トランプの勝利
今日の午後4時45分、アメリカ大統領選で共和党の候補ドナルド・トランプが勝利を確実にした。
まだ最終確定ではないが、得票ではわずか100万票ほどの差、得票率では0コンマ数パーセントに過ぎない。
共和党副大統領候補のペンス氏が勝利宣言をしていたが、まさに歴史的な大接戦の勝利であった。
1年前は「泡沫候補」でしかなかったトランプを当選させた原動力は何だったのか?
結局は「偉大なアメリカをもう一度」というキャッチフレーズが、職を中国等に奪われてきた「古き佳き先進工業国の誇りを覚えている主として白人米国人」の心を掴んだのだろう。
今度の選挙中でもテロップで流れたように、「トランプ候補の優勢に株価が1000円も下がった」というような何でもかんでも市場の金の流れに換算してしまう世の中の動きに対するアンチテーゼでもある。
もういい加減すべてを金の価値に置き換える風潮はやめにしてほしいものだ。
もちろん当のトランプはそういった市場原理をうまく生き抜いて今日を築いた人だが、一方で既存のアメリカを覆っているファンド(悪質なのがハゲタカファンド)中心の社会とは違うアメリカを目指しているようにも思われる。
翻って日本の政治はあのレーガノミックスに追随し始めたころから、市場原理主義に侵食され、やはり「何でも金」の時代に突入していった。
さっき取り上げた「株価が1000円下がった」というのは他ならぬ日本株のことである。先行きに不透明感があるとすぐに売り抜けて値下がりの損害を少なくするように動いているからだが、どこかで戦争が始まると何とか会社の株が買われたり、売られたりとせわしないことだ。
こんな実体のない株などに経済や社会が動かされては堪らない。トランプはそのあたりをよく見抜いているのだろう。他方のクリントン陣営はファンド(大金持ち層)から多額の献金を受けていたが、民主党の党是から遠く離れてしまったがゆえにいまいち信用されなかったのだ。
さて、「トランプが当選するなんて有り得ない」と微笑み交じりに喋りまくっていた日本の多くのテレビコメンテーターたちは、今後どの面下げてテレビに出てくるのだろうか?
自分はトランプ大統領に期待していたので、これから日米関係がそれぞれのナショナリズムに立ち返るという意味で、貴重な4年間になると思っている。
「アメリカの核の傘・軍事力によらなければ日本の安全は守れなし、そのほうが安上がりだ」と安逸を決め込んでいた知識人たちはそぞろ背筋が寒かろう。
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