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米朝会談と板門店宣言

  シンガポールを舞台にした「歴史的会談」だったという米朝会談。

 たしかに北朝鮮のキム家の王様が、場所は余所だったにしろ、アメリカの大統領と直接会って話すのは初めてで、その点では間違いなく歴史的で、トランプ大統領の交渉術の成果だった。トランプ大統領はさぞ鼻が高かろう。

 会談後に共同声明のような形のものが出るのか出ないのか、マスコミには直前まで知らされていなかったようだったのもトランプ流だろう。日本人には絶対真似のできない(もっとも多くのアメリカ人でも)巧みと言えば巧みな外交だ。

 その共同声明の中身について、多くの解説者が「もう少し具体性が欲しい」といっている。

 肝心の非核化の時期や方法についての記述がなかったのが最大の疑問符だ。

 もっとも非核化の見返りに値する経済制裁解除について、トランプは「約束していない」とも述べているのでどっちもどっちである。

 今回最大の売りはとにもかくにも米朝トップ同士の「歴史的」会談だったのであるから、そう突っ込んだ具体的な部分まで盛り込めないのは仕方あるまい。

 それより「北朝鮮は韓国とのトップ会談で出した板門店宣言をちゃんと履行せよ」という文言の方が大事だろう。

 4月に板門店宣言を出す前に、両首脳が38度線を挟んでにこやかに握手をし、小躍りするようなしぐさを見せたが、あれは偽りないものと見えた。

 板門店宣言は大きく分けて3項からなり、

 ①分断されてしまった民族の血脈をもう一度つなぎ直し、共同の繁栄を築くこと。
 ②軍事的衝突の危機を緩和し、戦争を回避すること。
 ③半島の恒久的平和のため、休戦から終戦へ、最終的には非核化し、平和協定を結ぶこと。

 というもので、トランプも率直に言うように、「在韓米軍の合同演習は金がかかるから本当はやりたくない。半島の終戦が担保されたら在韓米軍も縮小するか撤退するか考え時」などというのも、この板門店宣言を念頭に置いている。

 多少は金正恩へのリップサービスもあるが、北朝鮮の非核化(大陸間弾道ミサイル廃棄を含む)さえ完全になされれば軍事的プレゼンスは解消しても構わないのではと本気で思っている節がある。

 そしてもし板門店宣言通りに事が運べば、経済制裁は解除の方向に向かい、その後の経済援助は韓国と日本が担えばいいなどとも言っているが、中国抜きで事態が動くはずはないので、これは誤りだ。ちょっとノーテンキ過ぎる。


 日本政府にとっての重要課題「拉致被害問題」について、トランプは会談で取り上げたというが、これに対する金正恩の反応は分からない。

 北朝鮮は金正恩体制になってから親父が認め、被害者の再調査をしたという触れ込みで他人の遺骨などを送ってよこしたが、多くの被害者の消息は不明で、今では「解決済み」の一点張りだ。

 「私の代で拉致被害者を救済する(拉致問題は終わりにする)」と常々言っていた安倍首相なのに、金正恩と会いもしないでは男が廃る。早く会談して経済制裁の解除をちらつかせながら交渉に当たるべきだろう。まずは金正恩と親しい間柄になった文在寅大統領を動かすのが近道かもしれない。

 とにかくもう時間がない。待っている家族たちも高齢化している。何とかすっきりさせてほしいものだ。

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