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”微笑み外交”に満足?

 美女応援団や三池淵美女交響楽団の派遣で、ピョンチャンオリンピックをうまく取り込んだ北朝鮮のキム・ジョンウンはおおいに満足したようだ。

 向こうの労働新聞に掲載された集合写真(ホームページ『鴨着く島おおすみ』の表紙に転載した)には、にっこりとほほ笑むキム・ジョンウンとその隣りで腕組みを交わす妹のキム・ヨジョン、反対側には北朝鮮ナンバーツーでヨジョンとともにピョンチャンに派遣されたキム・ヨンナムが写っている(他に派遣された高官二名)。

 妹との腕組みはいいとして、キム・ヨンナムに対しても右手でヨンナムの手を握っているのが見えるが、よほどうれしかったのだろうと思わされる。

 何しろ「国王」の妹が直々に出かけて行ったのだから、相当な覚悟で送り出したはずで、もし韓国側の接待が酷いものだったら、どうしてやろうかと内心は心配だったに違いない。

 ところが韓国の文在寅大統領が妹を迎える態度はそれ相応のものであったので、とても気をよくしているのだ。援助と北朝鮮訪問を要請する内容の親書も無事に渡すことができ、たぶんどちらにも前向きな反応を示した文大統領にもいたく満足しただろう。

 文政権は左派政権と言われ、北朝鮮に対しては積極的融和主義を採りそうだとの予測があったが、その通りになった。

 アメリカとの合同軍事演習はそつなく受け入れるが、北朝鮮との問題は「内政問題だ。統一は自分たちの手で成し遂げる」としたい文政権は、アメリカにとっては痛しかゆしだろう。

 しかし、その文政権へ配慮したのか、北朝鮮への最大限の圧力をかけ続けるとトランプは言う一方で、話し合いの可能性もあるとも述べている。

 「どっちなんだ!」と相変わらずアメリカ外交べったりの安倍政権(と外務省)は困惑しているが、そもそも安倍さんは総選挙で自民党が大勝し、自らの政権が安定した際に、「拉致問題は自分の代で解決する」と大見得を切っていたではないか。そうだったら首相就任後に早く手を打って向こうとの交渉を積極的に推し進めるべきであった。

 そのことに着手するのを遅らせているうちに、核の問題がどんどん大きくなってキムとトランプとの「舌戦」が激しくなると、今度はやはりアメリカべったりの「最大限に圧力を掛け続ける」オンリーになってしまった。

 時代背景は変わるが、西郷さんは朝鮮半島に帝政ロシアが進出してくるのではないかと非常に危機感を抱いており、秘密裏に朝鮮及び満州方面に人を送って調査させているが、その結果も踏まえて儒教的中央集権主義(小中華主義)に凝り固まっていた朝鮮王朝に対して自らが特使として行って開国を迫ることを決意した。

 「もし、おいどんの身に危害が加えられ、死ぬようなことがあれば、そん時にはそれを口実として朝鮮を攻めればよか。ただ単に、外交上無礼であるからといって攻撃することはしてはならぬ」というのが「西郷さんの遣韓論」の中身であったが、欧米から帰朝した大久保らの反対で叶わなかった。

 西郷さんのこの考え方は今日でも通用するもので、キム国王が「我が国の核ミサイルはアメリカ本土を攻撃できる」と言ったからといって、「ではその前に核で北朝鮮を攻撃しよう」としてはいけないのが今日の国際常識だ。

 安倍首相自らが北朝鮮に赴き、キム国王に核の棚上げと拉致問題の解決、さらに退位を迫るくらいの働きをしたら西郷どん以上の評価を得るだろうに。もっとも退位を口に出したらただでは済まないだろうが、退位後の落としどころを用意してやれば、案外振り上げっぱなしの拳が収まるかもしれない。

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