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今上陛下の「お気持ち表明」

 天皇陛下がテレビを通じて直接国民にお考えを表明されるのは2011年の東日本大震災以来で、今回は心情を吐露された点ではかなり立ち入った内容のあるお話であった。Cimg1835
 (画像はNHKテレビから。以下同じ)Cimg1842
 東日本大震災ではすぐ翌月に被災地を回られ、同じ年に疲労による入院をされ、明けてからは心臓バイパス手術を受けられ・・・というようにこの5年の間は多くの被災地慰問、戦地巡礼をされ、合間に手術や皇室祭祀・対外的なご公務と、「高齢に鞭打って」のお姿は痛々しいほどであった。
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 すでにご本人が高齢のために公務を完全には遂行できないと、周囲に漏らしていたようである。Cimg1879_2
 国民統合の象徴であるとの日本国憲法の規定に違わぬよう「全身全霊」で公務に当たられたが、万が一公務中に倒れるような事態になっては、Cimg1907
 「これまでも見られた」というのは昭和天皇が人事不肖になって国民の間に見えない「規制」が働き、数々の行事等が中止になったことで、Cimg1908
 確かに様々な面で停滞が見られた。
 平成天皇はまた、天皇崩御後の長い服喪期間と一連の葬儀関連の儀式が1年にもわたることに対しても「停滞と心労」を心配された。
 また、いざ重篤な事態になれば皇太子を「摂政」にして天皇の代行とさせるとの皇室典範上の条文があるにしても、結局は崩御のその日まで天皇位に留まることに何ら変わりはないので、やはり昭和天皇の時のように社会的に種々の停滞や規制がかかってしまう――という趣旨のご発言もあった。
 
 以上のような理由から、国民統合の象徴である国事行為と、皇室祭祀の遂行に支障をきたすようでは天皇の役目は中途半端なものになり、それどころか年々衰えていく体力に合わせてそういった国事・皇室祭祀が縮小されて行っては元も子もない。したがってそうならないうちに退位して次代に譲位することが必要である――これが今上陛下のお考えだ。

 天皇制原理主義(明治憲法的な絶対君主制)者は、「そんなことを認めていたら天皇の地位が恣意的になり、なし崩しになってしまう」と言うであろうが、そもそも彼らにとって天皇陛下がビデオとはいえ直接国民に訴える(語り掛ける)という事態そのものが由々しきことであろうが、時代はもうそこまで来ている。

 今上陛下は「国民とともに」を最も大切なフレーズにしておられる。だから災害に遭い被害を受けた人々を見舞われ、それこそひざを突き合わせて励まして来られた。戦地慰霊の巡礼もそのお気持ちからだろう。
 
 思えば、今上陛下が皇位を継承した時のお歳は55歳。明治天皇は16歳、大正天皇は33歳、そしてお父上の昭和天皇は24歳。どの天皇も若くして皇位を継いでおり、若いがゆえにまさに時代とともに歩んだが、平成天皇は55歳という一般人ならあと5年で定年退職、あとは年金で悠々とした老後が待っている、という年齢で皇位に就かれ、就かれた早々から各地で地震や火山災害が頻発して古い言葉だが「寧処(ねいしょ)にいとまあらず」(のんびりしている暇はない)であった。

 一国民として、もう皇位を皇太子殿下に譲られて退位されることを願うものである。お疲れ様でした。これからは一般国民の高齢者と同様、皇室ご一家の中でよきおじいさま、おばあさまとして過ごされること希う。そのお姿がまさに一般国民の高齢者の象徴とならんことを。


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