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吾平富士登山と四滝めぐり

 吾平町を流れているのは姶良川。

 「吾平」と「姶良川」と同じ「あいら」を使い分けているのはもともと吾平町は姶良村(江戸時代以前は姶良郷)だった。

 ところが霧島市に隣接する今の姶良市がもともとは「始羅(しら)郷」だったのを明治になって「始(し)」を「姶(あい)」と誤記し、そのまま「姶良町」を名乗ったため、本家の「姶良村」は町制施行の際に「吾平町」を正式名とした――という経緯がある。

 もっとも「吾平」にしたのにはそれなりのいわれがあり、当地は律令制施行の昔は大隅国の「姶羅(あいら)郡」に属していて、この「あいら」の語源は日本書紀によると「吾平津媛」(あひらつひめ)の住まうところだった(古事記では「阿比良(あひら)比売」)ことにある。

 そう考えるとこの「吾平」も古い歴史を背負っているわけで名称に遜色はないのだが、ただ、鹿屋市以外の人に「あいらちょう」と言う場合、「ゴヘイの吾平町です」と断りを入れることが多いのが面倒だった。

 向こうは平成の大合併後は「姶良市」になったわけだから、もう「ゴヘイの吾平町」などとわざわざ注釈を入れなくてもよさそうなものだ。そこで最近は「鹿屋市のあいら町」という方が多くなってきた。


 
 ところで、5月5日、久しぶりに「あいら中岳」に登ってきた。もちろんこの「あいら」は「吾平」である。

 地元では「中岳(なかんだけ)」ということの方が多いようだが、別名の「吾平富士」の通称の方がよそ者や観光的には良い響きだから、これからは吾平富士で通していきたい。

 10時半過ぎに姶良川からの取水池(水源地)下にある登山口駐車場(軽自動車で8台くらいのスペース)に到着し、足ごしらえをしたあと登り始めた。

 15分くらいは植林地帯のかなりの登りだが、ちゃんと木製の段々が付いている。そのあとやや平坦になり、さらに15分ほどで再び急な登りを20分。ベンチのあるちょっとした休憩所に到着。

 その後は結構な登りが続き、やがて花崗岩の露出地帯となって前岳(644m)への取り付きに入るが、ここからはほぼサイドに寅ロープのある登山道をよじ登る感じだ。

 次のベンチのある休憩所までの30分は体全体を使って登るほぼ全身運動で、何とかエクササイズも子供だましに思えるくらいだ。

 二番目の休憩所からはあとわずか200メートルほどの距離だが、標高差が優に50mはあり、一歩一歩喘ぎ喘ぎだから15分はかかる。

 ようやく前岳の山頂(644m)だ。登山口から約1時間半だった。展望は北側に120度ほどはあり、高隅山の全容が望まれる。また下を見ると、神野小学校の旧校舎とその周辺の人家や田んぼが見えた。

  前岳の山頂に着く直前に、串良町から来たという高齢者と中年の親子連れと行き違ったが、もう中岳山頂に行って来て帰るところだというので、「姶良川の滝は見に行かないか」と問うと、「いや、もう降りるだけ」と言う。滝の存在を知らないらしいので、ぜひ登山口の案内板に従って行ってみたらと強く勧めておいたが、どうだったか・・・。

 前岳山頂には鹿屋市の祓川町から来たという小学校三年の男の子を連れた親子が到着していた。はじめて息子を登山に連れ出したとかで、お互いに写真を撮りあったりした。

 ところがこの親子も吾平四滝のことは念頭にないようで、せっかく来たのだから帰りに寄ってみたらいいと勧めておいた。最初の串良町の親子も鹿屋市、この親子もまさに旧来の鹿屋市在住なのに、残念に思った。吾平町はもっと宣伝をするべきだ。

 若い親子より一足先に前岳を下り、中岳(677m)を目指して登山再開。といっても直線距離にして300メートルほどだ。いったんは20mは降るからこの最後の急な登りも標高差は50m。約20分でついに中岳(吾平富士)の山頂にゴール。12時30分だった。

 登山口の駐車場から吾平富士の山頂まで約2時間。距離は神野の登山道管理者によると1500メートル。

 山頂からは東と西にそれぞれ60度くらいの視界しかないが、それでも西に開聞岳(薩摩富士)と指宿の知林ヶ島が望まれた。また東は肝属山地の最高峰である甫与志(ほよし)岳が近くに見えた。

 山頂で弁当を済ませ、休憩もそこそこに「滝へ」という道標に従い、やや急な下りの後はプロムナードが続き、小さなピークを過ぎてからも緩やかな登りで後岳(667m)に着く。山頂からは20分だが、さっきの中岳までのきつい登りからすれば鼻唄まじりだ。ただ、後岳には道標が立っていないので素通りする可能性があり注意。

 後岳を下るとすぐに道の分岐があり、滝へは右手の道をとる。滝への道は下る一方で、さほどの急傾斜ではないから安全である。原生林の中の道は歩きやすく、日光もさえぎられるから真夏でも楽だろう。下山して最初の滝は最も上流にある「おしどりの滝」である。

 (後岳からのこの下山道はそこに通じているから、真夏(夏休み)にもし中岳に登るとすれば、おしどりの滝からの今日とは逆のコースがお勧めだ。なにしろおしどりの滝は標高370m、中岳は677mで標高差はちょうど300mである。今日の登山口からのコースだと標高差は520m。その差は歴然としている。

 おしどりの滝の入り口付近の道路は広くなっているから、路肩に駐車しても交通(林道)の邪魔にはなるまい。ここまでもし林道を歩くとなると登山口から約2.5キロもあり、真夏にここまで歩いて来てそのまま後岳を経て中岳までの登山はきついだろう。)

 さて、おしどりの滝まで後岳から30分しかかからなかったので、中岳(吾平富士)山頂からは50分ということになる。実に楽な下りであった。

 この後は林道を下りながら、途中の特攻の滝(20分:滝つぼ見物の所要時間を含む)、一本松の滝(15分:同)、そして一番下にある杖立ての滝(林道で800メートルはあり、約15分歩いてさらに滝つぼまで5分で所要時間は40分)。以上の合計で1時間20分くらいが四滝めぐりに要する時間だ。

 杖立ての滝から登山口駐車場までは1400メートルもあるが、この辺りから下は舗装道路もあり、散歩とそう変わらずに登山口の駐車場まで帰ることができた。14時30分に到着。全行程の所要時間はちょうど4時間であった。

 吾平四滝をめぐっている時にたしかアカショウビンの「ぴゅーるるるる」という鳴き声を聞いた。滝の音も涼しげだし、夏になったらもう一回来たいと思う。

 
  【吾平富士登山と四滝めぐり(データ)】…徒歩時間に昼食休憩・見物の時間は含んでいない。

  神野水源地下の駐車場―登山口―(90分)―前岳(644m)―(20分)―中岳(吾平富士最高峰:677m)―
(20分)―後岳(667m)―(30分)―おしどりの滝―(10分)―特攻の滝―(5分)―一本松の滝―(25分)―杖
立ての滝―(30分)―駐車場

    徒歩(正味)…230分(3時間50分)
    登山道標高差 約520m
    下山道標高差  300m

    ※駐車場にトイレは無いので、途中の吾平自然公園駐車場のトイレを利用する。

 

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