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ドゥテルテ大統領の「過激発言」

 フィリピンの新大統領ドゥテルテが来日した。
 その10日前には中国を訪問して例の南シナ海領有権問題を棚上げして2兆円を超える巨額の借款を引き出している。

 来日前の記者会見などでは、「アメリカなどの外国軍隊は2年以内に出て行かせる」とか、麻薬撲滅のために多くの密売人・使用者を殺害していることに関してアメリカ政府が重大な懸念を表明していることに対して「アメリカ政府(国務省の役人)は馬鹿だ」などと突っ込んだ発言を繰り返した。

 また「仲間にできるのは日本・中国・ロシアだ」などと、アメリカへの当てつけ的な発言も口に出している。
 
 前のベニグノ・アキノ政権や独裁で有名だったマルコス政権が対米従属だったがゆえに、「フィリピンは親米国家」と評価されてきたことに対する全否定的なスタンスを採っていることへの驚きが全世界に衝撃を与えている。

 だが、こうしたアメリカへの挑戦的な発言の背景にあるのが、アメリカによる過酷なフィリピン植民地支配であることを想起しなければならない。
 
 フィリピンは欧米の帝国主義的・人種差別的植民地支配の犠牲になっていたのである。日本でいえば戦国時代の末期の1570年代にスペインの植民地となり、約300年後にはスペインに代わってアメリカが支配をした。

 1902年にはアメリカの支配が完了したとして「フィリピン統治法」なるものがアメリカ議会で成立し、その後アメリカから総督が送り込まれ、人種差別的な植民地支配(アシェンダ)が確立し、その過程で反抗するフィリピン人60万が犠牲になっている。

 日本軍がフィリピンに進攻したとき、「アイ シャル リターン」と言ってフィリピンから落ち延びたマッカーサー米国総司令官の父親はその総督だったことがあるのも因縁めいている。

 今日、ドゥテルテ大統領は経団連、岸田外相そして安倍首相と会談をし、日本へのこれまでの平和友好的な経済援助への謝辞とともに、さらなるフィリピン発展のための種々の借款・支援を要求しているようだが、中国の南シナ海進出への法的な対応を日本とともにとることだけは確約した。

 果たしてどれほどの実効性があるのか定かではなく、日本が心配する「アメリカへの義絶発言」の真意が不可逆的なのかどうかしばらくは見守るほかない。
 
 だが、ドゥテルテ大統領の、「アメリカは自分の首にヒモをつけて犬にしたがっているが、冗談じゃない、我々は真の独立国家だ。我々の考えでやっていく」という胸のすくような発言は、戦後70年も経って相変わらず「二人羽織外交」(もちろん前面に顔を見せているのが日本、後ろから手を出して操っているのがアメリカ)を事としている日本の政治家・外交当局に聞かせてやらなければなるまい。

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