵国」条項(第53条)国扱いをしている日本が対米(対連合国)反攻をしないように抑えているのである。決して単純に「日本を守ってくれている」のではないのだ。

 1970年から自動延長を繰り返し今年で46年目に入った。一年ごとに延長かどうか審議すべきなのにほとんどなし崩しのまま今日まで来ているので、米軍駐留は当たり前のように思われ、したがって日米安全保障条約無しの方がおかしいくらいに感じている人が多い。

 その間に「日米地位協定」なども結ばれ、米軍駐留領域ではほぼ「治外法権」がまかり通っている。今度の米軍軍属による沖縄女性暴行殺害事件は容疑者が日本人女性と結婚し(国籍はどうなのか不明)ているため、地位協定外の事案となったようだが、沖縄では大きな怒りが渦巻いている。

 沖縄で米軍軍人・軍属がらみの事件が起きるたびに沖縄県民はいつもその「治外法権」的な収拾にやりきれない思いでいる。

 米軍駐留が無くなれば、このような日米地位協定による不当な差別的(と沖縄県民は思っている)事態収拾は当然なことに雲散霧消する。

 また米軍の飛行訓練などで沖縄のみならず本土でも市街地上空を飛ぶ際には、どんなに低空で飛んでも日本政府は「やめてくれ」と言えないようであるが、こんな危険性も米軍駐留が無くなれば解消する。

 今度のトランプの対日「暴言」は、逆にわれわれの目を45年も自動延長を繰り返している安保条約っていったい何のためにあるのだ、ということを根本から見直す良い機会を与えてくれた。

 日本は専守防衛で徹底的に自衛隊で国を守り、国外に出て戦争はしない。米軍よさようなら。中国やロシアが侵攻したらまずは迎撃し、その後は国連の場で交渉する。中東のシーレーンも自衛艦隊で安全を守り(発砲はしない)、石油がらみの紛争は外交と商取引の公正さで交渉をして行こう。

 そして永世中立を宣言し、どの一国とも集団的自衛権などという軍事同盟などは結ばない。(自分の国は自分で守れ。そして何よりも民生の安定に力を注げ。世界が期待しているぞ)

 危機的な海外邦人の擁護に関しては、まず大使館(領事館)、現地の軍や警察等で保護してもらいすぐに外交交渉を行う。そして我が国への帰還に当たっては自衛艦隊(発砲等はしない)又は民間の客船をチャーターして行う。

 米軍は自国の経費まで出して日本人なんか助けないぞ――と仰せの、世界の普通の市民の感覚を持っているトランプ氏が新大統領になるのを期待している。

 

 

 

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オバマ大統領の広島訪問

 2日間の日程で開催された伊勢志摩サミットのあと、オバマ大統領は広島に向かった。

 途中、岩国の米軍基地に立ち寄り(大統領専用機を基地に置いて)、ヘリコプターで広島まで飛んで来た。

 現職の大統領として初めての広島訪問である。Cimg0588 原爆平和資料記念館への予定はなかったそうだが、資料館前まで専用車両で乗り付け、出迎えの広島市長にあいさつを交わすと館内に入っていった。

 おそらく先月やってきたケリー国務長官とケネディ駐日大使の意見を取り入れたのだろう。約15分間の見学を終えて出て来たオバマ大統領は安倍首相とともに慰霊碑の前に足を運んだ。Cimg0593_2 そして花輪を受け取り、献花台に花輪を供えた。Cimg0598 そのあと数十秒だったが、瞑目していた。Cimg0599 献花した後も、瞑目のあとも、先月に来たケリー国務長官のようには頭を下げることはなかった。

 深々と下げるとまるで謝罪したかのように見られるのでそうしなかったと思われる。何しろ原爆投下は「戦争終結を早め、犠牲者の数を少なくしたから、謝罪する必要はない」とのアメリカ世論、特に旧軍人層は熱烈にそう思っているので、それに配慮したのだろう。Cimg0605 しかし献花後のスピーチはアメリカ本国の広島・長崎への原爆投下正当化世論に対して巧みに配慮しつつも、広島への原爆投下が文明史的に見てどうなのかを考えさせる素晴らしいものだった。Cimg0612_2 Cimg0611 科学技術の発達が近代文明を支え、進歩させてきたが人殺しの道具まで進歩させてしまった。Cimg0615 今日の報道(中継)の解説を聞いていると、オバマ大統領が「核廃絶」だけにこだわっているかのように言っていたが、オバマ大統領は{核無き世界」からさらに一歩踏み込み、「戦争のない世界」への希望を訴えていたのである。Cimg0616 約20 分だったが、さすがに演説の名手と言われる大統領だけあって時間の長さを全く感じさせなかった。

 しかしそのあとに立った安倍首相の演説内容は、オバマの広島訪問の主要課題を「核廃絶」だけに限定していたのが残念だ。

 そして去年の米国上下両院協議会での「先の大戦で米国の夢ある若者の犠牲をはじめすべての米国戦争犠牲者へ哀悼の意を表しました」とお返しの意味で述べていたが、オバマ大統領の演説は「敵味方を超えてすべての犠牲者への哀悼」であり、日常の暮らしが一変してしまう「戦争そのものの廃絶」を強くにじませるものであったのである。

 伊勢志摩サミットに参加する前にオバマ大統領は、これも現職大統領として初のベトナム訪問を敢行しているが、あの愚かなベトナム戦争への謝罪の意味もあり、そこでも戦争廃絶を訴えていたのではないかと想像する。

 

 オバマ大統領の20分に対して、安倍首相のは10分足らず。別に時間の長さが演説の是非を決めるというわけではないが、明らかに「格の違い」を見せつけられた。

 オバマ大統領の今回の「広島アピール」は、2009年の「プラハ宣言」を上回る格調の高いものだったと思う。もう一度ノーベル平和賞をあげてもいいくらいだ。





























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南海トラフ地震発生の可能性

 昨日から今日にかけて「南海トラフ」「中南海トラフ」「東海トラフ」のひずみに関するニュースが相次いだ。Cimg0484 今回のひずみを発見したのは海上保安庁の研究チームらしい。Cimg0513 独自の調査機器を使用してトラフ(海溝)近くの海底15か所の基準値の変化を9年間にわたって調べた結果、Cimg0494 最大の南海トラフでは年に5.5センチ、東海トラフでも5センチを超えるひずみ(具体的にはフィリピン海プレートの沈み込みによって日本列島の乗っかっているユーラシアプレートが海底深く引きずり込まれている状態)が見られたという。

 世界初の観測だそうだが、地震大国というか「プレート集合大国」日本列島ならではの調査であり、これをもとに、これから発生するであろう「ひずみの解消」、すなわち大規模な海底地震に対する備えが求められる。Cimg0522 今回のひずみの観測で、トラフ内部の想定震源域に大きな誤差が表れていることが検討課題になり、政府系の地震災害対策会議では、震源域を見直す考えが出ているという。Cimg0527 図から明らかなように今度の調査で、昭和東南海地震(1944年)と連続して起きた南海地震(1946年)の震源域よりもさらに南の海底でのひずみがかなり大きいことが分かり、政府は最大級のくくりで南海トラフ大地震の震源域を大きく広げた。

 高知沖のひずみが速度・分布範囲ともに最大だが、気になるのが九州と四国の間の日向灘北部のひずみである。これはおそらく想定外のものだったろう(日向灘南部を震源とする震度4クラスの地震はこれまで結構多かった)。

 しかもこの海域の北側には4月の熊本地震の発生源となった活断層を含む「別府・島原地溝帯」(大きく見れば、日本列島の中央構造線の一部)があり、今回この地溝帯が活発に動いているとみられる。

 心配なのがこのひずみのすぐ目と鼻の先の愛媛県佐田岬半島にある伊方原発だ。現在停止しているのはよしとするが、地震によって原子炉建屋の崩壊があれば非常に厄介である。早急に廃炉解体に着手すべきではないかと思う。

 鹿児島県では薩摩川内市の九州電力川内原子力発電所が再稼働してしまったが、これも早いうちに営業停止・廃炉へもっていくべきである。

 東海トラフ地震では静岡県の御前崎にある浜岡原発がやられる可能性が高い。現在停止しているが、これも伊方原発同様廃炉への手続きを進めてもらいたいものだ。

 平成に入ってからの日本列島は大揺れに揺れているからである。Cimg0511 南海トラフ地震で震度7、マグニチュード9クラスのが発生したら、死者33万、被害総額220兆円とする推定もあるが、これには原発崩壊による被害はカウントされていない。

 東北大震災による福島原発事故では、現地の人たちの死者はほとんどないにもかかわらず、着の身着のままでいまだに故郷に戻れない約10万の人たちが出ている。

 津波によって地域や人身に大被害を蒙った東北三陸地方の人たちでさえ5年が経って次第に旧に復し始めているが、福島の原発被害地ではもとのまま。汚染の除去と言っても 肝心の原発内部の溶融した炉心の解体はおろか、除染で生まれた汚染土壌の処分さえ目途が立っていない現状なのだ。

 
 









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かのやばら園は満開

 かのやばら園は春祭りの開園から3週間経ったが、今まさに満開である。Cimg0435 5月21日(土)午後のばら園。Cimg0433 テレビ東京のドラマスペシャルで『永遠のゼロ』の現地ロケを記念して作られた花壇も満開になっていた。Cimg0436 Cimg0439 Cimg0448 園内を走る模擬トレイン。Cimg0442 子供より高齢者が多く乗っているようだ。Cimg0454 園内の屋外ステージではイヴェントが行われていた。Cimg0453 1believe(ワン ビリーブ)という地元のアイドルグループの熱演。

 そのほか、吉本のお笑いコンビとmiccieという歌手の舞台があった(どちらも鹿児島出身)。

 

 この満開状態は少なくともあと一週間は続くと思われる。

 会期は6月5日(日)まで。




















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『寺山修司研究・9』

 小田原に暮らす甥から今年も『寺山修司研究』本が送られてきた。Photo_3 第9号は2016年4月20日発刊

編著者 「国際寺山修司学会」 

発行所 文化書房博文社

 まだ全部は読んでいないが、甥は編集委員であり、今号ではエッセイを2編、書評を4編も書いている。

 中でも「魂の語り、魂の声、魂の叫び ~昭和精吾さんに捧ぐ~」という20数ページにわたるエッセイ(というよりは叙事詩)は圧巻だ。

   「 昭和精吾事務所

    寺山修司生誕80年記念

    われに五月を 特別企画

    『寺山さんてなんだった?』

    ~2013年トークショー映像上映と追加トークと詩の朗読~ 」

 という催し物での感想を詩にしている。

 中で、

   スモークとともに昭和さん登場。

   そこから30分以上

   寺山さんの思いが

   寺山さんへの想いが

   ぎっしり詰まった

   昭和さんの魂の語りが

   昭和さんの魂の叫びが

   続くのである。

 という箇所で、最初にちらっと読んでいった時に「昭和」という時代を想起し、

 昭和さんの語りは、「昭和の語り」であり、「昭和の叫び」との連想を懐いた。

 昭和が人生の起伏の中で最も身近で切ない者の謬感であるが・・・。

 さて、自分としては

 『寺山修司と石子順造――「幻の母」と「イメージの母」と』という研究論文に惹かれた。

 この二人とも揃って母の存在感が希薄であったそうで、そこに自分を重ねてしまった。

 実態の母とイメージの母のギャップから生まれる葛藤は芸術のどの分野にも存在する。子供から見た母親は常に「所与のもの」(別言すれば神から与えらえれた存在)であるが、母親の実態はなかなかそうはならない。そのギャップに苦しむ子供が多いが、そのことが逆に音楽を生み、文学を生み出す根源となるのだろうから、世の中捨てたものじゃない(と世俗的な結論)。

 

 











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日南線で串間へ

 志布志市内に用事があったついでに日南線に乗ってみたくなって串間まで行った。

 串間へは以前に「串間今町の農夫・佐吉が自分の畑である王之山(おうのやま)で、周王朝代の諸侯への賜与品である玉壁を発見した」という伝承に興味があって、「王之山」とはどこだろうか――と訪ねたのを含めて3度ほど行ったことがあるが、今回は平成20年に国の重要文化財に指定された「旧吉松家住宅」を訪れた。Cimg0321 出発駅志布志。ここは昭和62年までは志布志線の起点であり、大隅線の終点であった。

 両線が廃止になり、残ったのは日南線。つまり志布志駅は3つの路線が交わる鉄道の要衝だった。駅前のだだっ広い広場は鉄路が縮小した分、駅舎が東に移動した(というか、押し込められた)名残りである。Cimg0320 駅舎に向かって左手の隅のほうに「大水害復旧記念碑」なるものがひっそりと建っている。

 昭和13年10月13日から三日間台風がらみの豪雨で志布志線も大隅線(ただし当時は志布志から古江までしか開通していなかったので、正確には古江線)も線路土手をはじめ鉄橋も流され、まだ国鉄化して間もない両線に大打撃を与えた。

 しかし九州管内からの保線要員などの応援を受けて、突貫工事で10日後くらいにはおおむね復旧のめどが立った。その後も補修に追われたが、この石碑が建てられた12月までにはほぼ完全復旧を果たしたらしい。(こういう応援協力体制があったのは国鉄化していたお陰だろう。民営ではこんな早い全面復旧は不可能だったはず。おそらく倒産した?)Cimg0324 出発時刻前にトイレに入っておこうとトイレ前まで行くと「あれ?」。一瞬風呂場と勘違いする暖簾がかかり、しかも「男子」「女子」ではなく「男志」「女志」と書かれている。ここまで志布志は「志」にこだわっている。何しろ志布志市の旧志布志町宛のハガキなり封書なりを出すとき、「志布志市志布志町志布志○丁目」と書く場合が多く、宛先の住所には何と「志」が6回も出てくるのだ。

 こうなったら志布志では「し」に当てる漢字はすべて「志」にして、新しく「志布志語」を作ったら面白い。「志ばらく」とか「志りません」とか・・・。Cimg0325 南宮崎行きのディーゼルカーがぽつんと一両待っていた。車体は「キハ40-8099」だったか・・・。Cimg0328 運転手一人のワンマンカ―なので乗り込むときに整理券を取るのは市電でもバスでも同じだ。Cimg0331 整理券は切符ではないが、久しぶりのJRチケット。Cimg0342 車窓風景。大隅夏井駅を過ぎて見えてきた志布志湾。右手の奥の島状の半島は「ダグリ岬」で、ど真ん中に海を見下ろす全長50メートルくらいの前方後円墳があったのだが、取り崩されて国民宿舎が建てられた。泉下の豪族は地元の航海交易族(5世紀代)であったと思われるが詳細は不明だ。海の中にぽつんと浮かぶのは枇榔島。ここの枇榔は平安京に送られた。Cimg0351 大隅夏井―福島高松―福島今町と来て、いよいよ串間に到着。15キロほどの旅。電車賃は290円。柱の「運転中は話しかけないで下さい。」がユーモラスだ。最後に句点が付くと意思表示としては強い。

 機械に投げ込むべく290円を財布から出そうとしたら、駅員にやってください――と。駅員が居たんだった。確かにホームで待っていた。Cimg0354 串間駅。外観は造りといい色といい若干チャラい感じがしたが、隣りに「道の駅」的な店舗が続いていて、なるほどそっちの方がメインな仕組みらしい。(帰りに寄ってみたが内部は食事ができないこと以外は道の駅そのものだった。)Cimg0357 串間駅に着く直前にある踏切から駅方面を写そうとして行くと、何と市電(しかも広島電鉄の宇品行と表示)がでんと置かれていた。撮影後に寄ってみたら、そこは観光総合案内所であった。実家は志布志だという中年女性の係員から数種類のパンフレットをもらい、吉松家住宅への行き方を教えてもらう。Cimg0361 その吉松家は何と駅からわずか2分、郡元という信号を右折してすぐの旧志布志街道筋にあった。Cimg0362 石段のある表玄関の先に車が入れるようにコンクリート舗装をした通用口があるが、そっちからの方が観光的な入口に近い。真っ白い土蔵の反対側が見学者用の入口になっていて、引き戸の傍らには旧吉松家入口という墨書の案内板が掛かっている。

 案内のパンフレットによると、この住宅は明治から昭和にかけて串間の政治・経済に大きく貢献した吉松氏によって大正時代に建築されたそうで、再来年に建築後100周年を迎えるという。

 吉松氏は串間を飛び地として領有していた日向高鍋藩(藩主・秋月氏)の重臣で、明治維新後は代々串間村長を担ってきた家柄だということである。Cimg0372 屋敷の造りは「崩れコの字型」とでも言うのか、基本はコの字型なのだがコの字の先に付属して離れが付いていたり、大広間が突出していたりする。一階だけで部屋数は大小15部屋。二階に二間あるから全部で17間と台所や風呂・便所など延べ床面積は197坪(約600平米)。

 この母屋が建てられたのは大正8年(1918年)だが、ほぼ当時のままの造りは頑丈そのもので、張り巡らされた廊下の板一つとっても分厚く、今なお歩いてもミシリとも しないでいる。Cimg0368 手前が10畳、奥が15畳、ぶち抜きで25畳という大広間。百人くらいまでなら集会は可能だろう。ここもぐるりを廊下がめぐっていて、とにかく明るい。床の間には「鶴と松」の巨大な扇(直径2メートル)が飾られている。Cimg0371 洋間が一つだけあってガランとしていたが、ここは書斎だったという。床と天井はまさに洋室そのものだが、出窓風の大きな窓さえなければ、外目から洋室であるとは誰も気づかないに違いない。Cimg0388 コの字の一方の角にある「台所」はずいぶん広く、種々の道具類はまるで民俗資料館のようだが、驚いたのが屋敷内なのに井戸が掘られていたことだ。これは便利だったろう。かまども四つあり、使用人を含めて相当な人数が暮らしていたことを偲ばせる。Cimg0376 台所のある方のコの字先端(西)に和室が二間続きになっていて、そこには各種資料が置かれている。右手には仏壇と神棚があるからもとは仏間だったのだろう。手前のガラスケースには例の串間王之山出土の玉壁があったが、これはレプリカであった。

 帰りに事務室にいた若い職員に、王之山について最近何か分かったことがあるかどうか尋ねたが、無いらしい。今町の農夫・佐吉がどこを「王之山」と言ったのか、いまだに謎のままだ。Cimg0399 帰りは14時27分の志布志行だが、その前に油津・日南(飫肥)方面の上り列車が到着し、ホームにいた10人余りの人たち、中に5,6人は高校生だったが、その列車に乗り込んでいった。Cimg0403 帰りの列車は「快速」だった。どの駅を通過するのかと思っていたら、大隅夏井駅にだけ停まらなかった。ほんの1,2分早く志布志駅に着いたかな・・・。

 線路の継ぎ目のガタンゴトン、ディーゼルエンジンの変速音、ブレーキの軋み――これらは居眠りを誘うに十分なのだが、たったの20分ではね・・・。






















 




























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田園は大忙し

 昨日今日と爽やかな五月晴れ。

 今朝10時ころに仕事から帰る途中、星塚敬愛園近くの畑でたくさんの人が出てサツマイモの苗を植え付けていた。

 午後その畑に行くと、一枚の畑がそろそろ終わりそうだった。Cimg0308 Cimg0311 7名でやっているので相当に早い。

 しかし気温が高い。さっき我が家の玄関口の寒暖計では27度を指していた。日なたでは黒マルチビニールの照り返しもあるから体感温度35度くらいあるかもしれない。

 だが、このところの晴れ続きで湿度が低いのと、西の風が適度に吹いているので、暑さはしのげそうである。Cimg0309 植え付け用に準備された畑がまだ結構多い。去年も植え付けが遅いほうだったが、今年はそれよりまだ遅い。桜が開花してからの3月の寒さが、芋の苗にしろ、稲の苗にしろ生育を遅らせた原因だ。

 四月は気温はさほどではないが、雨が多くて日照不足にたたられ、これも苗の生育不良を阻害したようだ。

 近くの野菜の無人販売所にいた経営者の農家のおじさんは、「デメ竹(大名竹・台明竹)が今年はもうでちょい(出ている)。かねてなら5月下旬からが本番なのに・・・」と首をかしげ、「孟宗(竹)も早かったが、こげんこっは初めてやっど・・・」とデメ竹の皮を剥きながら話していた。Cimg0313 と、無人販売所越しにコンバインが動いているのが目に入った。Cimg0314 麦を刈っているところだ。販売所のおじさんに聞くと、大麦か燕麦(エンバク)じゃないかという。大麦は味噌の原料でエンバクは家畜の飼料用だ。Cimg0315 コンバインの人に聞こうとしたが畑が高い上に機械のエンジン音でとてもじゃないが声は届かない。Cimg0316 手伝いをしている人を捕まえて聞いてみると、何とパン用の小麦だという。

 日本で作る小麦は一般的にはパン用ではなく、グルテン量が少ないためほとんどがうどん用である。

 しかし品種改良が進んだのだろう、日本の気候に合い、しかもタンパク質(グルテン)含有量の多い小麦が採れるようになったのかもしれない。農業も地味だが品種改良による生産性の向上とか多様性に関しては日進月歩なのだ。



















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九州は大揺れ

 大相撲の中継――。

 最後から二番目の取り組み「白鵬対勢」戦は、相も変わらず白鵬が「張り手」で相手の出鼻をくじいて心理的ショックを与える立ち合いをし、しかもその直後に右ひじで勢の左のど元をかち上げ(早い話がボクシングのアッパーカットで)、一瞬にして勝負を決めるという横綱らしからぬ相撲で勝負を決めた。

 つまらぬ相撲ばかり取り、しかも賞金を受け取った後のあの「やったぜー」と賞金を掴んだ手を右上に振り上げるという、どうしようもなくケタくその悪い態度をとり続けている。朝青竜の時は賞金を掴んだあと、必ず左に顔を向けて「何だ、コノヤロー」という表情をするのが常で、あれも横綱にふさわしくない態度だったが、白鵬のはもっと悪い。

 なぜ相撲協会はあのような態度を非難しないのだろうか?

 先日も書いたが、横綱は相手をがっちり受け止め、組んで相手をしとめるというのが本道だろう。

 相撲がまったく見応えのないものになっている。三役以上の力士の「張り手」「猫だまし」「いきなりの変化」は禁止すべきだ。Cimg0295 白鵬の取り口に苦虫をつぶしていたら、地震速報が流れた。Cimg0297 宮崎県南部、日向灘沖でマグニチュードが4.7の地震だった。Cimg0298 宮崎県南部平野部で最大深度は3であったから、そう大きな地震ではない。しかし熊本地震と違って震源の深さが20キロと深かったので3だったが、浅ければ震度4は行っただろう。

 去年から今年にかけて九州地方は地震が多発している。それに連動してかと思うが、火山噴火も多発している。

 川内原発が再稼働を始めた去年の8月に「薩摩半島沖地震」が9月、11月と続き、今年1月に入ってからは、口永良部大噴火後は鳴りを潜めていた桜島が再び活動を活発化させ、南西諸島でも諏訪之瀬島の噴火、沖縄・奄美近海の地震と不穏な状態が続き、そして今日の5時50分、日向灘を震源とするマグニチュード4.7の地震が発生。

 これであともし福岡玄界灘で地震があれば、九州地方の震源という震源、火山という火山のすべてがラインナップされる。

 おそらくフィリピン海プレートの運動(沈み込み)が大きくなっているのだろう。最悪の場合、南海トラフ地震を引き起こすことになり、それに連動して桜島か薩摩硫黄島か霧島山か阿蘇山かが・・・恐ろしいことにならなければいいが。

 それにつけても、川内原発は絶対に停止したほうがよい。

   (追 記)

 9時のNHKニュースを見ていたら、「緊急地震情報」が発令された。

 茨城県南部が震源で、深さ40キロ、マグニチュード5.6。茨城県内では最大震度5弱が観測されたという。

 東日本大震災の余震なのかどうかは不明。

 かなり以前に書いたが、千葉県や茨城県でこのくらいの規模以上の地震が数回続いたら危ないかもしれない。何でも千葉県東寄りに地震震源の空白地帯があり、相当なひずみが溜まっているのだという。

 


 

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オバマ大統領の広島訪問が決まる

 今朝のニュースでオバマ大統領の広島訪問が決まったことを取り上げ、かなり詳しく報じていた(画像は7時のNHKニュースから)。Cimg0239 なにしろオバマ大統領は就任の年(2008年)の春にヨーロッパを歴訪し、古都プラハで「核廃絶に向けて頑張る」と声明して大きな歓迎を受け、この年のノーベル平和賞まで受賞したのだった。Cimg0241 そしてこれは年月は明確ではないが、核廃絶宣言をしたことでNHKの現地取材を受け、「任期中にぜひ行きたいが・・・」と期待をにじませる回答をしているが、ようやく任期切れまで半年余りというこの時期になって訪問が現実のものとなった。

 でも、遅きに失した感があるのは否めない。せめて廃絶宣言をした年かその頃に訪問していれば「オバマもやるねー」と日本はじめ核非保有国は高い評価を下しただろうが、今は次期大統領候補選挙戦のフィーバーにかき消されている。日本はそれ相応に歓迎するだろうが、他の諸国はどうか。「今さらレームダックのオバマが訪問したところで何になる」と冷ややかなのではあるまいか。Cimg0236 広島の現地取材では、広島市民はおおむね好感をもって受け入れており、中でも、被爆された人たちは初の米大統領訪問を涙をこらえながら歓迎を示す人もおられた。Cimg0244 しかしながらアメリカでは相変わらず「広島・長崎への原爆投下は戦争終結を早め、多くの命を救った」(この場合の多くの命とは米軍人の命であって、もちろん日本人の命ではない)というのが一般論で、日本軍の捕虜になった元軍人も、広島への大統領初訪問は良いことだとしながら「謝罪まではすべきではない」と言っている。

 この視点はアメリカ政府の考えでもあり、スポークスマン(報道官)も、「広島での犠牲者への哀悼の意を示すだけであり、謝罪はしない」と明言している。

 さらにこうも言っているのが気になった。「戦後も71年が経ち、米日関係は新たなより一層緊密なものにしていくべきである」と。

 彼らアメリカ政府が言いたいのは、「西太平洋をめぐるリバランス(均衡の再編成)のためには日本は米軍に頼るばかりではだめで、自らも戦える姿勢を示せ」ということで、具体的には対中国問題ではアメリカは口を挟めないから日本が対処してくれ――と突き放そうとしているのだ。

 日米安保の支持者はこれで慌てふためいて、「アメリカが守ってくれなくなったら大変だ。アメリカの言うとおりにしよう」と、急いで安保関連法案を通したが、要するにアメリカの都合の悪い対中国武力行使では(アメリカは後ろ盾に立つことは立つが)日本が進んでやってほしいということである。(これが安倍政権の命取りにならなければよいが、少なくとも今度の参議院選挙は大敗を喫するだろう。)

 共和党の大統領候補トランプはそこを知ってか知らずか、たぶん知ってのことだろうが、「日本が駐留経費のすべてを負担しなければ米軍は引き上げるぞ」ときた。

 これに対して、日米安保支持者は「はいはい、払いますよ。払いますから、米軍さんはいつまでも居て下さいね」(軍事評論家や岡村行夫氏によれば、米軍に守ってもらったほうが日本軍を維持増強するよりも安くつくそうだ)と、向こうの言い成りになるしかないのかね。

 やはり国連憲章第53条(敵国条項)が71年経ってもまだ生きているんだなあ、と情けなくなる。

 今度のオバマ訪問に視点を戻すと、訪問しないよりはいいに決まっているが、これによって核廃絶への道筋がつくなんてことは全くないだろう。むしろ日本があれほどのむごい核爆弾を二度も投下されながら「二度と惨禍を繰り返させない。決してアメリカに仕返しなどはしない」と71年間も忍び難きをしのんで恨みつらみを昇華させている姿を世界に知らしめることに大きな意義があると思うのだ。

 そして、核保有国として初めて核廃絶を宣言しながら、現在レームダック状態にあるオバマ大統領にとっては引き際の花道であり、歴史的な訪問であることに間違いはない。

 

 


 

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鬱陶しい天気

 今朝もウメの散歩のときに小雨が降って来た。これでおとといの日曜から3日間連続だ。Cimg0197 昨日はかなりの西風が吹いていたが、今日はほぼ無風である。Cimg0195 池の金魚も喜んで・・・、と思いたいが、あいにく何にもいない。Cimg0196 ホテイアオイと名の知らぬ細かい水草、そしてこの冬に大きめの鉢に泥状の堆肥を詰め込んで沈めたスイレンは喜んでいるようだ。

 ウメの散歩の後はラジオ体操をするのだが、雨脚が強まってきたので早々に家の中に入り、テレビニュースを見ると、Cimg0216 あさチャンだったかで、北朝鮮の金正恩が「朝鮮労働党委員長」という新設された最高ポストに就任したーーとか。Cimg0215 これまでは「第一書記」だったから、昇任したことになるが、そもそも何の「第一書記」だったのかといえば、労働党の政務委員会だったかの中でこれまで一番目の「書記」だったのが、党のトップ(党首)になったということである。

 祖父の金日成は「国家元首」で、父の正日は「総書記」だったので、これで同列になったのか。もっともそんな肩書などはどうでもいいことで、名実ともに金王朝の三代目になったことを内外に示したということ。「社会主義人民共和国」なんだから人民の代表中の代表、労働党一党独裁のそのトップになったのだが、もちろん選挙を通してではない。ああ、鬱陶しい。Cimg0179 正午からの「ひるおび」では、今日の祝賀パレードを放映した後に、4日間にわたる「党大会」を振り返っていたが、その中で「特別重大放送」という触れ込みで行われたキム・ジョンウンの演説で、核に言及していたとして、その骨子を箇条書きにしていたが、

 「責任ある核の保有」

 「核の先制不使用」

 「世界非核化の実現に努力」

 という三箇条を挙げていた。

 これを見て「あれ!」と思ったのは自分だけか?

 これはアメリカなど既存の核保有国が好んで使う表現ではないか!

 ちょっと驚くと同時に、なにやら笑えてしまった。

 アメリカのオバマ大統領は就任早々の欧米訪問の途次、プラハで「核の廃絶」を訴えたわけだが、結局は成果を得ないまま今年で大統領をやめるので、核に関してはほぼ何ら進展を見ないままだ。

 金正恩はこのことを揶揄してこの三箇条を挙げたのだろう。奴さん、なかなかやるね。そうかそれだったら、トランプがいうように日本も核保有をしてこんな風に言ってやったらスカッとするな。(悪い冗談だが・・・)

 アメリカも思い切って北朝鮮を承認すればよい。かえって北朝鮮は核を使用しないだろう。韓国との「休戦協定」も何ら進展を見ていないが、雪解けが急速に進み「平和宣言」を出し合えば、北朝鮮と韓国の融和は一気に進み、そう大きなトラブルなく朝鮮半島の統一へ向けて話し合いが始まるのではないか。

 その時に最大のネックになるのが、三代目のお坊ちゃまだが、中国が亡命を受け入れるか、それとも・・・。















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対露平和条約はいつ?

 欧州を歴訪して来た安倍首相はロシアのプーチン大統領との親密さを印象付けたが、結局プーチンの訪日を招請しきれなかった。

 北方領土の問題は又しても棚上げになった上、最近ではロシア側の北方領土への優遇的な移住策が明らかになり、いよいよ日本への帰属は遠のいた。Cimg0157 今朝のNHK「日曜討論」では、その点について4人の識者が出演して意見を述べた(画像は当番組から)。Cimg0151 ロシアは新たな法律を作り、極東及び北方領土へ移住を希望するなら、1ヘクタール(3000坪)の土地を無償提供し、5年間農地などで使えば正式に所有を認める――というもので、やはり「盗っ人ロシア」らしい厚顔無恥な政策を勝手に取り決めている。

 これでは「北方領土の帰属」を話し合うどころか、ロシア併合の既成事実を積み上げているわけで、日本は強く抗議すべきだろう。安倍首相もプーチンとの親しい関係など演出せずに、毅然と反対を表明すべきだ。Cimg0150 学者として最もロシア関係に精通している法政大学の下斗米教授はこの事態を憂慮するが、平和友好条約締結への道筋は見えてこないとする。Cimg0160 キャノングローバル経済研究所主幹で中東での外交官経験者・宮家氏は、お得意の中国脅威論を前提に、ロシアが中国に対して脅威を感じれば日本との連携に前向きになるだろうが・・・とあまり期待していない。Cimg0161 最後に日本の対露外交の今後を問われた京都産業大学の東郷和彦氏は、それは現時点ではよくわからないと判断を保留した。

 この東郷和彦氏は外務省の欧州局長を最後に退任した人で、父も外務省、そして鹿児島出身の祖父・茂徳(しげのり)は、戦前戦後にまたがって外務大臣を務めた人物である。

 ソ連のスターリン時代に、英のチャーチル、米のルーズベルトとヤルタで密約を交わした結果が現在の北方領土問題(別の言い方をすればソ連の北方四島占拠問題)の根底にあり、その密約あるがゆえにアメリカは「シベリア抑留問題」も「北方領土問題」についても一言も日本への肩入れを表明しないのである。

 沖縄が日本に返還された時点で、アメリカは北方領土に対して「日本に帰すべきだ」と言わなければならなかったのに、ソ連を刺激することを避けたことが今日までソ連(ロシア)の占拠を許す結果になったのである。

 とにかく、アメリカは北方領土に対しては固く口を閉ざしたままだ。

 極論に聞こえるかもしれないが、日本が(トランプ大統領候補の言うように、米軍在留の経費をもう支払わないことも理由になるが)自分の国は自分の国で守るとして米軍の撤退(日米安保の破棄)を願えば、ロシアも中国も対日軟化政策をとってまずは経済的な側面から接近してくるに決まっている。

 そうしたら、ロシアは次に平和条約を結ぼうとし、その一環として北方領土四島の返還を申し出てくる可能性は高まるだろう。たぶん経済的取引が交換条件になるだろうが・・・。

 日米同盟(具体的には安保)が無くなったら、中国がロシアが攻めてくる――と考えるのは完全に対米従属的洗脳に陥っている証拠だ(日米安保中毒と言ってもいい)。

 対米従属70年、ああ情けない。もうここらで仕切り直し、日本独自の世界の民生安定のための国是(外交目標)を定めたいものである。

 【追記】

 午後の読売テレビ「そこまで言って委員会」を見ていたら、次の設問があった。

 ――熊本地震で米軍が沖縄基地のオスプレイを出動させて救援物資を届けたが、あれはどう思う?

 というもので、タイムリーな質問だった。Cimg0175 8人の回答者のうち、田嶋陽子一人だけが、Cimg0163 「意味がない。自衛隊で十分だ」とし、後の7人は「意味がある。当然だ」という結果になった。

 田嶋陽子はもともと自衛隊の存在すら容認しなかった口だが、ここへきてようやく災害出動する自衛隊は認めたらしい。田嶋陽子に限らず、昔の社会党の支持者も今どきはもう「自衛隊は違憲だから無くせ」という「金科御九条」論者はいなくなったろう。

 ただ、田嶋陽子があの共和党のトランプ米大統領候補を意識し、司会側に立った井上和彦という人物に、「あのオスプレイ出動の経費を日本が払うとしたらいくらなのか?」と訊いていたのにCimg0162 井上和彦が答えられなかったのはおかしい。

 その点こそトランプが問題にしたいことなのだ。なぜ自衛隊でも十分にできるのに、わざわざ米軍がコストを掛けて出動する必要があるのか――このトランプの考え方に賛成者の誰もがまともに答えようとしないのは解せない。

 日本人の多くは米軍駐留をまるで親が子を守ってくれているようなもので、このような災害時にも助けてくれるのが当たり前――と(まさに上の7人のように)思っているが、世界的な目で見ると全くおかしいのだ。

 何で立派な独立国が内部に他国の軍隊を駐留させて、「守っていただいている。災害の時も助けてくれる。」と、恬として当たり前と感じているのだろうか? 日本はまだ独立国ではないのか?

 トランプはこの国際的な非常識を日本に問い掛けているのである。

 今日の「そこまで言って委員会」の論議を見ていると、まるで「対米従属委員会」のようだった。

 ああ、トランプが大統領になって日本人の目を覚まさせてほしいものだ!

 





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かのやばら祭り2016春

 2016年春の「かのやばら祭り」が始まった。

 4月29日の初日から数えて今日が6日目。開幕当初は花の着きが3割程度とやや少なかったが日を追って開花するバラが増え、今日は7分咲きになっていた。Cimg0002 3時半ころにばら園に行ってみると、人の出はまだかなり多い。Cimg0004 多いのは家族連れとカップルだ。Cimg0009 園内を歩いてみたが、今年は去年より相当に花の着きが良いし、色も鮮やかだ。つるバラ仕立ても見ごろを迎えている。Cimg0023 Cimg0020 Cimg0011 Cimg0030 Cimg0028 Cimg0016 Cimg0013 Cimg0033 と、まあ色々ありました。

 そよ風に乗ってお出で下さい。花粉症でなければぷーんと香りが漂って素晴らしいそうですよ・・・。

   < かのやばら祭り2016春 >

   期 間    4月29日~6月5日

   入園料   大人610円 子供半額以下

   時 間    9:00~18:00

   ※ 土産物あり、食堂あり。すぐ上の芝生の公園はサッカー場になるくらい広い。

     また、その奥の方にモーターカー場(有料・一周200円)と展望台あり(無料)。

  































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憲法改正の是非

 今年の5月3日の憲法記念日は新憲法が施行されて70周年という節目の日(公布は前年の11月3日)。

 NHKの特番で各党の党首かそれに準じる政治家を集めて討論会があった。ただ、今回は単に憲法の改正問題だけではなく、7月に参院選を控えているということでその点も大きな話題とあった(画像は夕方6時のニュースから)。Cimg9087 数日前に行われたNHKの電話アンケート調査の結果を踏まえてだったせいか、与党側は改正を前面に出さずに受け応えをしていた。

 その調査は「憲法改正が必要と思いますか?」というもので、おおざっぱに言うと、賛成が20パーセント、反対が30パーセント、どちらともいえないが40パーセント、分からないが10パーセントというものであった。

 明らかに反対(改正の必要はない)が10ポイントほども上回っていたので、Cimg9090 与党自民党代表の高村副総裁が、安倍首相と同じく、「一字一句変えないなんてことは、そっちの方がおかしい」というような認識であるのは当然のことながら、Cimg9095 今度の参院選では憲法改正を争点にしたくない、と逃げ、Cimg9098 同じく与党公明党の北側氏も争点にしたくないと、及び腰であった。Cimg9100 これに対して野党第一党の民進党(台湾の与党第一党の民進党と同じ党名だが、向こうからクレームがつかなかったのだろうか――)は、同じ70年という期間の点では、Cimg9102 これまで紆余曲折があったにせよ変わらなかったことに意義を見出している。この点では筋金入りの旧社会党系の社民党党首吉田氏が、Cimg9108 いつもの「金科玉条」ならぬ「金科御九条」主義を繰り返している。

 今どき、「日本国憲法第9条によれば、自衛隊も違憲だ」などとして、自衛隊の存在すら認めようとしない者はほぼいないだろう。Cimg9110 これには直接の答えは出さなかったが、「日本の心を大切にする会」の中山代表は、現憲法を全面的に変えて日本の歴史文化慣習に合致した、一歩進んで日本の心を推し進めるような憲法を目指している。

 ほかに生活の党、おおさか維新の会の発言もあったが、前者は憲法改正に懐疑的であり、後者は改正が必要というものであった。

 憲法改正の論議では他はどうであれ、とにもかくにも、「第9条」の改正の是非が中心となる。

 非改正論者の多くは、この9条に関してだけに最大の眼目を置き、「絶対に変えてくれるな」という。非常事態法案(安保法制)の制定に当たって昨年はここを基軸に、「戦争法案だから反対」という切り口で大ブレークを行ったわけだが、一方、改正論者は「自衛隊を国防軍」として名称上、正規の軍隊に格上げしたいと考えている。

 安倍首相も後者の考えだろうが、しかしよく経緯を顧みてみると、実は「第9条を一字一句改正しないで自衛隊という軍隊を整備し、多額の予算をつけて世界でもかなり実力のある国軍になって来た」のである。

 だから、今さら、「自衛隊を国防軍に書き換えたい」としても、すでに厳然とした既成事実があるわけだし、また、上で触れたように、「金科御九条」連中ももう「自衛隊は違憲だから廃止せよ」とも言わなくなっているのだから、無理に書き換える必要はない。

 そもそも憲法第9条は第一項で「戦争放棄」を唱えているのだが、「自衛軍の放棄」もしくは「個別的自衛権の否定」などしていないのである。

 第2項には「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」とあるのだが、しかしこの第2項はあくまでも第1項という大前提を受けての項目なのである。したがって第2項のこの「陸海空軍の不保持」は第1項の「国権の発動たる戦争と・・・(中略)国際紛争を解決する手段としては永久に放棄する」という前提に対する「陸海空軍の不保持」なのである。

 要するに「諸外国にまで行って武力を使うような陸海空軍は保持しない」ということで、「外国から攻められたときに反撃して身の(日本の)安全を守るための自衛軍の不保持」などうたっていないのである。

 頭の固い人は、このあたりを言うと、「詭弁だ」としたがるかもしれないが、では、実際の憲法第9条を見てみよう。

    【日本国憲法・第9条】(全文)

    第9条 

 (第1項) 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、

       国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、

       国際紛争を解決する手段としては永久にこれを放棄する。

 (第2項) 前項の目的を達するため、

       陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。

       国の交戦権はこれを認めない。
  

 
 以上が改正問題の焦点になっている9条の全文だが、逐行で解釈を施してみる。

 第1行は理想を述べたものである。制定当時の1945年(公布の時点)で、国際秩序は全く正義も秩序もなかった。日本が目指した東洋諸国の欧米列強による植民地支配からの解放は日本が敗れたことによって振出しに戻り、アメリカでは黒人に基本的人権は無かったのだ。

 第2行は、これがまさに「戦争の定義」である。近くは日本対英米の戦争があり、それ以前に第一次大戦があり、日清・日露戦争や、薩英戦争・アヘン戦争など日本が開国してからというもの欧米列強の東洋への侵略と圧力、そして不平等条約に起因する多くの戦争があった。

 第3行こそが、この第9条の眼目である。「国際紛争を解決する手段としては」という前提があってのちに、「そのような戦争は放棄する」としている。つまり国内の動乱やクーデターへの武器使用はいざ知らず、諸外国との戦いはもうしない――と言っているのだ。

 第2項は第1項の定義を踏まえてのもので、

 4行目は、第1項の第3行の大前提に立って以下の5行目、6行目が意味を持つという文言である。つまり5行目・6行目は第1項の縛りを受けているということに他ならない。

 5行目の「陸海空軍の不保持」は「国際紛争を解決するための陸海空軍は持たない」と理解すべきなのである。自衛のための軍隊を持ってはいけない――とはどこにも書いていないのだ。

 そして6行目の「国の交戦権」というのも「国際紛争を解決するための交戦権」と理解すべきで、これも自衛のための軍隊を持ってはならない――とは解釈できない。あるいはしなくてよいのだ。

 以上、第9条は日本という独立国家が陸海空軍を持ち、それを自衛のために使用することまで禁じてはいないことが分かるのである。

 ここまで言っても「戦争放棄=軍備廃止」という先入観に囚われ切った人のために、「個別的自衛権」を持ち出してもよい。

 この「個別的自衛権」というのは「集団的自衛権」が唱導されてからあわてて生まれたような言葉だが、まず、先に生まれた「集団的自衛権」とは何か?

 この「集団的自衛権」は第2次大戦の時に英米が主唱した「大西洋憲章」という対ドイツ共同戦線および戦後処理の取り決めの中で明確に表れた言葉で、簡単に言えば、「共通の敵を合同でやっつけましょう」というものである。

 大西洋憲章の時は主に対ドイツだったのだが、その後日本が独伊と「枢軸国」を結成すると、日本をも標的とした取り決めになり、大戦後は国際連合結成の際に作られた国連憲章の下敷きとなり、敗れた枢軸国側の国家群は第53条により「敵国」扱いとなって、今に至っている。そのため、日本がどれほど分担金や相応の国連協力をしても安全保障理事会の常任理事国にはなれないのである。

 ついでに言えば、1972年に中国共産党政府が国連に加盟した途端に、それまで台湾が常任理事国だったのに、すぐに台湾が追放され、その後がまに中国共産党政府が据えられたのも、対日戦勝国扱いされたからである。英米の思惑ではあくまでも日本は「敵国」なのだ。

 話はそれたが、「集団的自衛権」とは以上の経緯からも分かるように、対ドイツ・対日本への対策上、勝者側の連合国諸国が締結した自衛権であり、「今度またあの枢軸国連中が我々に歯向かって来たらみんなでやっつけよう」という権利なのである。

( したがって安倍首相がアメリカとの連携を意識して「集団的自衛権」云々というのは筋違いなのである。もし本当にアメリカとの集団的自衛権を言うのなら、日米安保を廃棄し、さらに国連憲章上の『旧敵国条項」(第53条)をも削除させたうえで、つまり本当の意味で同格の国際連合加盟国にならなければならないのである。

 実は日米安保のような国連加盟国内の二国間軍事同盟も国連憲章では禁じられており、あくまでも国連安保理による解決を目指すというのが建前なのである。そのためか日米安保は現在もう30年も一年更新の「自動延長」が続いたままだが、これはどちらか一方が「やめます」と言えば、一年後には廃止されることになっている。ただ、自民党がやらなかっただけの話なのである。)

 これに対して「個別的自衛権」は本来どの独立国家も持っている固有の権利であって、その自衛を満たすための「軍隊」の保持は何ら禁じられていない。したがって近隣諸国が領土を侵害した場合、自衛権を発揮して武力で威嚇も、攻撃もできる。そのための軍隊および軍備は最低限必要だろう。

 日本は幸いなことに島国であるから「国際紛争で海外に派兵する」点では、相当な抑制が効くし、これはしないと9条で宣言している。また仮に攻められるにしても、海岸線防備を徹底すればおおむね防げる。もっとも今どき日本を攻めてこようという動機のある国は無いから、未然に外交政策でもって抑止できるだろう。

 自分としては以上のように、第9条は「専守防衛のための自衛軍の保持」は禁じていないと解釈するので、今おおきな問題となっている9条の改正はする必要ないという考えである。

 

 















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トランプ大統領待望論

 次期アメリカ大統領候補で共和党から擁立されることがほぼ確実のドナルド・トランプ(と民主党候補ヒラリー・クリントン)に関するNHKの討論番組「日曜討論」が今朝あった(以下の画像はすべて同番組から)。Cimg9059 メンバーは4人で、そうそうたる顔ぶれであった。Cimg9078 岡本行夫・МITシニアフェロー。この人は日本在住というよりアメリカ在住のほうが長いような人で、日本の保守系軍事評論家のように、「日本はアメリカに軍事的におんぶしていたほうが安くつく。だから日米安保同盟は結んでおかなければならない」という立場。Cimg9060 最近は民放テレビの常連となったロバート・キャンベル東大大学院教授。日本の近代文学が専門のこの人が出ているのはいまいちな感じだが、出身国であるアメリカの社会全般に精通しているからだろうか。Cimg9052 久保文明・東大大学院教授。アメリカ社会・外交などが専門。初めて見る先生だ。Cimg9054 双日総合研究所のエコノミストで大統領選挙に詳しい。

 とにかく今日の討論参加者の誰もが予想をしていなかった共和党候補のトランプをどう評価するかが、今日のメインテーマであった。Cimg9072 トランプだけの話にしないのが公共放送たるNHKの公平なところで、とくに日本との関連で大きなテーマとなっている「TPP」(環太平洋パートナーシップ)をまず取り上げていたが、実は両者ともに反対の立場なのだという。

 久保文明教授によると、クリントンの支持母体である民主党党員が反対だから選挙期間中はそれに同調せざるを得ないのであって、もし大統領になったら賛成に回っていくだろう――という見解だ。

 これに対して賛成者の多い共和党の候補でありながら、トランプが明確に反対の立場なのは、カナダ・アメリカ・メキシコの北米三国によって経済協定(NAFTA)が結ばれ自由化が進んだことで、メキシコから貧困層を中心にアメリカへの移住者が激増して、仕事や経済の奪い合いが起きており、また社会秩序が著しく乱れたことを懸念したからだという。

 道理で、「メキシコ国境に壁を造って、移民を押し止める」――これがトランプのキャッチフレーズになったわけだ。

 NAFTAというのは「北米大陸の域内経済自由化」 のことで、例によって経済の自由を謳歌したのは「持てる者」であり、「持てる者」は資本を出すことで株式を保有したうえで経済を動かし、それによる株の値上がりで巨万の富を得る。

 トランプも「持てる者」だが、不動産といういわば実業経営に基づいて富裕になった人だから、株式を隠れ蓑にしたマネーゲームには目を向けていないのか、少なくとも非常に批判的なのだろう。Cimg9068 アメリカではレーガノミックス(政府は小さければ小さい方が良く、多くのサービスは民間に任せた方がいい)のころから、次第に格差fが大きくなり、今や全人口の3%が国富の54、4%を保有しているという。

 もちろんトランプもその3%の中の一人だが、双日総合研究所の吉崎氏によると、「30年前の富裕層はある意味でアメリカンドリームの体現者であり、中間層から見てあのようになりたい、頑張ればなれる――という目標であったので、まあまあ良い目で見られたが、今の富裕層は隔絶した富を持っているため、白い目で見られている」というようなことを述べていた。

 要するに国民の一流層はますます富み、二流が無くなってしまい三流・四流が圧倒的に増えてしまったので、基本的にはマネーゲームをしないトランプが意外にも三流・四流層の支持を集めているようである。民主党も真っ青な現実がそこにあるのだ。

 そんな中でトランプの外交政策が問題視されている。

 何しろこれは直接に日本(や中国・韓国)を名指しでやり玉に挙げて、選挙戦を戦っているのだ。

 曰く、日米安保の片務的取り決めの見直しを!

 曰く、米軍の駐留経費をもっと出せ、さもないと撤退するぞ!

 曰く、日本も核兵器を保有して北朝鮮に対抗しろ!

 というのだから、穏やかではない。

 これに対して日米外交のエキスパートである岡村行夫氏は、

 「トランプは外交音痴なので、良いブレーンを持たないといけない。実は日本に駐留していれば日本が思いやり予算を支払っているので、本国に日本在留規模の米軍を置くよりかえって安上がりなのに・・・」

 と相変わらず、日本の防衛について「米軍駐留安上がり論」つまり金の問題だけを持ち出している。

 日米安保の見直しを求めるトランプの真意は経費だけのことではなく、日本もアメリカがどうかある時に軍隊を差し出してその軍事費はもとより日本軍の血を出せるようにしなければ双務的ではない――と言っているのだ。

 そうしなければ日本なんか守ってやるものか――これが本音である。

 ここは安倍首相の「周辺危機事態(対処)法」に呼応してくる。安倍首相は今のところ「アメリカの艦船が他国で危機的状況にある邦人を護送してくれる際に限って、武器を使用して米艦船を守る」というレベルで済まそうとしているが、本来なら邦人の保護・護送は日本自身がやるべきものだろう。

 そんなことは日本の艦船でやれ――これも本音である。

 トランプが言うまでもなく、外国に外国の軍隊と戦うことは日本国憲法上禁じられているので、あくまでも「邦人保護」に限るのなら自衛隊を派遣してもおかしくはない。国際法上も許される。

 憲法9条を変える必要もないだろう。なぜなら、国家は超法規的に「個別的自衛権」を保有しており、自国の危機事態に対してはその自衛権を発動して何ら問題はない。

 もしトランプが大統領になり、上記のうち「日米安保の片務性の見直し」と「駐留経費の上積み」を求めて来たら、もう日米安保は破棄して日本は超法規的な「個別的自衛権」のもとで専守防衛に徹する国防軍を整備し、同時に永世中立国を宣言すればよい。

 こうしたうえで、世界の民生の安定を国是とする(これまでもそうだったが)国家目標を掲げればよい。

 日米同盟を廃棄したら中国が攻めてくる――という意見が多いが、一体何が理由で攻めてくるというのだろうか。むしろ日本はいつまでもアメリカの軍事力におんぶしているその姿に軽侮の念を心底では持っているのが中国の指導部で、もしアメリカの桎梏を離れたら、喜んで種々の協力関係を申し込んでくるはずである。

 むしろ陰険で怖いのがロシアだが、多くの人は中国ばかりを危険視しロシアの脅威を全く言わないようだがおかしな発想である。

 しかしどちらの国も日本が米国との軍事同盟を離れたら、大いに歓迎するだろう。なぜなら日本は民生安定のための経済力・技術力を持っているからだ。特に中国はニクソンが国務長官キッシンジャーとともに中国共産党政府を承認して国際社会に復帰させる前の「LT貿易」を象徴とするあの良好な関係に戻るのではないだろうか。

 アメリカ軍が日本全土から撤退したら沖縄は中国に乗っ取られ、北方領土は永遠に帰らないだろう――こんな心配をする人が多いが、話は逆で、中国は尖閣海域を共同開発するよう求めてくるだろうし、北方領土はむしろ返還されるかもしれない(ただし金は取られるだろう)。

 例のヤルタの密約で、アメリカはソ連(今のロシア)に対し日本の分割統治もあり得ることとして、米国が九州、ソ連は北海道を――という提案をしている。そのため米軍は再び日本が刃向かった際にはソ連が北海道を占領してかまわないということで北海道には駐留していないのであり、もし日米安保が破棄されたら日本はようやく普通の国際連合参加国となり、ソ連(現ロシア)が北方領土に居座る理由が失せるからだ。

 トランプの最後の提言はまずいだろう。

 日本が核保有をすることはあり得ない。何のための人類最初にして最後の広島・長崎原爆禍そして「核廃絶」運動だったか分からなくなる。

 この点について岡村氏もキャンベル氏も、「日本はアメリカの核の傘で守られているのだから核は必要ない」と口裏を合わせていたが、このような言い方はおかしい。

 アメリカが二発も非人道的な核爆弾を落としていながら、その核兵器で日本を守っているのだ――とは聞き捨てならない。

 子供に暴力をふるう虐待オヤジが、「バカヤロー、そんなことで泣くな。この力でお前を世間から守ってやってんだぞ」というのに等しい。

 言い方がまずい。日本はアメリカの核の傘で守られようが守られなかろうが核兵器は持つ必要はない。

 核兵器に掛ける金があったら専守防衛用の通常兵器と民生の安定のために使うべきだ。中国にも、ロシアにも、そしてアメリカにも「民生の安定こそが政治の目標」ということを教え、かつ体現していく国是をきちっと表明すべき時だろう。

 トランプが大統領になったら面白い。アメリカも日本も変わらなければならない。いや変わるだろう。もちろん中国も、ロシアも。

 

 
















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