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右と左

 今夜の「バクモン爆笑問題」(NHKテレビ)は、広辞苑の編集についてのバクモンだったが、編集長が『「右」という言葉の定義は何だろうか』という質問を出し、それに爆笑問題の二人ともう一人乃木坂46のメンバーの子がそれぞれ回答していた。
 
 その中で爆笑問題の田中の答え「南を向いた時の西の方向」が正解だったが、しかしそれはあくまでも右左という言葉を使わないでなら、そう答えられるというに過ぎない。「右(みぎ)」という語源そのものを答えているわけではない。

 ところが実際に辞書を引いてみると、「みぎ」の意味については田中の答えと同じだということが分かり、唖然とした。そのほかに「にぎり」から来た、つまり多くの人は右利きなので、物を握るときに必ず右手を使うから「にぎり手」から、「にぎ手」→「にぎ」→「みぎ」という変化を想定している。

 どちらも噴飯物の解釈である。

 右と左についてはすでに古事記の中で次の箇所に説明書きがある。もちろん説明書きといっても「みぎ」の意味はこれこれで、「ひだり」の意味はこれこれですよと箇条書きにしてあるわけではない。

 その箇所とは、伊弉諾尊(いざなぎのみこと)が天照大神・月読命・須佐之男命の「三貴子」を生む段である。
 
 それにはこう書いてある。

 <ここに左の御目を洗ひたまふ時に、成れる神の名は天照大神。次に右の御目を洗ひたまふ時に、成れる神の名は月読命。次に御鼻を洗ひたまふ時に、成れる神の名は建速須佐之男命。> 

 伊弉諾尊は男性神であるから当然懐胎して腹から子を産むわけではない。生まれる原理が天照大神の場合は「左目」から、月読命は「右目」から、そして須佐之男命は「鼻」からなのである。

 ではなぜ太陽神である天照大神が「左目」から生まれたのか。ここに「左」の意味が隠されている。

 すなわち「ひだり」とは「日足り」で、「日」が足りていることである。「日(ひ)」とはもちろん現実の太陽のことでもあるが、「霊」「魂」などをも含む広い意味を持っている言葉であり、そのような「ひ」に満ち満ちているのが天照大神の属性である。

 「右目」から生まれた月読命の場合は、月(ムーン)の属性を考えるとすぐに分かる。月は規則的に満ち欠けをする(もちろんこれは地上から見ての話で、実際に月という星が物質的に削られるわけではない)。つまり月は「身を切っている」ように観測される。これが「身切り」→「みぎり」→「みぎ」と変化して、「月と言えばみぎ」となったものだろう。

 簡単に整理すると、「左(ひだり)」は「日足り」、「右(みぎ・みぎり)」は「身切り」、が語源である。

 最後に須佐之男命は「鼻」から生まれたとするが、これについてはよく分からない。「鼻」の語源は顔の中ほどに突き出しているので「トップ・最初」の意味の「はな」(例として、「この問題は難しくてはなから解らない」など)だろうという説がある。

 しかし須佐之男命が生まれたのは、「三貴子」の中では最後で、最初ではない。「鼻」が「最初」の意味であるのなら、文字通り三貴子の中でイの一番に生まれてよさそうだが、そうではない。

 まったく視点を変えてみると、鼻は漢方医学では「肺」の機能を表しているという。肺とは呼吸器官であり、空気の流れを象徴しており、空気の流れの強まったものが「風・強風・暴風」である。そうしてみると須佐之男命は高天原に上って姉である天照大神の田を荒らしまくっていることなどから、稲作の強敵「暴風・台風」の象徴に他ならないのではないか?――という考え方もできる。

 須佐之男命についてはまだ考慮の余地はあるが、天照大神の「左」、月読命の「右」は「日足る」・「身切る」が語源として間違いないと思う。

 

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